2016年08月08日
【出会い系?】『ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実』クリスチャン・ラダー
ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実―――ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事あの「ダン・アリエリーも絶賛」している(表紙の帯より)とあっては、読まないわけには参りません。
アマゾンの内容紹介から。
著者は、ハーバード大学の数学科を卒業後、4人の仲間といっしょに出会いサイトを創業。10年後、世界最大級の出会いサイトとなったサービスから生み出された膨大なデータの分析に、著者は満を持して取り組み、書かれたのが本書です。本書は男女関係のビッグデータから見えてくる、普段は目にすることができない人間の本質をあぶり出すことを目的に書かれました。
ニューヨークタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト、フィナンシャル・タイムズ、タイム、フォーブズ、ザ・ニューヨーカー、ブルームバーグ、Elle、ハフィンントン・ポストをはじめ、全米メディアを総なめにした爆発的ベストセラーです。
なお、若干お得なKindle版も本日から配信されています!
online dating / ceonyc
【ポイント】
■1.女性は相手の容姿に対する評価が厳しいいずれにせよ、男性は女性よりはるかに寛容だ。男性からの評価と女性からの評価を比べると図0-6のようになる。
黒い線のグラフ(女性が男性を評価)は左側、1〜5点の前半4分の1に集中しており、絶対値の「平均点以上」は6人に1人しかいない。性的な魅力をこのように数値化することには違和感があるかもしれないから、わかりやすいイメージにたとえてみよう。たとえば評価の対象がIQだとすると、女性は、男性の58%は頭脳に問題ありと思っていることになる。
Okキューピッドの男性の容姿に問題があるわけではない。OKキューピッドと某SNSからそれぞれ無作為に抽出した標本で比較したところ、似たような評価になった。主要な出会いサイト――ティンダー、マッチ・ドットコム、デートフックアップ――も同じパターンになる。
■2.相手に対する希望年齢の男女差
女性は30歳までは少し年上の男性が好みで、その後は少し年下を好む。そして40歳になると、赤い数字は点線から解放され、その後は9年間、ほぼ垂直に降下する。
つまり、女性の好みはこれ以上、変わらない。あるいは、男性の魅力が頭打ちになるという見方もできる。男性の性的なアピールが限界に達する年齢を挙げるとしたら、40歳ということだ。(中略)
ところが、男性が女性を評価するという逆方向から見ると、グラフは自由落下を描く。(中略)
男性から見て女性が最も魅力的なのは20代前半。その一言に尽きる。45歳を除いたすべての年齢の男性は、最も魅力的だと思う女性の年齢が20歳、21歳、22歳、23歳の4年間に集中している。
■3.賛否両論の外見の方がモテる
外見の魅力のレべルが同じ女性のグループがあるとき、男性からのアプローチの数は、ばらつきと強い関係がある。美人コンテストで優勝しそうな華やかな女性、家庭的な女性、その中間の女性などグループの種類を問わず、最もモテるのは、グループの中で両極にいる女性たちだ。その影響はけっして小さくない。彼女たちが男性から受け取るメッセージの数は、グループ内のほかの女性より約70%多いのだ。つまり、ばらつきがあれば、恋愛の序列で「同類」を飛び越えることもできる。評価がかなり低い(下から20%)女性も、評価のばらつきが大きければ、上から30%の女性と同じくらいメッセージを受け取るだろう。
その理由の1つは、ばらつきがある女性は、彼女を大好きな人も大嫌いな人も多いからだ。彼女が受け取るメッセージの大半は、熱心なファン――あえて「マニアック」と呼ぼう――からだ。したがって、評価の平均は同じでも、5点をつけた人が多いほどアプローチも増えるだろう。
■4.コピぺメールのリスクと効果
Okキューピッドのサイト全体では、コピー・アンド・ぺーストを使ったメールの「実績」は、使わないメールより25%低い。ただし、費やした労力の「効率」は前者がつねに勝る。メッセージを書く労力の大きさに対する返信の数を計算すると、1人ひとりに個別のメッセージを書くより、全員にほぼ同じ内容のメールを送るほうが効率は何倍もいいのだ。
もっとも、効率の話にはたいていの人が眉をひそめる。出会いサイトで送信するメッセージに定型文を使うと、返信が来る確率は使わない場合の75%になるという数字にも懐疑的だ。もちろん、ほとんどの人がコピー・アンド・ぺーストを見抜くだろう。しかし一方で、先ほどの喫煙とアートのメッセージは、コピーで量産された文章かどうかを識別する難しさを物語る。彼がメッセージの作成に費やした時間はほんのわずかだが、理想のタイプの女性から5件の返信があったのだ。
■5.黒人の男女とアジア人男性は低評価
これらのチャートから、マイナスの評価もプラスの評価もそれぞれ2つの傾向がわかる。まず、黒人は男女とも黒人以外のユーザーからあまり評価されないが、アジア人男性も他人種からの評価は低い。さらに、女性は明らかに自分と同じ人種の男性を好むが(女性のほうが男性より「人種に忠実」だ)、2番目に好きなのは白人男性だ。
【感想】
◆いわゆる「出会い系」を使われてきた方には、上記ポイントの数々は「納得できる内容」だったのではないでしょうか?本書にはグラフや図が多用されていたので、補足しておくと、まず上記ポイントの1番目は「異性の容姿の魅力を5段階評価した」男女別のグラフが基になっています。
実際のグラフを見ていただくとよく分かるのですが、「男性からの評価」が、真ん中を頂点とした「ゆるやかな山」になっているのに対し、「女性からの評価」というのは、左側(低評価)に突出したグラフになってるという。
