国立長寿医療研究センターなどは、老化した細胞を取り除き、肺を若返らせることにマウスの実験で成功した。老化細胞が肺の組織にどう影響するかは不明だった。老化細胞だけを薬剤などで殺す方法を開発できれば、年に1万6000人が亡くなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療につながるとみている。
細胞は紫外線などの刺激でDNAが傷つき、老化が進むと増殖しなくなる。こうした老化細胞は若い頃は免疫機能によって取り除かれる。加齢とともに免疫の働きが低下すると蓄積が進み、周囲の細胞を傷つけて病気を引き起こすといわれる。
丸山光生部長らは、マウスの遺伝子を操作し、肺の細胞が老化したときにだけ毒素を取り込んで除去できるようにした。生後12カ月のマウスに毒素を投与したところ、老化細胞が取り除かれ、肺の弾力性が回復した。
肺の弾力性がなくなると、呼吸が困難になるCOPDなどを発症する。老化細胞は様々な臓器にあるとみられ、除去法が開発されれば、若返りにつながる可能性がある。