第一部は、MERYを運営するPeroliの代表取締役である中川綾太郎氏と、取締役 河合氏、クリエイティブ部 部長 兼 SEO部 部長 有川氏による「MERYの立ち上げ〜今までとこれから」。 第二部はPairsやCouplesを運営するエウレカの顧問である赤坂優氏、チケットキャンプを運営するフンザ代表取締役 笹森氏とモデレーターは、ペロリの中川氏が務めるという今をときめくインターネット業界の豪華メンバーが揃ったトークイベントが、渋谷の「イベント&コミュニティスペース dots.」で開催された。
※ 1部の内容につきましては、冒頭に話しをされた「創業メンバーを集めた流れ」、「MERYを作った流れ」につきましては他のメディアでも話されている事ですので省いております。ご了承くださいませ。
この記事の目次
MERYの事業インパクトについて
左から 中川氏、河合氏、有川氏
株式会社ペロリ
代表取締役
中川 綾太郎
1988年生まれ。兵庫県出身。2013年から女性向けキュレーションプラットフォーム「MERY」を運営する。現在は、起業家による投資家集団
TOKYO FOUNDERS FUNDに所属するなど、個人投資家としても活動。
取締役
クリエイティブ部 部長 兼 SEO部 部長
–MERYはどういう開発スタイルなのか
河合: MERYの開発は少し先を見据えて開発するというスタイルで行っていた。例えば、「このボタンやレイアウトを変えることによってCTRが変わるよね」という細かい機能改善ではなくて、「この機能を作ることによってユーザーに対してこういう仮説を検証できるよね」というスタンスで、取れる数字を意識して優先度を決定していました。なので、最初から仮説が検証できる時間のかかるような重い機能を作っていましたね。
中川:昔、掲示板機能をつけてみたけど、全然投稿がなくて社員が投稿していたり(笑) うまくいかないからすぐに辞めましたね。
有川:掲示板機能は最近までコードが残っていて、この間全て削除しました (笑)
MERYというプロダクトを作る上でやってよかったこと
有川:ロゴの作り方については、初期からかなりブランディングを変えてきています。最初はピンク地に白で、かつ文字は丸みのあるフォントで「ザ可愛い」を意識して作っていましたが、ユーザーが増えるごとにピンクだけだと「私には関係無い感」があって、離脱してしまうのではないかという話になり、今のように白地に黒でシンプルなロゴになっていってます。実際数字を計測してみると、離脱率や直帰率にも影響していたので、ブランディングの変更によって様々なユーザー層を取れるようになってきたなという実感はありますね。
羊のロゴがあるのですが、これは正直ウェブでは使いにくいのですが、他の店舗やてさげ、メモ帳、その他のプロダクトなどに展開していくときにかなり格好いいものになっています。
MERYの雑誌は実際どうなのか?
中川:調子はかなりいいです。8月1日に第二号が発売されました。ウェブだけに閉じずにコンテンツを作っていくことが大事だと考えて作ってきました。ウェブであっても雑誌のような良質なコンテンツをやるというのを本気でやる上で、まず最初に雑誌は体現できていると思います。最近では広告などのタイアップも多く走っていますが、ウェブの記事でも1本で数十万以上のものもできてきている。
逆にやりそうになって危なかった施策や内容は?
