1、いま日本が必要としているのは民主主義革命

対米従属

きわめて異常な対米従属の状態から抜け出す「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」在日米軍基地自衛隊自主性をもたない経済、外交アメリカの対日支配の「帝国主義的な性格」従属国家の状態から真の主権独立国家に転換する対米従属の根幹


安保条約 中心は安保条約の廃棄安保条約の廃棄通告主権回復後の日本のあり方非同盟諸国首脳会議への参加

日本経済 日本経済の弱点・欠陥にメスを入れる日本経済の基盤の特別の弱さ労働時間・サービス残業「カローシ」有給休暇解雇「逆立ち」財政経済の民主的改革の方針

民主主義革命 民主連合政府と民主主義革命民主主義革命――資本主義の枠内での民主的改革民主連合政府が民主主義革命を実行資本主義の枠内での民主的改革の実行をめざす政府革命によって実現する改革の内容十年、二十年の物差し革命

天皇制 天皇制日本共産党の基本的態度現在の憲法のもとでは天皇制と共存いまの天皇制天皇制は憲法で決められた制度憲法の諸条項を厳格にまもる「賀詞」「弔辞」目標としては天皇制をなくす立場に立つ天皇制のない民主共和制をめざす国民の総意で解決「天皇制打倒」の旗はかかげていない日本は君主制の国には属さない立憲君主制

自衛隊 自衛隊自衛隊は段階的解消自衛隊は違憲の存在安保条約廃棄と軍縮、海外派兵立法廃止憲法と自衛隊の矛盾の解決には国民の合意が必要

天皇制、自衛隊問題でのマスコミ報道


1、いま日本が必要としているのは民主主義革命

 現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である。それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる。この民主的改革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くものである。(綱領改定案)

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きわめて異常な対米従属の状態から抜け出す

「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」

 日本全土における米軍基地の存続、アジア最大の軍事基地とされた沖縄の現状、核兵器持ち込みの「核密約」、自衛隊のアメリカの世界戦略への組み込み、軍事・外交、さらには経済面にまでおよぶアメリカの支配力など、対米従属の諸側面を指摘したうえで、綱領改定案は、最後に、次のような総括的な特徴づけをおこなっています。

 「日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態であって、アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のものである」

 ここで、「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」という特徴づけが重要であります。半世紀をこえて外国の支配と従属のもとにおかれるということは、日本の歴史に前例のない異常な状態ですが、綱領改定案は、それが、植民地支配が過去のものとなった現在の世界の視点からみて、「異常」であることを、強く指摘しています。(不破議長の7中総での報告)

 綱領改定案で、この現状を、いまの日本は「きわめて異常な国家的な対米従属の状態」にあると表現しました。この状態から抜け出さない限り、私は、二十一世紀の国際政治で、日本が国際社会の尊敬や信頼をかちとりながら生きてゆく道はないと思います。

 従属国から抜け出さない限り、二十一世紀の世界で日本が堂々と生きていく道はない。しかし、この大問題を正面から取り上げている政党は日本共産党だけというのが、残念ながら日本の政界の現状であります。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本が戦争に負けてから五十八年たちました。敗戦のときにアメリカが日本を占領して、占領軍の権力で日本中に米軍基地をつくりました。その基地の骨組みが沖縄にも、そしてこの東京にも―横田基地がその代表ですが―、あるいはお隣の神奈川の横須賀の軍港にも残っています。そしてアメリカ軍のこれらの基地は、アメリカが自分の戦争のために勝手に使える仕組みになっています。こういうことは、日本の長い歴史の中でもかつて経験したことがないことであります。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 小泉首相がアメリカのイラク戦争に賛成する根拠にしたのは、ブッシュ大統領がイラクには大量破壊兵器があるといっているということ、それだけでした。あれだけ国際的に議論されて、さまざまな角度から検討されても、そういうものにはいっさい耳を傾けず目を向けない、ブッシュ大統領がいっているから間違いない、それだけで、あの不法な戦争に日本を引きずり込み、自衛隊を戦争に協力させたのです。

