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レイヴンの記憶 作者:ロボ好き
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暗い光へ消える【レイヴンの絶望】

今日、俺はもう一度、傭兵になった。
3月10日、俺は、傭兵として、ある宿で目をさました。この世界での記憶は無かった。
では、目が覚めた俺の脳内で駆け巡っていたものはなにか。
9の字がついた赤い機体。
管理者の存在。
無人兵器との境界線。
特攻兵器の雨あられ。
最強の機動汎用兵器アーマードコア。
ーいくつもの前世が、俺にはあったのだ。ー




「アシオト。新しい依頼が入ったわ」

専属オペレーターのユウナから通信が入る。

「了解した。作戦内容を…」

「えぇ。待って。」

俺…アシオトはため息をついて言った。

「いい加減機嫌直してくれないか?ほら、今度チョコパフェ奢るから」

「傭兵に奢られるなんてまっぴらだわ」

ツンとした声が帰ってきた。はぁ。
彼女から俺たちの生い立ちは聞いた。かなり変人扱いされたが。要約すると、俺たちはストリートチルドレンだったようだ。ある日、俺は企業の輸送機に忍び込み、ACを強奪した…らしい…完全に覚えがないが。と言うかそんな度胸が俺にあったことじたい驚きだ。偶然それを見ていた彼女に口止め料として、金を払うことになったそうだ。俺は傭兵となり、彼女はオペレーターとなりコンビを組んだ…と言われた。
正直訳がわからん。が、俺がACをかなり扱えた。
あの日宿屋から出て、いくつか依頼をこなしたが、どれもほとんど被弾は無かった。ちなみに、彼女が怒っている理由は、超高級チョコパフェを冷蔵庫に入れていたのに俺が食っちまったからだ。いや、俺が稼いだ金だし…なんて言ってると愛想をつかされかねない。あぁ、頭が痛い。

「で、今回の依頼は…国家…からよ」

「は?国家?」

「そう。敵の新兵器の撃破を依頼してきたわ」

現在国家はほとんど国を統率できていない。
代わりに企業が、土地を分けて治めている。
つい先日、その国家と、ある企業との戦争が始まったと聞いた。恐らくその依頼だろう。
「詳しい情報は現地で話すそうよ」

「報酬は?」

「もう!いつもそれね」

「俺たちが傭兵になった理由は?」

ユウナは呆れたように言った。

「まぁ……そう…ね。バカ高いとだけ言っておく」

少し考えたが、悪い話ではないようだ。新型も一機だけだという。

「わかった…じゃあ、出るか。」

俺はACを通常モードに移行させた。




ー現地ー
「軽量二脚。OB搭載。カラサワMk-2一丁、ブレードを装備、です。」

と、隣の重量四脚ACのレイヴンに伝える。

「さすがに話題の若手レイヴンだな。カラサワなんざ、そう手に入らないぜ」

と、感心した様子でそのレイヴンは呟いた。アシオトも質問をぶつけてみる。

「それにしても何ですかね?このACの数は。あんな高い報酬なのに」

四脚ACのレイヴンは静かに答えた。

「それほどの新兵器なんだろう。油断すれば死ぬぞ」

「は、はい…」

そう、今ここには10機以上のACがいる。ロームシティという町中だ。無人都市で、ほとんどのビルや建物は崩壊している。
それは、突然飛来した。


突然巨大なビルの上に黒い敵機が降り立ったのだ。
そこへ10機以上のACの銃口が向く。すでにどの機体も準備していたらしい。
集中砲火。
大型対ACミサイルが2発も飛び、グレネードは3発撃ち込まれた。もちろん、アシオトもカラサワを何発もぶちこむ。他にもたくさんの弾丸が撃ち込まれた。敵機は動かなかった。大きな黒煙が立ち上る。これで大破しない兵器はいないだろう。誰もがそう思っていた。が、次の瞬間、突然煙が吹き飛び、光の膜につつまれた敵機が現れる。

「なにっ!」

アシオトは身の危険を察知し、瞬時に建物の影に身を隠す。
次の瞬間何人ものレイヴン達の悲鳴が耳に飛び込んできた。

「……な…んだよ…あれ…」

たまらずアシオトも呟やく。"それ"は、今までの記憶にあるどんな異質な兵器よりも、"恐怖"をアシオトに押し付けていた。

「…くっ……」

アシオトは折れそうになる心を補強して、OBスイッチを弾き、一気に敵へ接近する。そこで撃てるだけのカラサワを撃ち込もうとしたのだ。アシオトの指がトリガーにかかる。

「…あっ…」

目を疑った。なんの予備動作もなく敵は高速で真横へスライドしていったのだ。カラサワのエネルギー弾が虚しく明後日の方向へ飛んでいく。次の瞬間アシオトのACは地に伏していた。一瞬遅れて全身に痛みが走る。恐ろしい速度でアシオトのACの右腕を切り飛ばし、地面へ叩きつけたのだ。カラサワがビルの裏側へ吹き飛んでいくのが見える。この圧倒的性能差にアシオトは呆然とするしかなかった。金属がネジ曲がる音と共に先程の四脚ACの左腕が、すぐそばに転がる。瞬間、絶望感が、アシオトを支配した。しかし、レイヴンとしてのプライドがアシオトを立ち上がらせた。

「ま…だ……」

何とか機体を立ち上がらせるアシオトは、大きくサイドステップを踏み、建物の影から踊り出す。カメラで敵機を捉えたアシオトは、再びOBを起動し突撃した。敵機は後ろを向いている!いける!

「こ、このやろう!」

渾身の気合いを込め、レーザーブレードを叩き込んだはずだった。ブレードは敵へ届かなかった。レーザーで形成された刀身が宙を切る。そのまま敵機とすれ違った。

(しまった!)

ぎろりとこちらへカメラが向き、ライフルを向けられる。

「あ、あ…」

ユウナに、パフェ…奢らなきゃな。アシオトの新たなレイヴンとしての記憶は、早々に光の中へと消えていった。

「黒い…鳥…?」

ユウナの呟きと共に。






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