河合:サービス名を決めるときにMERY以外で、「ガールズまとめ」という名前で悩んでいましたね。これだったら、雑誌を作ったとしても100部くらいしか売れなかったでしょうし、危なかったと思いますね。
成功してきたMERYの失敗事例
MERY幻の新規事業
中川:MERYを始めてほどなくてして、有名な美容師が記事を書いていってくれました。その方つながりでどんどん美容師が最初増えていきました。なので、美容師向けに使い方を説明するために、名古屋などにも出張にいってプレゼンをしにいっていました。
その中で、美容師の予約管理システムのニーズがあることはわかった。そこから3週間くらいで開発をおわらせようとして、みんなにも「これを3週間で作るぞ」と意気込んで作っていたんです。ただ、作り終わった後にかなり重要なことなのですが「これを誰が広めるの?」となったので、当時7人くらいしか社員もいませんでしたし選択と集中の意味もありm、出さずにやめました。これは今でも大失敗だと考えていますね。
アプリにまつわる大失敗
有川:2年前くらいからネイティブアプリの流れもありましたし、アプリは開発していました。ウェブの流れを踏襲したようなアプリを作ってみたのですが、「アプリはもっと使われるようにした方が良いよね」となったんです。これが、実はCM放送の三週間前だったのですが、アプリごと作り直そうとなりました。CMの2,3週間前にCMのリスケをしたという他の会社がどこもやっていないような事をやってしましたね(苦笑) 。そこからまるごとアプリを捨ててやり直して、ネイティブアプリは再度リリースしています。
中川:当時のアプリはウェブを踏襲したようなアプリが流行っていたんです。アプリは半年後に出してよかったかなと思います。あと失敗している事といえば、オフィス移転を毎回失敗していて、人数が増えてから移動してていつも怒られてますね笑
今だからこそできること
M&Aによって変わったこと
有川:DeNAに買われたことで、優秀な人がDeNAからきているので非常にやりやすいと思っています。
河合:元々MERYはベンチャー気質の強い人が多かったのですが、会社にDeNAからの社員が入ってきた事によってエスタブリッシュな人が入ったのでハイブリッドなチームになったことでしょうか。
中川:分析基盤があるところと、広告などの収益化の部分で戦い方の幅が広がったのが大きい点ですね。
MERYのサービスとしての今後
マネタイズの考え方・これから
中川:ナショナルクライアントを中心に広告出稿をいただいているのが売り上げの中心で、MERYのデータを使ってブランドの価値を届けやすい状況を作っていきたいことが一つ。MERYの良さというのは、欲しい物や体験を深掘りして情報を得られること。MERYで紹介している商品を購入できるEコマースやMERY PASSという美容系のシェアリングエコノミーなども運営していますし、プラットフォームとして拡大させていっています。
新規事業としての考え方は、「 MERYのトラフィックを使わなくても成立するかどうか」をかなり重視しています。MERYがなくても成立しなければ事業として成長しないですし、ネットワーク外部性が大事だと考えています。MERYをつなぎこむというのは、売り上げのためだけでなく、UXを追求した結果で繋ぎこむことはあります。
新規事業として、MERYは次に何をやるのか
河合:今は動画事業にジョインしています。ウェブも雑誌もフォーマットが違いますよね。動画という新しい表現形態でも、どんどん新しいものが使われていっています。実はMERYのインスタグラムのアカウントは7つあり、すべてのフォロワーは60万人位いて、週次で数万人規模で増えていっているので、フォーマットを変えても適切なコンテンツを提供していきたいと思っています。
会場・ハッシュタグ(perolinight)からの質問
会場では常にperolinightのハッシュタグで質問が寄せられており、ハッシュタグの中の質問から。
ハッシュタグ: #perolinight
M&Aはなぜしたか?
中川:サービスを伸ばすためにですね。いいコンテンツ、アプリも良くするため、アライアンスをする、広告などを伸ばさないといけないと垂直統合を進めていくよりは、長い戦いになるところを考えると、採用もしたかったのでM&Aをして子会社になる選択をしました。短期的なIPOなども考えていましたが、軽かったのでどっしりやっていくために選びました。
ここからは2部のゼロからプロダ
プロダクトを0から作り出す時に一番大事にしたこと
共同創業者 代表取締役CEO
代表取締役
笹森:僕の場合は起業が絶対に負けられない戦いだった。一緒に始めるメンバーに30代の人や家族を持っている人がいたので、一番大事なことは勝つことだと思って始めました。負けない戦いをするために、勝てるマーケットで、勝てるプロダクトを作る。マーケットをみて作っているのでビジョンなどは何にもないです。
チケットのマーケットを考えた上で、ヤフオク!などで売買されているのは知っていましたが、「バイネームサービスをあげるようなものがなかった」んです。チケットの市場に限ってはそういうサービスがなかったにもかかわらず、マーケットが大きかったので始めました。
赤坂:僕も同じでこの領域がやりたいとかなかった。なので笹森さんと同じで、確実に勝つマーケットで勝負したいと思ってマッチング・デーティング市場に参入しました。
ユーザーをどう集める、定着、マネタイズはどう考えたか?