 しかもいまの国会には、イラク新法といって、自衛隊をアメリカのイラク占領軍の応援部隊として派遣する法律がかけられて、衆議院では通過し、参議院も間もなく強行をはかるという段取りになっています。

 アメリカやイギリスが戦争の根拠にし、日本政府も戦争支持の根拠にした大量破壊兵器の存在、それがどうだったのかがいま大問題になっているのに、自分が根拠にしたことが正しいかどうかの検証もしないで、イラクに自衛隊を送り込む次の法律を平気で用意する。みなさん、これぐらい自主性のない国はいま世界には見あたりません。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本が外交的な自主性をもたず、さらに経済的自主性ももたない従属国家であることは、イラク戦争などの経験を経て、いよいよ明らかになってきたことで、「経済大国」といっても、こういう従属国家が、いったい二一世紀に生きてゆけるのか、そういう疑問と注目が、いま世界の各方面から寄せられる――こういう異常さであります。(不破議長の7中総での報告)

 テロ問題が起きたときに、アフガニスタンがテロの拠点だというので、アメリカが報復戦争を仕掛けました。私たちは、こういうやり方ではテロはなくならない、世界の世論と正義の道理でテロ勢力を追い詰める、これが大事だと訴えましたが、日本の政府はアメリカの報復戦争に無条件で賛成でした。

 続いてアメリカがイラクに戦争を仕掛けました。国連では最後まで議論が続きました。北大西洋同盟条約という、日米安保条約よりも歴史の古い軍事同盟をアメリカはヨーロッパ諸国との間に結んでいましたが、このなかでも大きく意見が分かれました。しかし、そのときも日本の政府は、アメリカがやる戦争なら賛成だと、イラク戦争賛成の態度をとりました。

 そしてアフガニスタンにたいする戦争では、自衛隊の軍艦をインド洋に送り、イラクの戦争のときにもその軍艦が引き続きインド洋に残っていてアメリカの戦争に協力する、こういう態度を取りました。

 “日本政府はアメリカのいうことには絶対に反対できない政府だ”、このことはいま世界中で有名になっています。(日本共産党創立81周年記念講演)

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アメリカの対日支配の「帝国主義的な性格」

 改定案では、アメリカの対日支配が、「帝国主義的な性格」をもっていることを、明確な言葉で指摘しています。ただ、用語の点では、いまの綱領の「アメリカ帝国主義」の対日支配などの表現を、「アメリカ」の対日支配という表現にあらためました。これは、今日の世界では、「帝国主義」という言葉を、より吟味して使う必要が出てきたためであって、その問題は、内容的には、第三章の世界情勢論のところで説明をしたいと思います。(不破議長の7中総での報告)

 日米関係について、綱領改定案が、「アメリカの対日支配は、……帝国主義的な性格のものである」と明確に規定していることを、紹介しました。しかし、その対日支配を終結させることは、アメリカが独占資本主義の体制のままでも、実現可能な目標だと、私たちは考えています。そして、安保条約が廃棄されたあと、アメリカがこの事実を受け入れて、日米間の友好関係が確立されるならば、帝国主義的な要素の入り込まない日米関係が成立しうる、私たちは、そういう展望をもっています。第二章の日本の現状規定で、私たちが、アメリカ帝国主義という用語を使わなかったのは、そういう見地からであります。(不破議長の7中総での報告)

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従属国家の状態から真の主権独立国家に転換する

 日本が、独立国家の地位を失って、対米従属の状態におちいったことであります。この状態は、すでに半世紀以上も続いています。この対米従属の根幹をなすのが、一九五一年に結ばれ、六〇年に改定された日米安保条約――この軍事同盟条約にあります。そして、この従属国家の状態から真の主権独立国家に転換するということが、今日、日本が直面する最大の国民的課題となっています。(不破議長の7中総での報告)

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中心は安保条約の廃棄

 日本を従属国家から真の独立国家に転換させることで、その中心は、日米安保条約を条約第十条の手続き(日本政府が廃棄の意思をアメリカ政府に通告する)によって廃棄し、対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶことにあります。

