「ブラックNPO」は、日本を良くしないだろ。

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日本の非営利セクターについて、先日こんなことをつぶやきました。

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ジリ貧な日本のNPO

日本の「ブラック企業」は以前よりもはるかに認知されるようになりましたが、非営利セクターも実は、ブラックなんじゃないでしょうか。ぼくはヨーロッパのNGOで働いていました。帰国してこの分野で働いている日本の友人と話しを聞くと、労働条件がはるかによかったと実感をします。北欧の非営利団体へのインタビューも数十団体以上してきましたが、ぽろっと出る、こぼれ話しからその労働条件の良さが伺えます。

フリーシュセット (fryshuset)

YMCA系のストックホルムの学校併設型のユースセンターの入口

もちろん日本で、労働環境が素晴らしいNPOで働いている知り合いもいます。

しかしたいていの場合、日本の非営利団体の求人情報をみると絶望します。こんなに物価の高い国で、この条件は無理ゲーです。加えて、日本は世界的に「働きすぎな国民」として悪名高いので、欧米の若者で非営利セクター志望者は、日本ではやっていきたくない、と思うでしょう。OECDの「よりよい暮らし指標」のワークライフバランスの項目でも日本は38カ国中、34位です。

行政の委託内容の変更にあわせて、委託先のNPOが単年で事業を変えざるをえないのは、先が見通せないし、被雇用者のアイデンティティも揺らいでしまう。そりゃ辞めるよ2、3年で。もちろん経営者にとっては「ガチで業務が回らないのだよ…」なのででしょう。。したがって、意図に反して労働者が「消耗品」にならざるをえず、ブラックになってしまう。

NPOをブラックにしているのは、日本の行政では?

非営利セクターの持続可能性を、社会が支えようとしないことは明らかです。民間であれ共に目指したいのは、持続的な社会じゃなかったんですか。「社会貢献でメシを食う」の著者、竹井善昭さんもこう指摘してます。

心のキレイな人たちが持続可能な活動を行うためには、まっとうな報酬が必要。欧米のNPOでは当たり前の理屈だ。日本の社会もこのことを理解する必要がある

IT Media ビジネス | 20代の若者が、“心のキレイ”な人を食い物にしている (2/3)

そもそもは日本は、公的セクターへのパイが圧倒的に少ないことが根本的な問題なんだから、そこで連帯していかないと。それでパイを求めないと。

ヨーロッパは、国内だけでも税収が非営利に多くが充てられますが、EUや欧州議会からの助成金も豊富です。EUが、「社会経済(social economy)」という名の下に民間非営利組織に対する支援に重きを置いているのは、1989年にEC委員会(EUの前身)に「社会的経済」部局を設置したことからも明らかです。それは、EU統合による国家間の資本の自由移動にともなう、地域社会の衰退化に歯止めをかける必要があったからです

本当に日本の非営利セクター、沈んじゃいますよ。

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このブログの運営者

ストックホルムに3年、ベルリンに8ヶ月住んでいた、ゆとり世代の日本人です。ヨーロッパ・北欧の社会、若者、若者政策を研究。フリーランスとして現地のIT企業を取引先に働くかたわら、スウェーデンの若者政策、ユースワークの視察・通訳や翻訳などにも携わる。ストックホルム大学国際比較教育修士課程に在籍 / 東京大学 教育学部 特別研究生

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