蕎麦屋で板わさを愉しめるオトナになりたい
蕎麦屋呑みに開眼している昨今。深夜残業に疲れた身体をひきづりながら酒彩蕎麦初代に入る。金曜日の夜に朝の四時まで開店してるからあ、良い雰囲気のカップルや終電を逃したらしいOLで賑わう。
板わさと日本酒。竹に入った日本酒が嬉しい。板わさはおかめそばの材料をアテにしたのが由来と言われる伝統的なメニュー。蕎麦屋の初手にビールとカマボコを頼むのを「ボコビー」なんて言うぐらいポピュラーなのだけど、実は初めて頼んでみた。だって数切れの蒲鉾に600円とか払うんだよ!? 僕にとってはオトナの象徴なのであった。
鮫肌でおろしたたっぷりの山葵を蒲鉾に乗せると酒が進む。いい蒲鉾を使ってる気がするけど、これは山葵を心置きなく楽しむための料理なのだなと。刺し身も山葵の美味さが決めてだけど、魚を主役すると醤油や山葵が最低限になってツマミとしては弱くなるが、蒲鉾は山葵を引き立てる脇役の分を弁えている。板わさ、侮りがたし。
六種の塩をアテに呑む
人気メニューの白魚揚げ。サクサクで如何にも塩が合う。初代には六種の塩があって、これらの組み合わせて味の変化を愉しめる。
- 大島
- 広島(藻塩)
- 沖縄
- 新潟
- フランス
- パキスタン
なんなら塩だけをアテにお銚子もう一本。「素材の味を楽しむ」なんてキャッチコピーがあるが、「山葵を味わう板わさ」「塩を味わう白魚揚げ」「焼き蕎麦味噌」などなど調味料をちびちび味わいながら日本酒を進めるのが蕎麦屋呑みスタイルなのかもしれない。「蕎麦前」で満腹なんてのは野暮天。
〆のクリームカレーうどん
蕎麦屋だから〆には蕎麦だと思った? 残念。クリームカレーうどんでした。きっと蕎麦は蕎麦で美味いのだろうけれど、酒彩蕎麦初代に来るとクリームカレーうどん(正式名称は初代カレーうどん)を頼んでしまう。
初めて入ったときも「初代クリームうどん」という謎の文字列に誘われたのだった。
すこしだけ残しておいた白魚揚げを天かす感覚で投入して混ぜると、マイルドなカレーうどん。クリーム部分はじゃがいもマッシュポテトに生クリームを加えたムース。喫茶マウンテンの甘口抹茶小倉クリームスパゲティのような甘さはないので安心してほしい。クリーム・出汁・カレー・うどんがひとつに絡みあって酔った身体に染みこむ。クリームカレーうどんも調味料を味わう一品なのかもしれない。「今週もお疲れ様でした」と自分で自分を労いながら家に向かう。
- 作者: 古川修
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