 現在の従属関係は多面的ですし、条約や協定にも関連するいろいろなものがありますが、要(かなめ)をなすのは、日米安保条約ですから、そのことを中心にすえて国の独立の問題を解決してゆく、という方向です。(不破議長の7中総での報告)

 日米安保条約を国民の総意で廃棄して、独立・自主・非同盟の日本に道筋を切り替える。そして、平和の憲法をいかして、世界から信頼される、自分の足で立った平和の外交に転換する。私たちはこの切り替えこそがいま日本がぶつかっている大きな大変革の一つになると考えています。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 民主連合政府ができますと、安全保障の問題で、まずやることは安保条約をなくすことです。これについては安保条約に規定がありまして、日本政府が安保条約はいらない、廃棄するという日本の意思をアメリカに通告すると、アメリカの同意がなくても一年たったら条約はなくなる、こういう取り決めがあります。この取り決めに従って、廃棄の通告によって安保条約をなくす、民主連合政府はまずこのことを実行するでしょう。それはもちろん、国民の合意がなくてはできません。(日本共産党創立81周年記念講演)

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主権回復後の日本のあり方

 主権回復後の日本は、いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係を結ぶ平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国首脳会議に参加する。(綱領改定案)

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 非同盟諸国首脳会議への加盟は、将来の日本の問題ですが、日本の国際連帯運動は、すでにこの道を実際に歩んでいます。日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が、一九九五年以来、九八年、今年(二〇〇三年)と、連続三回にわたって首脳会議に参加してきました。アジア・アフリカ人民連帯機構という国際組織が、首脳会議のオブザーバー組織となっていて、その代表団の一員としての参加ですが、今年の首脳会議では、日本の連帯委員会自体がゲスト組織として参加が認められ、その資格で独自の代表団を派遣しました。わが党自身も、この間、非同盟諸国とのあいだで大いに野党外交を展開して、主要な国ぐにの政府と緊密な交流と連携の関係をきずいてきました。

 これらの活動は、将来の非同盟・中立日本の外交路線にとっても、開拓的な意味をもっていると位置づけることができるものだと思います。(不破議長の7中総での報告)

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日本経済の弱点・欠陥にメスを入れる

日本経済の基盤の特別の弱さ

 現状規定の内容については、長い目で見て、日本独占資本主義の体質あるいは構造にかかわり、私たちが民主的改革に取り組む場合、そこに改革のメスをいれる必要があるという意味で、重要な焦点になる問題に力点をおいてとりあげました。実際の叙述も、最初に経済支配の全体的な特徴をのべたあと、「ルールなき資本主義」の問題、女性差別や人権問題での遅れた状況、中小企業と農業の異常な困難、環境問題、「逆立ち」財政、政・官・財の癒着、アメリカの経済介入などの問題点を、それぞれ簡潔に記述し、その全体をまとめて、これらの問題点が、日本経済の基盤を特別に弱いものにしていることを、次のように指摘しています。

 「これらすべてによって、日本経済はとくに基盤の弱いものとなっており、二一世紀の世界資本主義の激動する情勢のもとで、日本独占資本主義の前途には、とりわけ激しい矛盾と危機が予想される」(綱領改定案第六節)

 この見方は、たいへん重要であります。現在、日本は、世界各国のなかでも、とりわけ深刻な長期不況に苦しんでいますが、これは、バブル崩壊後の一時的な現象ではありません。景気的な見方としては、これから谷もあれば山もあるでしょうが、重要なことは、長期不況のこの現実のなかに、改定案が指摘しているような日本独占資本主義の構造的な弱点の現れがある、ということです。この弱点に目をふさぎ、それにたいする解決策をもたない「構造改革」などは、改革の名には値しないし、日本経済の困難や危機を打開する力をもちえません。こういう点をよく見て、日本独占資本主義の現状を正確にとらえることが大事だと思います。(不破議長の7中総での報告)

