情報システムのトピックス-PR-

木村岳史の極言暴論! 日経コンピュータ

ITムラの技術者を襲う“ミスマッチ失業”の恐怖

2016/08/08
木村 岳史=日経コンピュータ (筆者執筆記事一覧
『SEは死滅する』の第2弾登場!ITproの名物コラムニストが再びIT業界の不条理を斬る。日経コンピュータ元編集長の木村岳史の本『 SEは死滅する 技術者に未来はあるか編』。定価1500円+税。2月23日発行!

 真夏の暑い日々が続いている。夏休みモードでもあることなので、今回の「極言暴論」では、技術者の皆さんに少しでも涼んでいただくために、怖い話をしたいと思う。題して「ミスマッチ失業の恐怖」。私が言うところの“ITムラ”の技術者、つまりユーザー企業のIT部門と、SIerなどのトラディショナルなIT業界にいる技術者には近い将来、確実にリアライズする怪談である。

 なんで、こんなふざけた書き出しにしたかというと、目の前の業務に忙殺されてか、多くの技術者があまりにも先のことを考えていないからだ。私は、SIerを頂点とする多重下請け構造のIT業界は滅びると主張している(関連記事: SIerの余命は5年、オオカミは本当にやって来る)。ユーザー企業のIT部門も間もなく用済みになるとも言っている(関連記事:寿命が尽きるIT部門に「終活」のススメ)。

 こうした記事はバカ受けするのだが、技術者の皆さんの危機感が高まらない。いや、強い危機感を持つ人もいるが、その危機感が技術者の間に広がらない。多くの技術者がボーっとしている。「なぜだろう。私だったら心配で夜も寝られない」と不思議だったのだが、そうかと思い当たった。ITベンダーやIT部門といった組織が“オワコン”と言われても、我がこと感を持てないに違いない。

 だが、個々の技術者個人の問題に引き寄せてみたらどうか。ITベンダーやIT部門の問題は、技術者個人が持つ技術やスキル、経験などの価値の磨耗という問題になる。ビジネスのあらゆる領域でITが活用されるデジタル化の時代を迎え、技術者不足はどんどん深刻になっていく。だが、ITムラの住人の技術やスキル、経験では対応できない。技術者への求人はどんどん増えるが、皆さんは用済みなのである。

 これをミスマッチ失業と呼ぶ。例えばCOBOL技術者。金融のシステム開発などがパニック状態だったこともあり、ITベンダーは若者をせっせと“コボラー”に仕立て上げたが、彼らは数年後にはお払い箱になるリスクに直面する。こう言うと、その道の大御所たちは「COBOL技術者へのニーズは将来もあるから大丈夫だ」と反論してくるだろう。だが、そんな世迷い事を信じてはならない。大丈夫なのは彼らであって、あなたではない。

今週のトピックス-PR-

今日のピックアップコンテンツ-PR-

>>もっと見る

▲ ページトップ

これからのIT投資術-PR-

ピックアップコンテンツ-PR-

>>もっと見る

ITpro EXPO 2016

日経コンピュータ Digital

ITpro partners

イベントINFO -PR-

最新号

注目のセミナー

申込受付中!

ゼロから分かる「機械学習」実践講座 《演習付き》

演習を通じて機械学習の実力をいち早く体感!基本から活用のノウハウまでを伝授【7/29開催】