「学資保険」と聞いて、皆さんはどのようなものをイメージしますか?
「子供ができたら、まず入るもの」「子供の学費に備えるために入るもの」など、漠然としたイメージをお持ちの方は多いでしょう。間違いではありませんが、このような漠然とした理解ですと、いざ加入しようとした際に、誤った選択をしてしまう可能性もあります。
そのような事態にならないよう、このページでは学資保険に関して、これだけは押さえておきたいというポイントをご紹介いたします。
目次
なぜ学資保険があるのか
そもそも、なぜ「学資保険」というものができたのでしょうか?
当たり前のことですが、子供を育てるにはお金がかかります。月々の生活費も増え、それに加え教育費も重なってきます。そのようになってくると、教育費が払えないとなってくる家庭も出てくるでしょう。こういった状況にならないよう、金銭的な補助をするためにできたのが「学資保険」なのです。
参考までに、以下で子供にかかる教育費を見ていきましょう。
幼稚園〜大学に至るまでに必要な教育費
このデータは、文部科学省の「平成24年度子どもの学習費調査」を参考にして作成しております。
幼稚園〜高校
はじめに幼稚園〜高校に通うのに必要な費用を見ていきましょう。小学校、中学校で公立に行くか私立に行くかで非常に大きな差が現れます。
| 公立 | 私立 | |
|---|---|---|
| 幼稚園 | 230,100円 | 487,427円 |
| 小学校 | 305,807円 | 1,422,357円 |
| 中学校 | 450,340円 | 1,295,156円 |
| 高校 | 386,439円 | 966,816円 |
大学
学費の中では、一番大きな出費になるであろう、大学費用について見ていきましょう。国立大学に行く場合と私立理系大に行く場合では、300万円以上の差が出てしまいます。
| 国立 | 私立文系 | 私立理系 |
|---|---|---|
| 5,184,000円 | 6,908,000円 | 8,125,000円 |
幼稚園〜高校まで公立で、大学が国立に行った場合にかかる学費の総額が「約650万円」。
幼稚園〜高校まで私立で、大学が私立理系に行った場合にかかる学費の総額が「約1,200万円」。
学費だけでもかなりお金が必要になってくることが理解いただけるかと思います。
大学を卒業するまでに必要なお金は平均で「約1,640万円」
子供が大学を卒業するまでに必要なお金は、平均で「約1,640万円」と言われています。子供を育てることは、思った以上にお金がかかることなのです。
子を持つ親としては、子供に勉強では不自由をしてほしくないと思う方がほとんどでしょう。
そのようなことにならないよう、このページの内容を読み、学資保険に関する理解を深めて頂ければと思います。
学資保険に関する基礎知識
ここからは、学資保険に関して最低限必要な基礎知識について解説していきます。
学資保険は上でも解説した通り、子供の教育費などにかかるお金を補助することを目的とした保険です。満期を設定し、毎月保険料を支払い、満期を迎えると満期金を受け取ることができます。そして、受け取ったお金を学費に当てる、というのが学資保険のよくある使われ方となっています。
以下で、学資保険のその他の特徴について説明します。
お祝い金
学資保険は上で説明した通り、満期を設定して毎月保険料を支払い、満期を迎えた際に満期金を受け取る、というものがベースになっています。それに加え、小学校入学、中学校入学といった節目に「お祝い金」としてお金を受け取ることができる商品も存在します。
「すごいお得!」と思った方もいるかもしれませんが、このお祝い金は、自分が毎月支払っている保険料から支払われます。よって、満期を迎えた際に受け取ることのできるお金が減ってしまいます。
しかし、分割して細かく受け取れる方が嬉しい、といったニーズも多く、このような「お祝い金」がついた学資保険に入る人も増えています。
払込免除特約
学資保険には、払込免除特約という特約が自動的に付いてきます。払込免除特約とは、親がなくなってしまったり、障害を抱えてしまい、働くことが困難になってしまった場合などに、それ以降の保険料の支払いが免除されるという制度です。
この特約が適用された場合でも満期金やお祝い金は、保険料を毎月支払った場合と同等のものを受け取ることができます。
生命保険料控除の対象になる
学資保険は生命保険料控除の対象にもなります。
生命保険料控除とは、一言で言うと税金が安くなる制度です。
自分の所得から生命保険料を引くことができるため、所得税、住民税といった税金を減らすことが可能になります。
生命保険料控除は、生命保険にしかつかないと思われがちですが、学資保険も生命保険料控除の対象になるので、損をしないように忘れずに申告を。
学資保険はどのように選ぶべきか
ここまでで、学資保険とはどのようなものか、大枠は理解できたことでしょう。では、実際に学資保険はどのように選べばよいのでしょうか。
以下でよくある学資保険の選び方と、注意点について紹介します。
いつ、どのくらいのお金が必要になるのかを意識する
学資保険の目的は、冒頭でも説明した通り、子供を育てるに必要な金銭を補助することです。つまりは、どの時期に、どのくらいのお金が必要なのか、ということを考えることが重要になってきます。
子供を育てていく過程で、一番大きなお金がかかるタイミングは大学です。入学金に加え4年間の学費ともなると、その金額は膨大なものになってしまいます。そのため、多くの人は学資保険を、子供が大学に入学する年齢で満期を迎えるように設定し、加入しています。
以下で、簡単な例をあげて具体的に説明していきます。