 日本経済、日本資本主義の弱点はどこにあるのか。日本の現状を同じ資本主義国でもヨーロッパの国ぐにと比べてみると、問題がはっきり浮き出てきます。大企業の横暴勝手が野放しにされて、国民の暮らしや権利を支える手だて、仕組みが貧弱だということ、ここに私は、日本経済の最大の弱点・欠陥があると思います。(日本共産党創立81周年記念講演)

 不況に見舞われると、日本は不況が特別に深刻になります。いま、株価が少し上がったといって政府は喜んでいますが、もっとつっこんだ経済評論を見ると、株価は上がっても雇用が伸びない、消費も伸びない、まだたいへんだということが指摘されています。専門家は、国民の消費という一番の経済の土台を見るのです。それが日本ではたいへん弱くて、もっとも不安定だということ、この根本の弱点が日本経済をとりわけ基盤の弱いものにしているのです。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本では法律や協約で七時間とか八時間とか一日の労働時間が決まっていても、それに残業がついてくるのが当たり前になっています。しかしヨーロッパでは、七時間と決まったら一日の労働時間は七時間なんです。よほどのことがない限り追加の残業はありません。

 だから、労働者もその家庭も、七時間の仕事がすんだらきちんと帰ってくるということを基準にして、生活を組み立てています。ましてや、ただ働きのサービス残業なんてことは、考えられもしません。私たちがヨーロッパの方々に日本の実情を説明しても、理解してもらうのにたいへん苦労するのです。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 労働強化による「過労死」が日本では大問題ですが、これはほかの国では例のないことで、それにあたる言葉はどこにもなく、「カローシ」という日本語で、世界に通用しています。それぐらい、労働強化の面でも、日本は異常なのです。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本では、法律では最高二十日と決まっています。しかし、二十日の休暇をまとまって取る人はあまりいないで、病気欠勤の穴埋めに使う、それも使い残して、政府の統計だと半分も使われていないのが実情です。ところが、ヨーロッパでは、たとえばドイツでは二十四日、フランスでは三十日と決まっていますが、これをばらばらで使う人はいないんです。みんな、夏休みなどにまとめて使う。ドイツでは法律の想定をこえて、労使の協定で夏四週間、冬二週間、休暇をまとめてきちんと取ることがだいたい、世間の標準になっています。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本には、労働者を解雇するときに、資本が守るべきルールを決めた法律はありません。しかし、ドイツでもフランスでも解雇制限法、解雇規制法というのがあって、道理のない解雇は厳しく禁じられています。

 しかも、解雇されたあとはどうなるかというと、失業保険の長さがまるで違います。日本では相次ぐ改悪で、いま定年退職だと失業保険は約五カ月、リストラでも、最高十一カ月でしょう。ところがドイツは、失業保険は最高三十二カ月ですから、二年以上職を探しながら生活ができます。フランスではいま、最高六十カ月です。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 世界中で、国民の暮らしを支える社会保障のために、国や地方が出す支出よりも、大型プロジェクト中心の公共事業に出す支出の方が多いなんていう国は、日本以外どこにもありません。つまり、企業と労働者のあいだの関係で、働くものの暮らしや権利を支える仕組みが弱いのに、それに加えて、政府の税金の使い方も逆立ちになっています。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 ヨーロッパにはあるが、日本にはルールがないか弱い、そこを改革して、国民の生活と暮らし、権利を守る“ルールのある経済社会”をつくろうじゃないか。国民に薄く、大企業に手厚い税金の「逆立ち」した使い方を変えようじゃないか。大企業にもそれなりの社会的責任をきちんと果たしてもらおうじゃないか。そういうことをはっきりと示したのが、私どもの経済の民主的改革の方針であります。(日本共産党創立81周年記念講演)

 (「経済的民主主義の分野」の)第一項は、「ルールある経済社会」をつくる問題、第二項は、大企業にたいする民主的規制を通じて、国民生活と日本経済の発展をはかる問題、第三項は、「経済的安全保障」〔国民生活の安全の確保・修正〕および国内資源の有効活用という立場から、農林水産政策とエネルギー政策の転換をはかる問題、第四項は、社会保障制度および子どもと母親への援助の問題、第五項は、「逆立ち」財政の転換の問題、第六項は、経済面で民主的な国際関係への貢献の問題――こういう形で、経済分野での改革の基本方向を提起しています。(不破議長の7中総での報告)

