“自分が子供だったら絶対に観る映画”で演じる喜び
サミュエル・L・ジャクソン (俳優)
67歳にして、全世界のオタク青年のアイドル。いや、実は、ベテランのハリウッド俳優にも、サミュエル・L・ジャクソンみたいになれたらと憧れる人は少なくない。タランティーノ作品の常連でもあれば、『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ』など超大作にも出演し、毎回強烈な印象を与えてみせるのだから、それも納得。こんな成功を遂げた理由を聞くと、「それがわかったら瓶詰めして売るよ」と言って、わははと笑う。
「演じている僕も同じくらい楽しんでいることを、観客が感じてくれるからかもね。それを演じる自分を見たいかどうかで、受ける役を決めているんだ。タランティーノ物ではとくにそうだけど、僕のせりふを人が覚えてくれていたりするのは、うれしいものだよね」
最新作『ターザン:REBORN』でも、味のある演技を見せる。彼が演じるジョージ・ワシントン・ウィリアムズは実在の人物だが、この映画では、ターザンの相棒的存在として冒険を共にする。舞台はコンゴだが、撮影はロンドンのスタジオで行われた。つまり、彼や主演のアレクサンダー・スカルスガルドは、グリーンスクリーンに囲まれ、実際にはそこにいないゾウやサルに反応しなければならなかったということだ。
「この映画に出た理由? ターザンだからだよ。自分が子供だったら絶対に見に行くだろうと思う映画には、出たいじゃないか。幸い、脚本も優れていた。グリーンスクリーンを嫌う俳優はたくさんいるよ。でも、子供の頃、自分の部屋でターザンごっこをしたのと同じ。想像すればいい。それが演技というものさ」
昨年、日本では、彼と千葉真一が一緒に映画を企画しているという報道も出たが……。
「千葉さんとは何年も前に会っていて、娘さんと僕の家に来たこともある。将来一緒に仕事ができることを望むよ。僕はアジア映画のファンだしさ。日本のヤクザ映画やアニメは特に好きだ」
2年連続オスカーの演技部門候補者が全員白人だったことで、“白すぎるオスカー”バッシングが起こった。実力派のジャクソンも一度候補入りしただけだが、彼にとってオスカーはどうでもいいこと。
「大事なのは、良い作品になったか、自分は良い仕事をしてみせたか、観客が来てくれたか、それだけ。誰が今年のオスカーを取ったかなんて、どうせみんなすぐ忘れるんだよ。もちろん、オスカーが欲しくて、取れそうな役を探しまくる奴もいる。僕はそうじゃない。僕は単に演技が好きなだけだ」
アカデミー会員は大半が白人の高齢男性。このクールな男が今さら奴らに媚びを売る必要なんて、全然ないのだ。
『ターザン:REBORN』
7月30日より丸の内ピカデリー 新宿ピカデリー他 2D/3D全国公開
http://wwws.warnerbros.co.jp/tarzan/