オリーブオイル
2016年08月08日03:01
日記
なかなかにセンセーショナルだったこちらの本。
もはやどのご家庭にも1本は常備されているであろうオリーブオイルですが
「オリーブオイル市場の闇話」は、前々からちらっと聞いてはいたのですよ。
んでそういった闇の話に切り込んだ本ってないのかなーと探していたところ、見つけたのがこちらの本。
ちなみになんですが、こういう本(↓)もあります。
こっちもかなり気になったのですが、発行年数が新しい方が情報も新しいのではないかと思い、「そのオリーブオイルは偽物です」のほうを買ってみました。
「エキストラバージンオリーブオイル」とは
オリーブオイルはいわゆる「一番搾り」の「バージンオイル」があって、その中でも
・エキストラバージン
・バージン
・オーディナリーバージン
・ランパンテバージン
の順に等級があり、
さらに、非食用ランクのものを精製し、エキストラバージンを少し混ぜた「ピュアオリーブオイル」や
「ポマースオイル」と呼ばれる「二番絞り」のオイルなどがあります。
最高グレードが「エキストラバージン」と呼ばれるもので、
「エキストラバージン」を名乗れるのは、
本来ならば
いくつもの理化学分析基準を全てクリアし、風味官能検査で味や香りに欠陥が1つもない、とても貴重なオイルなのだそう。
うちのオイルには「エキストラバージンオリーブオイル」って書いてありますけど。
「うちのオリーブオイルには『エキストラバージン』って書いてあるから大丈夫だわ〜」と思っても、
日本には「エキストラバージン」表示に関する法規定が何もなく、
エキストラバージンじゃないものを、エキストラバージンと表記しても品質偽装に問われることがない
つまるところ、書きたい放題であり、割合で言って、ボトルのラベルは嘘ばかりだそう。(ガーン)
(「有機」の表示に限っては、認証制度の法体系が存在している)
ですが、表示に関する日本の規制がゆるいことだけが悪いわけではなく
店頭に並ぶオリーブオイルのほとんどが輸入品なのですから
本来ならば、産地国がしっかりとした品質規定を設けて、確実で透明性のある検査を行うべきで、本書では
品質偽装を防ぐために日本がわざわざ自らの税金を使って国内の法規制を整備したり、IOC(※)への加盟を検討したりする前に、そもそも売る側の責任としてきちんとした品質を明示する義務を果たしてほしいものです。
と指摘しています。
※IOC=国際オリーブ協会
本書の中にはスペイン・イタリアの「エキストラバージンオリーブオイル」の輸出量と、日本(含む他国)の輸入量を示すグラフが載っているのですが、
「エキストラバージン」としてスペインやイタリアが輸出したはずのオリーブオイルと、
日本が輸入したはずのオリーブオイルの数量が一致しておらず、
輸入量がはるかに上回っていて、つじつまの合わないことになっています。
「そのオリーブオイルは偽物です」P.22 より
そもそもこの本は、流通しているオリーブオイルの80%が偽物で、本物は20%に満たないという話から始まります。
ひまわり油・ピーナッツオイル・大豆油・低級オリーブオイルなどの安い油を混ぜてあったり
緑色の色素を添加してあったり
低級のものを「エキストラバージン」と偽装してあったりで
「オーガニック認証」に関しても、あくまでも栽培法や製法の認証であって
ボトルの中身の商品の品質を表すものでは一切ありません
また、
値段が高くても品質の保証にはならない
と言い切られております。(ドーン)
値段が高くても品質の保証にはならないとは言え、逆に、大容量のペットボトルや、遮光性のない瓶に入っている安価なオイルなどに期待できないのは、想定の範囲内ですよね。
某有名高級スーパーでそこそこの値段で買ったから大丈夫!と思いたいところですが
そもそも商品の販売元ですら、そのオイルがどこの国のどの畑でどのように作られたものなのか把握していないケースが大半なのだとか。
本書の冒頭の方で書かれていることなのですが
一度都内の有名デパートや高級スーパーで発売している商品を購入し、中身を検証してみたところ
某有名デパートでは15品中11品が偽物、某高級スーパーでは18品中15品が偽物
という結果になったそうな。
で、結論から言うと
専門家でもボトルだけでは中身は分からない
のだそうです。
「本物」を選ぶガイドライン
えー、じゃあどうやって本物の「エキストラバージンオリーブオイル」を探せばいいのー!?
って話なんですけど、
「本物」のオリーブオイルを見分けるひとつの指標が「生産者」で
ひたすら品質を追求する、素晴らしい生産者が少なからず存在する、とのこと。
それを見つけるには
世界各国で開かれているオリーブオイルの品評会の結果発表をチェックすること
だそうです。
コンテストの結果を海外のサイトまでチェックして探すのは大変、という人のためのガイドラインが
日本で行われている「OLIVE JAPAN」。
そもそもこの著者の多田 俊哉さんという方は、世界各国のオリーブオイルコンテスト審査員を歴任し、2012年に日本で初めてオリーブオイルの国際コンテスト「OLIVE JAPAN」を開催したのだそうです。
なのでこの本は、若干「OLIVE JAPAN」(とともにオリーブオイルソムリエ協会)の宣伝色があるっちゃあるんですけれども、
それにしたって「よう言うたな!!!!」と、読んでるこっちがハラハラするような(この人消されない!?と心配になるような)「オリーブオイル市場の闇」にかなり突っ込んで書いているし、
なにより「本物のオリーブオイル」がいかに素晴らしいかを伝えたいからこそ書いた、というような「オリーブオイル愛」を強く感じる本だったので、個人的には信頼のおける機関であるように感じます。
本書の中に「日本で買える OLIVE JAPAN 2015」を受賞したオリーブオイル一覧が載せてあるのですが、
最新版である2016年の受賞者リストは、サイトから確認することが出来ます。
>>> OLIVE JAPAN 2016 国際エキストラバージンオリーブオイルコンテスト 各賞受賞者
>>> OLIVE JAPAN 2016 国際オリーブオイルコンテスト 最優秀賞受賞のボトル写真公開
ただ、2016年の受賞リストは、リンク先が本国の自社HPになっており
受賞はしていても、全て日本で購入出来るというわけではないよう。
2015年の「OLIVE JAPAN」で最優秀賞を受賞していて、なおかつ日本で買えるものを検索してみたところ
マルケス・デ・グリニョン (スペイン)
オロ・デル・デシエルト (スペイン)
エグレヒオ (スペイン)
ムエルオリヴァ (スペイン) (本書の中では「ムエラ・オリーバ」と表記されてました)
などが楽天・アマゾンで見つかりました。
最優秀賞でなくて金賞だとかなりの数があり、ひとつひとつ検索するのは大変なんですけど
オリーブジャパンで検索すればたくさん出てきます。
「値段が高くても品質の保証にはならない」とは言え、やっぱりほとんどはそこそこのお値段ですねえ。
ちなみに、日本産のオリーブオイルも健闘しておりまして、最優秀賞はなかったものの、金賞を受賞しているのは
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など。
(探し方が悪いのかほかのは楽天で見つけられませんでした)
受賞しているオイル以外にも「本物」はあると思いますし、「OLIVE JAPAN」以外にもコンテストはあるので、これが全てでは決してないけど、
今後、オリーブオイルを選ぶ上で、ひとつのガイドラインとして参考にはなるかなと。
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