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民主連合政府と民主主義革命

民主主義革命――資本主義の枠内での民主的改革

 「現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破―─日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である」という、革命の性格と内容についての規定をおこなっています。これは、私たちが「資本主義の枠内での民主的改革」としてのべてきたことを、民主主義革命の任務としてきちんと位置づけ、この民主的改革の先に、なにか革命としてやるべき課題が余分にあるわけではないことを、明確にしたということです。(不破議長の7中総での報告)

 私はいま、日本を本当の独立国にする問題、日本経済の弱点をただす問題、この二つの改革が大事だといいました。この大改革を二つながらにやったら、みなさん、日本の政治の流れ、経済の流れが大もとから変わります。資本主義の枠内ではあるが、日本が自分の足でしっかり歩く主権・独立の国になると同時に、経済でも国民の暮らしと権利が大事にされるようになります。大変化じゃありませんか。これが民主主義革命というものであります。(日本共産党創立81周年記念講演)

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民主連合政府が民主主義革命を実行

 これまでの綱領では、「民主連合政府」というのは、革命にすすんでゆく過程の中間段階の政府であって、民主主義革命の任務を遂行する政府は、「民族民主統一戦線の政府」であり、この政府が、権力をにぎって「革命の政府」に成長・発展するのだ、と説明されていました。今回の綱領改定案では、この区別をなくして、民主連合政府こそが、日本社会が必要とする民主的改革を実行する政府であり、この政府が実行する民主的改革が、民主主義革命の内容をなすものだというように、問題の発展的な整理をおこないました。(不破議長の7中総での報告)

 私たちの民主主義革命の方針というのは、安保条約をやめて日本を本当の独立・主権の国にする、日本経済の弱点をただして、日本経済がヨーロッパの社会にまけないようなルールと秩序を持ち、国民の暮らしに光をあてる経済の仕組みになるようにする、これが大きな目標です。

 私たちは、民主連合政府の性格をめぐるこういう発展を綱領にきちんと取り入れることにしました。国民多数の支持をえて民主連合政府をつくり、この政府が安保条約をなくし、経済改革を実現していけば、それがまさにわれわれがめざしている民主主義革命を実行することになるんだ、そういう関係を、新しい綱領改定案でははっきりさせたわけです。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 民主連合政府は、資本主義をなくそうという社会主義の政府ではない。資本主義の枠内での民主的改革の実行をめざす政府です。しかし、この「改革」をやるためには、政治の流れが大もとから変わり、日本の進路が変わる大変化――「革命」が必要なんですね。細川内閣の時のように、表向きは、政権の担い手が与党から野党に変わったが、政治の中身は変わらなかった、こんな調子の“政変”では駄目なんです。(「しんぶん赤旗」日曜版7月6日号インタビュー)

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 この革命による民主的改革の実現は、現在、国民が直面している諸困難を解決し、国民大多数の利益にかなった日本の進路を開くところに最大の意義があることを、明らかにしています。

 「この民主的改革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くものである」(不破議長の7中総での報告)

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 この(民主的改革の)諸項目は、当面の行動綱領ではなく、民主的改革の内容ですから、私たちは、当面的な基準ではなく、やはり改革の基本方向をしめすもの――十年、二十年という物差しでその有効性を保ちうるもの、そういう気構えでつくりました。(不破議長の7中総での発言)

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 「それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる」

 つまり、そういう形で、国の権力を、ある勢力から別の勢力の手に移すことによって、はじめて民主的改革を全面的に実行することができるようになるわけだし、この変革を革命と意義づける根拠もそこにあります。(不破議長の7中総での報告)

 革命というのはなにも物騒なことではありません。中央委員会でものべたことですけれども、前の首相の森喜朗さんは「IT革命」という言葉が大好きでした。いろんな分野で何か大きな変化を起こそうとすると、何とか革命、何とか革命、こういうことがしきりにいわれます。政治の舞台でいえば、政治や経済の大きな流れを変えること、これが革命と呼ばれるものであります。(日本共産党創立81周年記念講演)