32歳で0歳の子供がいる場合
32歳で0歳の子供がいる人を例に説明します。
子供が大学に入学するまでに18年の期間があります。大学の4年間でかかる費用を、仮に500万円とします。そして、この学費に備えるために払戻率10%の学資保険に加入したとします。
すると、月々の保険料の支払いは以下のように求めることができます。
月々の支払額(万円) > 12(ヶ月) * 18(年) * 1.1(利率) / 500(万円)
これを計算すると、月々の支払額は約2万円ということになります。
毎月2万円づつ通常の積立を行うと432万円にしかなりません。
このように、毎月2万円の保険料の支払いによって、子供の学費を担保することができます。早い段階から学資保険を検討するという選択肢もぜひ考えてみてはいかがでしょう。
学資保険を選ぶ際の注意点
学資保険に加入する際に注意したいのが、「元本割れ」になっていないかどうかです。
「元本割れ」とは、満期を迎えた際に支払われる金額が、支払った保険料を下回ることです。
必ずしも元本割れする商品が悪いという訳ではありません。元本割れが起きてしまうのにも理由があります。
「あれ?思ったよりもお金がもらえない!」とならないようしっかりと自分の加入している商品を理解することが大切です。
なぜ元本割れが起きるのか
元本割れが起きる理由は、加入した学資保険に付いている「特約」が原因であることが多いです。
学資保険の基本的な仕組みは、自分が毎月支払った保険料に対して、利息が付き、満期を迎えた際に戻ってくるというものです。
しかし、ここに対して様々なオプションをつけることができます。そのオプションのことを「特約」と呼びます。
学資保険において有名な特約としては、「医療保険特約」などがあります。「医療保険特約」とは通常の学資保険に医療保険に近い機能が付いているものです。当然サポートする領域が増える訳なので、その分だけ利率が下がってしまいます。
このようなオプションが、いくつかつくことで元本割れが起きるケースが多いです。
特約をつけることが悪い、という訳ではありませんが、よくわからないという方は、できるだけ特約のついていない、シンプルな状態での学資保険加入がおすすめです。
学資保険の現状
世間ではどのくらいの家庭が学資保険に加入していて、毎月どのくらいの保険料を支払っているのかなど、学資保険の現状について以下で紹介します。
引用:http://women.benesse.ne.jp/cos/common/sonylife/anq/hakusho_82.html
学資保険の加入率
| 加入している | 69.7% |
| 加入していない | 30.3% |
約7割近くの人が学資保険に加入していると答えています。子供に対してかけるお金も年々増えていることもあり、今後もここの数値は伸びていくことが予想されます。
学資保険の加入タイミング
引用:http://women.benesse.ne.jp/cos/common/sonylife/anq/hakusho_82.html
| 妊娠前 | 6.8% |
| 妊娠中 | 17.9% |
| 0歳 | 58.1% |
| 1歳 | 10.6% |
| 3歳以降 | 6.8% |
これを見ると学資保険の大半が子供が生まれてまもない0歳のタイミングから加入をしている方が多いことがわかります。
また、妊娠がわかる前からも加入している人も意外と多いようです。
月々の保険料について
引用:楽天リサーチ(2014年7月15日~7月16日/全国300人のうち学資保険加入者した主婦100人に調査
| 5千円未満 | 13.0% |
| 5千円~1万円未満 | 31.0% |
| 1万円~1万5千円未満 | 45.0% |
| 1万5千円~2万円未満 | 5.0% |
| 2万円~2万5千円未満 | 2.0 |
| 2万5千円~3万円未満 | 1.0 |
| 3万円以上 | 3.0 |
これを見ると月々1万円ほどの保険料を支払っている人が多いことがわかります。
月々1万円の支払いを子供が大学に入るまでのタイミングで支払い、約200万円ほどの満期金を受け取り、大学入学金に備える家庭が多いようです。
学資保険以外の選択肢について
冒頭でもあげた通り、学資保険の目的は子供に必要なお金を補助することです。その目的に合っている保険は、他にはないのかと思う方もいるでしょう。
最近、学資保険の代わりにと加入する人が現れている保険があります。
それは「低解約払戻金型保険」です。
学資保険の代わりになりうる「低解約払戻金型保険」とは
低解約払戻金型保険とは、支払い期間中の解約払戻金を少なくすることで、保険料を低く設定している生命保険のことです。
途中で解約をしてしまうと、払戻金が少ないため、元本割れを起こしてしまうリスクはありますが、支払い期間を終えると通常の保険と同等の解約払戻金に戻ります。
低解約払戻金型保険の特徴
では、なぜ学資保険の代わりに、低解約払戻金型保険に加入する人が増えているのでしょうか。満期を迎えた際の払戻率は両方ともほとんど変わりません。
しかし、低解約払戻金型保険には、毎月の保険料が学資保険よりも安くなる場合があること、生命保険ゆえに万一のことが起きた際に受け取る保険金が大きいこと、のような特徴があり、最近では学資保険の代わりにと加入する人が増えているようです。
まとめ
今回は、学資保険の基礎知識から選ぶ際の注意点、加入の現状などについて紹介しました。
親として、自分の子供には不自由なく学業に専念できる環境を作ってあげたい、という思いが強い方は多いでしょう。
そのような方にこそ、学資保険加入という選択肢は一度考えてみて頂きたいものです。