以前、サイト売買に関する記事
「100万円でWEBサイト売買を試してみて分かったこと」
http://www.site-z.com/entry/?p=16
の最後で、サイト売買の節税効果について言及したところ、
この部分に少なからず注目が集まりました。
結論からいうと、購入するサイトによっては、
サイト売買が大きな節税手段になることが期待できます。
そもそも、サイトを購入するとき、
購入費用はどう会計処理すればよいのでしょうか?
今回、税務署や税務関連の出版社、税理士にヒアリングし、
結果をまとめましたので、参考にしてください。
なお、本題に入るまえに、あらかじめお断りしておきます。
購入費用の処理方法については、最終的に、
個別の案件ごとに、購入した方から顧問税理士に確認していただく
必要があります。
詳細な理由は後述しますが、
サイトを売買するという行為を現状の税法が想定できておらず、
全てのケースに適用できる見解が提示されていないからです。
では、本題に入ります。
サイトにソフトウェアが組み込まれているかどうか?
基本的に、サイトを購入した場合、購入費用は
「一括償却」、もしくは、「5年間で償却」
することになります。
購入したサイトに、「ソフトウェア」が含まれているかどうかで
償却期間が変わってきます。
含まれていなければ一括償却、含まれていれば5年で償却することになります。
では、何がソフトウェアに該当するか、というと、
定義が非常に曖昧なのが実態です。
静的なHTMLファイルから構成されているサイトであれば、
ソフトウェアには該当しません。
動的なファイルが存在する場合が問題です。
いろいろと情報を集めたところ、
少なくとも、以下に挙げた機能はソフトウェアとみなされるようです。
・検索機能
・ログイン機能
・オンラインショッピング機能
・チケット等の予約機能
・ゲーム機能
・動画配信機能
この他にも、サーバーを介してデータベースと情報のやりとりをするものは
ソフトウェアに該当するという見解もあります。
しかし、この見解では、ワードプレスなどのCMSも
内部でMySQLを使用しているので、ソフトウェアに該当してしまいます。
ところが、実態は、ワードプレス程度であればソフトウェアとしてみられていない
事例が見受けられます。
ですので、単純にデータベースと連携しているからといって、
ソフトウェアとみなされるわけではありません。
またCGIで作成された簡易的な問合せフォームなどは、
ソフトウェアとみなされないという見解があります。
結局、ソフトウェアって何?
何をもってソフトウェアとみなすのか、税務署に確認したところ、
「外部に制作を委託した時に、委託先からの請求内容がソフトウェアであれば、
ソフトウェアとみなす」
という曖昧な回答でした。
請求書の書面上、いくらでも書きようがあるのは…と思いましたが、
「そこは善意に任せる。必要に応じて調査する。」
とのことでした。
正直、拍子抜けする回答でした。
ただ、これは仕方ないところがあります。
というのも、サイトを購入する費用の扱いについて、参考となるものが、
平成26年4月1日に国税庁サイトで発表された以下の内容だけだからです。
Q.インターネット上に広告宣伝用のホームページを開設しました。その制作のために業者に委託した費用は、広告宣伝費等として一時の損金にするのでしょうか。それとも、繰延資産として償却するのでしょうか。
A.通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。
また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。(法令13、耐令別表第三)
サイト制作を想定した質疑応答ですが、
サイト売買にもこの概念は適用できます。
ここでは、サイトを一括償却できないケースが2つあげられています。
1つ目は、
「ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合」
です。
サイトを更新しないまま1年以上も放置することは通常ありえないので、
この規定は(ほぼ)意味がありません。
2つ目が、
「制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれる」
場合です。
これについてはすでに上で述べたとおりです。
この指針以降、国税庁からは新たな指針が何も発表されておらず、
現場の職員も、都度、署内上部に判断を仰がざるを得ない状況かと推測されます。
ですので、ソフトウェアかどうかの判断は、上に挙げた6つの機能
検索機能、ログイン機能、オンラインショッピング機能、チケット等の予約機能、ゲーム機能、動画配信機能
に留意し、
判断に迷う部分については、都度、税理士に判断を仰ぐしかありません。
あまりにも高価なサイトは「のれん代」として扱う?
一口にサイト売買といっても、
高収益サイトもあれば、収益のあがっていないサイトもあります。
高収益のサイトを購入する場合、
ここまで述べたこと以外にも、注意が必要です。
仮に毎月100万円の収益があがっているサイトを、
2,000万円で購入したとします。
この場合、サイトにソフトウェアが組み込まれていなければ、
購入費用2,000万円を一括償却できるのでしょうか?
これはあくまでも弊社の見解ですが、
一般的なサイト制作費用(100万円~数百万円)を大きく上回る額でサイトを購入した場合、
サイトの現在価値と購入価格の差額を「のれん代」として計上しなければならないと思われます。
サイトの現在価値とは、売主側の帳簿上のサイト価格のことで、
売却するときは、通常0(ゼロ)円になっていることが多いと思います。
この差額を「のれん代(営業権)」として計上して、
5年で償却していく必要があると考えています。
ですので、サイト売買で節税をはかるのであれば、
「ソフトウェアとみなされる機能が付いていない、
100万~数百万円程度の中小規模のサイト」
を購入すれば、一括償却できる額が大きいため、
有効な節税策になると考えられます。
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(注)記事全文について税務署に確認をとったわけではありません。
実際に売買をされる場合は、必ず、顧問税理士に確認をとってくださるようお願いします。
本記事により読者の方に何かしらの不利益が生じても責任を負うことはできませんので、
ご了承ください。