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天皇制

日本共産党の基本的態度

 天皇条項については、「国政に関する権能を有しない」などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。

 党は、一人の個人あるいは一つの家族が「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。しかし、これは憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。(綱領改定案)

 大事な点は(改定案第四章の「憲法と民主主義の分野」の)第一〇項にあります。すでに戦後の情勢変化についてのべたところで、憲法の天皇条項の分析をおこないましたが、ここでは、天皇制にたいする、現在および将来におけるわが党の基本態度を、明確にしました。(不破議長の7中総での報告)

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現在の憲法のもとでは天皇制と共存

 日本の場合には、天皇には、統治権にかかわる権限、「国政に関する権能」をもたないことが、憲法に明記されています。ここには、いろいろな歴史的な事情から、天皇制が形を変えて存続したが、そのもとで、国民主権の原則を日本独特の形で政治制度に具体化した日本の憲法の特質があります。ここをしっかりつかむことが、非常に大事であります。(不破議長の7中総での報告)

 憲法第四条は、天皇の権能について、「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」ことを明記しています。前段にある「国事に関する行為」というのは、国家意思を左右するという力をふくまない「まったく形式的・儀礼的・栄誉的性質のもの」だというのが、憲法学者の一致した定説とされています(たとえば、『註解日本国憲法』法学協会)。天皇の行為はこういう性格の「国事」行為だけに限定されて、それ以外の、「国政に関する権能」はまったくもたない、というのですから、憲法は、天皇は、国の統治権にはかかわらないことを、厳格に定めているのです。(不破議長の7中総での報告)

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 天皇制というのは、憲法で決められた制度であります。日本共産党の考えだけで、変えられるものではありません。日本の国の主人公である国民の間で、民主主義をそこまで徹底させるのが筋だという考えが熟したときに、はじめて解決できる問題であります。それまでは、私たちの好き嫌いいかんにかかわらず、憲法にある制度として、天皇制と共存するのが道理ある態度だと私たちは考えています。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 現在の態度では、「国政に関する権能を有しない」ことなど、憲法の制限規定を厳格にまもることが、非常に重要であり、憲法の規定からの不当な逸脱を許さないという態度をつらぬいてゆきます。現在、わが党の国会議員団は、国会の開会式に参加していませんが、これは、天皇制を認めないからではありません。戦前は、天皇が、帝国議会を自分を補佐する機関として扱い、そこで事実上、議会を指図する意味をもった「勅語」をのべたりしていました。いまの開会式は、戦後、政治制度が根本的に転換し、国会が、独立した、国権の最高機関にかわったのに、戦前のこのやり方を形を変えてひきついできたものですから、私たちは、憲法をまもる立場に立って、これには参加しないという態度を続けてきたのです。(不破議長の7中総での報告)

 天皇制と共存している時期に何が一番大事か。憲法のこの条項を守ることです。国政に関する権能がないのに、昔のように、天皇にだんだん政治的な権能を持たせようとするような動きとか、君主扱いするような動きとか、そういうものが、いろんな形で顔をだし、むしろ強くなってゆく傾向にあります。これにたいして、日本共産党が、憲法に照らして、そういう間違いをきちんと正そうじゃないか、天皇制の問題でも、憲法どおりの政治の運営、国の運営もやろうじゃないか、こういうことをきちんとやることが大事です。そのことを私たちは今度の改定案で具体的にうたいました。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 私たちは、一般的にいえば、憲法で定められた国家機関のあいだの儀礼的な関係として、慶弔のいろいろな事態にたいして、「賀詞」や「弔辞」が出されることそのものを、全般として否定する態度はとっておりません。もちろん、その場合でも、民主主義の立場にたって、どこまでが“許容範囲”か、という問題があります。私たちは、その点で、国権の最高機関である国会が、皇室との関係で、とくにへりくだったり、いたずらに相手がたをあがめ奉ったりする態度(用語をふくめて)はとるべきでない、ということを、その都度、国会のしかるべき場所で主張してきました。(不破議長の7中総での発言)

