パラ五輪の腕無し射手スタッツマンが世界最長を射抜く
パラリンピックのトップアーチェリー選手、マット・スタッツマン(1982年生まれ、アメリカ)氏は、2015年12月、最も遠く正確な射程距離(男子アーチェリー)-Furthest Accurate Distance Men’s Archeryへの挑戦を行い、見事、新たなギネス世界記録を打ち立てました。
FITA(世界アーチェリー連盟)の定める条件の下、アメリカのアーチェリー選手が米テキサス州TPC Craig Ranchにおいて283.47 m (930.04 ft) 前方の的を正確に射抜いたのでした。
生まれつき両腕の無かった「アームレス・アーチャー(腕の無い射手)」は、足と肩で弓矢を巧みに操作する方法を習得し、なんと驚いたことに、健常者の保有していた前記録を破ってしまったのです。
スタッツマン氏(2012年の米パラリンピックアーチェリーチームのメンバーとして銀メダルを獲得)の記録は、2005年にピーター・テリー氏(オーストラリア)によって達成された200 m (656 ft 2 in) の記録を大幅に上回りました。
記録挑戦前にスタッツマン氏は「私には多くの夢があります。その一つがギネス世界記録を破ることです。それが今日実現するでしょう。」と自信たっぷりに語っていました。
そしてこう続けました。「私自身は自分を健常者だと思っています。私の両腕が成長しないことを知った時から、すべてを前向きに捉えるようにし、目標を達成するための障害を全部取り払ったのです。」
今回の記録挑戦は、3日間のMJPプロ強化トレーニングプログラムにおいて、メリッサ・ストックウェル、タチアナ・マクファーデン(陸上競技でパラリンピックに4度出場し11のメダルを獲得)、レックス・ジレット(走り幅跳びの現行パラリンピック記録保持者)など他の選手達が見守る中行われました。
きっと、同じアスリートに見守られての挑戦には、独特の緊張感が漂っていたはずです。逆に、マット選手の全てを前向きに捉えて、立ち向かっていく姿は、立ち会った選手のみならず、他の分野、他の国の人々にも大きな勇気を与えるのではないでしょうか。
マット・スタッツマン選手、ギネス世界記録の達成おめでとうございました!!
- 記録名:Furthest accurate distance – men’s archery
- 記録:283.47 m (930.04 ft)
- 記録保持者:Matt Stutzman,USA
- 挑戦日:2015年12月9日
- 記録のタイプ:アーチェリーの記録