初期仮説などを含めて、どうしていったのか。
笹森:ユーザーの集客に関しては、チケットを欲しいなと思う人がどこで買っているかと思うとツイッターだった。ツイッター上でチケットの売買をしている人が多かったのですが、実際チケットが届かないなどの問題もあったんです。だから、「ツイッターをハックすればいい」と思っていました。市場・マーケット、プレイヤーだけではなくて、攻めるポイントがわかっていたのでこの事業に参入しましたね。
赤坂さん:世界をよりよくするという考え方をしている人についてはどう考えますか?
中川:戦略がある人が大事だと思っています。話を戻しますと、初期仮説はどうしていましたか?
笹森:強豪プレイヤーや海外プレイヤーがいる中で、人がいないとマッチング起きないんです。最初はとにかく出品数を増やすことが大事だと思っていたのでそこに注力していました。メルカリなどの他の優良な CtoCサービスもそうだったので同じようにやっていました。
赤坂:人がどこにいるんだっけとなって、検索か、ソーシャルになって、Twitter、facebook、インスタグラムなど。徐々に可能性を狭めていったら、「facebookのファンページを700万いいねで国内最大にしていけば勝てる」と思っていました。
昔はFacebookファンページを使って、ブランドやメーカーなどの広告主がカジュアルアプリを作る流れがありましたよね。そういうカジュアルアプリの開発に携わっていたので、この「いいねをするユーザーの考え方や流し方」がわかっていたのが大きいかもしれません。これが初期の集客には非常に意味がありました。
新規機能などの失敗はありませんでしたか?
笹森:チケットキャンプでも新規機能を作ったことがあるけど、多くの失敗をしている。
中川:CtoCのユーザー層のバランスについてどう思いますか?
赤坂:デーティングアプリの場合は、いいね!だけではなくて、出会ってくれるまでが大事。集客から会員登録、初期いいね、メッセージいいね送信率などKPIはたくさんあります。5いいねの時は一気にロイヤリティが上がったりするので、4いいねの時に出すべきでそういうこともやっています。と、そういう話ではないですよね(笑)
笹森:チケットキャンプ・CtoCのサービスの場合、買い手だけ集めたい、売り手だけ集めたいという施策は絶対に成功しないし当たらない。チケットキャンプで売り手、買い手どちらを大事にするべきかということはあるけど、それだけの施策はありません。ちなみにチケットキャンプは、売り手向けでかなり施策を打っている。男女さはあまりなく、売り手に対して意味があることを提供することが大事だと思っていますね。
中川:経営者・創業者がどこまでサービスをみてるか?
笹森:フンザの場合、少人数のチームを売りにしています。丸3年で全ワイヤーフレーム、施策、メールの文言を自分で作っていました。自分がチケットキャンプについて自分が一番詳しいから、他の人に仕事を依頼するよりも早いし、小さいチームを伸ばすためにコミュニケーションを最小化していました。唯一任せたのはQ&Aだけでしたね。今は、サービスや会社の規模も大きくしていく段階なので個々に権限を分けて運営しています。
伸びるまでは創業者が絶対に見るべきで、責任をとれるのは創業者しかいませんからね。
開発リソースがないときの、実装機能の選択とアイデアについて
大事なのはユーザー体験であって、記事あたりのPVではない
中川:MERYのKPIについては「どれだけ価値を提供するか」。記事あたりで何PVかにするとユーザー体験にならない。大事なのはユーザー体験です。訪問あたりの閲覧数(PV)が大事になる。PVって言っている事業者さん大丈夫ですかね。
赤坂:アプリなどを作るときのアイデアの着想ってなにかありましたか?