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目標としては天皇制をなくす立場に立つ

 私たちは、目標としては民主主義の精神、人間の平等の精神にたって、天皇制をなくす立場に立ちます。これをどうして実現するかといえば、主権者である国民の多数意見が、その方向で熟したときに、国民の総意で解決する、ということです。これが、天皇制の問題を解決してゆく、道理ある方法だと考えて、今度の綱領に明記したわけであります。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本の国の制度、政治の制度の問題としては、一人の個人が「日本国民統合」の象徴になるとか、あるいは一つの家族がその役割をするとか、こういう仕組みは民主主義にもあわないし、人間の平等の原則にもあわないと考えています。ですから将来の日本の方向として、どういう制度をとるべきかということをいえば、天皇制のない民主共和制をめざすべきだというのが日本共産党の方針であって、この点に変わりはありません。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 現在の天皇制は、憲法の制度であって、その制度を存続するか廃止するかという問題は、一つの政党の認識や判断で左右される問題ではありません。改定案では、この立場から、将来の問題については、党は、こういう展望をもって活動する、ということを、次のような文章で明らかにしました。

 「しかし、これは憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」(不破議長の7中総での報告)

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 戦後は、みなさんご存じのように、天皇制の性格と役割が憲法で変わりました。戦争前は天皇というのは、日本の統治者で、国の全権限を握った存在でした。ところが今の天皇は「国政に関する権能を有しない」、つまり、国の政治を左右する力はまったく持たないものだということが、憲法第四条に明記されています。だから、天皇制をなくさないと、私たちがかかげる民主的な改革、安保条約の廃棄もできないとか、国民の暮らしを守るルールもつくれないとか、そういうことはないわけです。だから私たちは、四十二年前に綱領を決めたときも、実際にはもっと前からですが、「天皇制打倒」の旗をかかげたことは一度もないのです。(日本共産党創立81周年記念講演)

 現在の綱領には、「君主制の廃止」ということが、民主主義革命のなかで実行されるべき課題としてあげられています。これは、綱領を最初に決めた当時、現行憲法の枠内での改革と、憲法の改定を必要とする改革との区別が十分明確にされなかった、という問題点と結びついていたものだったと思います。(不破議長の7中総での報告)

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 国の政治の体制の性格をみるには、主権がどこにあるか、ということが一番大事です。日本は、憲法で国民主権を明確に宣言している国ですから、天皇主権の国ではなく、天皇と国民が主権を分かち持っている国でもありません。主権が国民に属する国ですから、日本の今の政治の体制を君主制だというと、これは大きな誤解を生むことになります。だから今度の綱領の改定案では、その種の言葉はやめました。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 立憲君主制というのは、形の上では国王が統治権を多かれ少なかれもっていて、それを、憲法やそれに準じる法律で制限し、事実上国民主権の枠のなかにはめこんでいる、という国家制度です。(不破議長の7中総での報告)

 世界にはいろんな君主制があります。イギリスではいま女王が君主の地位についています。こういう君主制の国では、国政に関する権能をまったく有しない君主というものはいないのです。君主というからには、統治権の一部は必ずもっており、「国政に関する権能」を持っているのです。それを憲法で、勝手なことができないよう制限している、これが立憲君主制なんですね。(日本共産党創立81周年記念講演)

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自衛隊

自衛隊は段階的解消

 第二十二回党大会で、「自衛隊問題の段階的解決」として、安保条約廃棄前の段階、安保条約を廃棄して軍事同盟からぬけだした段階、国民の合意で憲法九条の完全実施にとりくむ段階と三段階にわたる解決策を明確にしました。このことを、簡潔に要約したうえで、綱領の上で明記したものであります。(不破議長の7中総での報告)

 私たちは、三年前の党の大会で、自衛隊については、「段階的解消」という方針を決めました。軍縮などの措置はすぐにとりかかることができるでしょう。何しろ今の日本は、憲法第九条で軍隊を持ってはいけないことになっているのに、軍隊に使っている軍事費は、アメリカに次いで世界で二番目、そこまで大きな軍隊を持つ国になってしまっているのですから、その流れを、軍備拡大から軍備縮小に切り替える、この仕事にとりかかることが大事です。

