【巨人】今季初7連勝で広島に4・5差!坂本、8戦連続マルチで31年ぶり球団記録
◆広島2―3巨人(6日・マツダスタジアム)
巨人が広島に逆転勝ちして2年ぶりの7連勝、ゲーム差を4・5に縮めた。1点を追う5回、坂本が同点打、村田が勝ち越し二塁打を放った。猛打賞の坂本は中畑清らの持つ8試合連続マルチ安打の球団記録に、31年ぶりに並んだ。大竹寛は6回途中2失点で4勝目を挙げた。絶好調の主将に引っ張られ、打線も6試合連続2ケタ安打。この勢いで、一気に3タテを狙う。
体勢は崩されたが、外角に逃げていくボールが、バットに吸い付いてくるようだった。坂本が左手一本でフォロースルーをとると、打球は前進守備を敷いたショートの右を抜けた。「いい形でつないでくれたので、まず1点と思って打席に入りました。同点に追いつくことができて良かったです」。1点を追う5回1死三塁、黒田から同点の左前打。今季8度目の猛打賞で広島を沈めた。
初回に右前安打、3回先頭では左前にはじき返し、2リーグ制後、巨人では1954年の与那嶺、85年の中畑に並ぶ、8試合連続のマルチ安打を放った。5回のタイムリーで、5日から5打席連続ヒット。「継続できるように頑張る」。さらに7、9回には四球を選んで7打席連続出塁と、手がつけられない。
打線も絶好調で、12年以来、4年ぶりとなる6戦連続2ケタ安打。由伸監督も「なかなか次の1点が遠かったけど、いい攻撃をしてくれている」と目を細めた。
最近11試合でマルチ安打は実に10度。下半身などに疲れが見え始めた中、神ってるモードに突入した。プロ10年目の27歳に何が起きているのか。内田打撃コーチが目を丸くする。
「坂本がバットを振るところに、投手がボールを投げ込んでいるみたいだね」
安打量産の秘密は、打席で相手投手に仕掛ける“マジック”の存在にある。「もう10年目だし、引き出しは持っている。いろいろと工夫している」。試合の流れや投手の特徴を見て、打席ごとにスタンスの幅を変えたり、バットを短く持つなど微調整。黒田に対しては「ボール球を振らないように」と、多彩な球種に対応するため左足の上げ幅を抑え、コンパクトなスイングに徹した。
打率は3割4分3厘に上げ、依然リーグトップ。出塁率でもトップのヤクルト・山田に5厘差の4割4分2厘と“2冠”も射程圏だ。これで14年6月以来2年ぶりとなる7連勝で、広島とは最大11差から気づけば4・5差。「7連勝は置いといて、あしたが大事なのでしっかりやりたい」。リメークドラマ、そして12年の最多安打以来となる打撃タイトルへ。一皮むけた坂本が、スーパースターへの道を再び歩み始めた。(中村 大悟)