男子予選 予選を終え厳しい表情の内村航平(右)ら体操日本代表=リオデジャネイロ(撮影・桐山弘太)【拡大】
五輪には魔物がいた。金メダルを狙えるはずだった鉄棒で内村が最初の離れ業「屈身コバチ」でバーをつかみ損ねた。14・300点に終わり、まさかの落下で種目別決勝も逃した。地元ブラジル勢への大声援が場内に響く会場で、キングが失意のスタートとなった。
「これが五輪。練習でうまくいっていたので少し過信があった」
最初のあん馬で田中佑典が落下。山室光史が跳馬で尻もち、平行棒で落下と失敗を重ね、内村にも仲間のミスが波及した。最終種目の床運動では白井健三がラインオーバー。15・333点と、種目別決勝進出へ微妙な得点にとどまった。
内村は大技の「リ・シャオペン」に挑んだ跳馬は15・533点と高得点をマークするなど、全体的にみれば悪い内容ではなかった。主将として臨む3度目の大舞台。個人タイトルには興味を示さず、団体金メダルだけを見据えてチームを引っ張ってきた。「何が起こるか分からないのが五輪。決勝に向け、気持ちを切り替えることだけを考えたい」。アテネ五輪以来となる“栄光の架け橋”の再現へ、ニッポンの真価が問われる。 (江坂勇始)