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難民選手団5選手会見 南スーダンの戦火逃れ

記者会見後、撮影に応じる南スーダンからの難民選手たち=リオデジャネイロで2016年7月31日午後3時1分、梅村直承撮影

 【リオデジャネイロ藤野智成】難民五輪選手団(ROT)としてリオデジャネイロ五輪に出場する南スーダン出身の陸上選手5人が7月31日、記者会見した。逃れた先のケニアの難民キャンプで才能を見いだされた21〜24歳の男女で「平和のアンバサダー(大使)として走りたい」と、8月5日の開幕を心待ちにしていた。

     南スーダンとの国境沿いにあるケニア北西部のカクマ難民キャンプに5人は暮らす。歩みはそれぞれだが、壮絶な戦火をくぐり抜けた経験は共通する。

     男子400メートルのジェームス・ニャク(24)が逃れてきたのは14年前。「父が戦死し、夜に兵隊が来る度に隠れた。生きるために村を離れた」と振り返る。同800メートルのイエヒ・プル(21)は2005年に「村が襲撃され、3日間、茂みで暮らし、果物と葉っぱを食べてしのいだ」と言う。

     過酷な生活に潤いを与えたのは、今大会のROT団長を務める陸上女子マラソンの元世界記録保持者、テグラ・ロルーペさん(43)だ。00年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さん(44)の好敵手としても知られたロルーペさんは現役引退後、母国ケニアに平和財団を設立し、難民のスポーツ活動を支援してきた。

     女子1500メートルのアンジェリナ・ナダイ(23)は振り返る。「昨年、テグラが急に訪ねてきて『走ってみない』って声を掛けてくれた。私にスポーツの才能があるなんて知らなかった」。国際オリンピック委員会(IOC)がROTを結成する方針を示し、動き出したロルーペさんに潜在能力を発掘された選手たちは、ランニングフォームから学び、記録を伸ばした。

     「スポーツを通して、才能を開花させ、社会から信頼を得ていく。スポーツは私たちにチャンスを与えてくれる」とロルーペさん。世界記録保持者として臨んだシドニー五輪で体調を崩しながらも13位で完走したロルーペさんから指導を仰ぐ5人には、人の心に響くのは記録や順位だけではないとの考えが受け継がれている。

     プルは「1番にならなくてもいい。僕らが五輪の扉を開き、若い才能ある難民にも希望をつなげたい」。世界で増え続ける難民を代表して、スタートラインに立つ。

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