 そういうことをやりながら、アジアの平和な関係を築く努力を最大限にやる。東南アジアでは、どんな国際紛争も武力ではなく平和な話し合いで解決しようということが、東南アジアのすべての国の合意になっています。そういう合意が北東アジアに広がり、アジア全体に広がってゆくなかで、私たちが憲法第九条を条文どおりに具体化しても、アジアの国ぐにとちゃんと安心して平和に生きていけるような、そういう状態をつくりあげることができます。その努力を日本が先頭に立ってやる、こういうなかで、憲法の完全実施に向かって一歩一歩前進していこうじゃないか、こういう方針を三年前の大会で決めました。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 日本の憲法第九条には、日本は戦力を持たない、それからまた、武力行使はしない、武力による威嚇もしない、国際紛争の解決に武力は使わない、こういうことが明記してあります。 この条項に照らしていえば、自衛隊をもっとも強く擁護する人でも、いまでは自衛隊が戦力であることを否定する人はいません。その点からいっても、いまの自衛隊のあり方、ついに海外派兵までやるようになった現状が憲法違反であることは明らかであって、自衛隊を違憲の存在だとするわれわれの立場は少しも変わりません。(日本共産党創立81周年記念講演)

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 自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。(日本共産党創立81周年)

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 すでに半世紀、国民は自衛隊とともに生活してきました。“安保条約と自衛隊なしに日本の安全は守れない”ということが、それこそ、国をあげてという形で広められてきました。憲法と自衛隊との矛盾を解決するには、やはり、国民の合意というものが何よりも大事になります。
 ……
 民主連合政府ができますと、安全保障の問題で、まずやることは安保条約をなくすことです。これについては安保条約に規定がありまして、日本政府が安保条約はいらない、廃棄するという日本の意思をアメリカに通告すると、アメリカの同意がなくても一年たったら条約はなくなる、こういう取り決めがあります。この取り決めに従って、廃棄の通告によって安保条約をなくす、民主連合政府はまずこのことを実行するでしょう。それはもちろん、国民の合意がなくてはできません。

 しかし私たちは、「安保条約をやめて、日本の独立を回復しようじゃないか」ということで、国民多数が賛成だということになったときにも、その多数の方が「一緒に自衛隊までなくしちゃおうじゃないか」ということに簡単に合意するとは思っていません。いくら憲法第九条があっても、「自衛隊をなくしてもいいよ」という気持ちに国民がなるには、やはりそれだけの時間と手続きがいると考えています。日本が憲法第九条に従って、自衛隊を持たなくてもちゃんとアジアで平和に生きていけるじゃないか、そういうことに国民が確信を持てるようにならないかぎり、その合意はすぐ生まれるものではないのです。(日本共産党創立81周年記念講演)

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記念講演天皇制、自衛隊問題でのマスコミ報道

 綱領改定案についてマスコミに書かれるものを読みますと、いちばん興味をもって見ていただいているのが天皇制と自衛隊の問題で、「容認に変わった」「容認に変わった」と書かれました。ことの真相はいま説明した通りであります。

 他党のことをいって恐縮なのですが、村山内閣のときに社会党が方針を変えました。このときには、それまでの安保反対論から安保は必要だということに立場を変えた、それまでの自衛隊違憲論から自衛隊は憲法にかなっているということに立場を変えた、つまりそれまでの革新の立場を捨て、革新の目標そのものを放棄してしまったわけです。こういうことが、現実に妥協して正義の旗をおろす、ということであります。

 日本共産党は、今度の綱領改定案で、基本的な立場と目標を堅持しながら、これらの問題を国民とともに解決してゆく具体的で現実的なプロセスあるいは段取りを明確にしたわけです。いわば正義の旗をどのようにして現実のものとし、日本の現実に具体化するか、このことを明らかにしたところに、綱領改定の精神があるということを、ぜひご理解いただきたいと思うのであります。(日本共産党創立81周年記念講演)


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