つまり、男性が「自分に釣り合うレベルの女性」と思ってアプローチしても、女性の方は「釣り合っていない」と思っている可能性が大。
……男性陣が出会い系で「何であんな相手にダメ出しされたのか」と悔し涙を流す原因の一端は、ここにあるのかもしれません。
◆続く上記ポイントの2番目では、同じく男女別に「魅力的だと思う異性の年齢」を検討しています。
実際にグラフを見ていただくと一目瞭然なんですが、通常のグラフとは違い、スタート(20歳)が左上で、そこから1歳ずつ下に向かって加齢していくパターン。
女性は30歳になるまでは、自分より0〜3歳上を挙げており、その後はチョイ下が好みで、40歳以降はいくつになっても38〜39歳がベスト(「ほぼ垂直に降下」)になっています。
ところが男性は、最初っから上記で挙げたように、50歳になるまで「20〜23歳」のどれかw
45歳を除いていますが、単にそこだけ「24歳」がベストなだけで、ほとんど変わりありません。
もっとも、男性が実際に連絡を取ろうとする相手の年齢(そのグラフもアリ)はもうちょっと「現実的」なんですけど、いずれにせよ、男性が「年甲斐もなく若い女性が好き」なことには変わりがないようです。
◆一方、上記ポイントの3番目は、「『同じ平均点』同士なら、真ん中ではなくて両端に評価が分かれている方がモテる」というお話。
誰からも万遍なく「そこそこ」好かれるよりは、「大好き」と「大嫌い」の評価が分かれている人の方が、異性からメッセージを数多く受けるようです。
これはおそらく、男性もそうなのでしょうけど、普通は男性から女性にアプローチする分、データを集めやすかったのではないか、と。
ホントなら「平均君」と「両極端君」それぞれの、アプローチ成功率を追って欲しかったところですが。
◆ちなみに、最後のポイントのグラフは、私が本書を見てExcelで作り直したもの。
男性が「アジア人」だった場合、同じアジア人女性相手ならプラス評価な反面、黒人、ラテン系、白人女性のいずれからもマイナス評価となっています(ただし、アジア人女性は比較的高評価)。
その反面、グラフ右端の「白人男性」の女性からの評価が高いこと!
「アジア人男性」と「白人男性」が同時にアプローチした場合、両者の差を考えたら、我々日本人には、とても勝ち目はありません罠。
そういえば、当ブログで何度かご紹介している「カブキ系ナンパ師」(?)であるクラトロさんが、挑戦むなしく敗れ去ったという報告も、ついこのあいだありましたっけ。
LAの地でPUAとして戦った日本人ナンパ師、しめやかに振り返る - ナンパはスポーツ No Girl No Life!
このグラフを見ていたら、同じ「海外ナンパ」であっても、台湾とアメリカじゃ、全然別物ですよね。
◆……と、当ブログ向きに「出会い系ネタ」ばかりでまとめてみましたが、本書はその後半部分では、色っぽい話から、やや距離を置いています。
「政治」や「同性愛」「人種差別」といったテーマはデリケートなので、当ブログでは当然割愛。
また「炎上」ネタで紹介されていたこの事件は、私も何かで読んで知っていましたが、ツイートした女性の勤めていた会社は、著書が作ったOkキューピッドの親会社であり、著者自身、彼女と面識があったのだそう。
失言ツイート炎上で即解雇、米メディア企業の広報部長 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ぶっちゃけ「こうすればモテる」というお話が少な目(と言うか、どうしようもないw)なので、モテ本としてはオススメしにくいのですが、こうした「データ社会」に関心の高い方なら、お楽しみいただけるかと。
「身も蓋もない」話がお好きなら要チェックです!
ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実―――ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?
イントロダクション――ビッグデータは、あなた自身を語る
パート1 そして、何が私たちを結びつけるのか?
第1章 ビッグデータが語りかける男女の普遍的な傾向
第2章 1000人の「まあまあ」よりも、たった1人の○○が欲しい
第3章 私たちは、かつてなく文字を書いている
第4章 あなたは、人と人をつなげる接着剤になれる
第5章 ばかばかしいアイデアを実行してみたら
パート2 何が、2人を分けたのか?
第6章 人種――決して語られることのない重要因子
第7章 美しい人がトクをする傾向は、加速している
第8章 「本当は何を考えているか」がわかる方法
第9章 炎上――突然、嵐のような日々が訪れる
パート3 自分らしさはどこにある?
第10章 アジア人にしては背が高い
第11章 どんな人と恋におちたいですか?
第12章 あなたのいごこちの良い場所はどこですか?
第13章 ネットの中のあなたのブランド
第14章 ネットの中の足跡を追いかけると何がわかるか
【関連記事】
東大教授も知らない『セ●クスと恋愛の経済学』の秘密(2014年12月27日)【モテ】『本当のモテ期は40歳から』青木一郎(2012年02月29日)
【モテ】『ネットナンパ勝利の方程式』に学ぶ7つのメールテク(2011年11月09日)
【モテ攻略本?】「一分間婚活マスター」に学ぶ7つのポイント(2009年09月12日)
【編集後記】
◆ある意味、今日の作品以上にツッコんでいる(?)本がこちら。セ●クスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業
*Kindle版アリ
レビューは上記関連記事にてご確認ください。
ご声援ありがとうございました!
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