中川:Googleのスプレッドシートを出して、サービスを見ています。サービスを使いながら、使いにくいところを書き出していきます。もちろん自社のアプリだけではなくて、競合やグローバル、全然関係ないサービスも触ってみています。結構他のサービスなどを触っていても思いつくこともあるんですよね。機能別でみていくことは整合性が取れなくなっていくので、あまり見てはいませんが。VOGUEのアメリカのアプリは、フルの動画を縦型で出していて、新しくてすごいなと思っています。
笹森:私の場合は、「KPIに直結しないものは徹底的にやりません。」一例としては退会機能を作ったのは6ヶ月後でした。退会したい人に対してはメンテナンス中と言って、その人のデータを控えておいた。そして個別に対応していましたね。退会を最初に作ってしまうと弱気だなと思っていました(笑)
赤坂:僕はデザイン変更などに関しても口を出すタイプです。デイティングという市場は、これまでの「ちょっと怪しい・これは大丈夫か」という状況から、文化から変えていかないといけないサービスだったので、細かい機能だけでは訴求できないことをやっていく必要があったからですね。「他のマッチングサービスでは、こういうデザインだけど、うちはこうしたらマッチングサービスっぽくないよね」っていうような感性で選択しているケースもありますね。
優先度は定性で選ぶか定量的に判断するか?
中川: 例えば MERYでは、ロゴを白に変えたときに直帰率が減りました。私じゃないかも感がなくなったからだと思っていますが、これはデータから最初にとることはできないものです。これに関しては直感的に判断しました。こういう場合の判断ってどうしてますか?
笹森:KPIに乗らないものは絶対にやりません。ちなみに直感的に選択したものは1つしかありません。検索のソート機能だけにはこだわりなかったのでこれだけは直感的に選択しました。
赤坂:ここまでmixiに買収されてからもさらにチケットキャンプは成長してきて、それ以上の非連続成長は数字から生まれるのでしょうか。笹森さんの場合はピンクは白に変えるという判断はできますか?
笹森:自分が得意なこと、絶対を思えるような仮説を作って行動してきました。それだけでは成立しなくなったので、今はみんなに投げていますね。
中川:チケットキャンプの場合は絶対うまくいく施策の勝率ってどれくらいですか?
笹森:10打席9安打くらい。もともとECやインターネットに精通していたのでコマースの知識があったからこれくらいは当てていると思います。
M&A経験者の新しいアイデアの思考について
中川:新しい施策の思考はどうしていますか?
笹森:私の場合にはアイデアを思いついた時・気づいたときにdropboxに入れています。他のサービスをみて良いところをメモしていく。そのサービスのプロデューサーの思考になってみています。
中川:論理的によいと思ったサービスが、途中からデザインや機能・サービスが変わったときにどう思いますか?
笹森:例えば、楽天でよいと思った機能で、共同購入できるという機能がありました。共同購入することによって、楽天市場の商品の値段が下がっていくというものでした。
ユーザーにとって素晴らしいですし、出品者側も在庫を調整できるという機能でしたので、真似しようと思った矢先に機能がなくなっていたということはありますが、他にはないかもしれないですね。私の考え方で、「ネットに行列を作りたい」と思っていましたが、チケットというビジネス上やりませんでした。なぜなら CtoCなので在庫状況も難しいからですね。
開発やチームの体制、他のメンバーからどうアイデアを集めるのか?
赤坂:エウレカの場合、追うべきKPIが決まっています。幾つかチームがありまして、その下にキャンペーン、マネタイズなどのチームがいてそれだけを追っています。チーム毎に事業目標を決めているので、事業目標を達成するために集中していますし、事業目標と個人の評価を連動しているからすごい素敵だなと思っています。
笹森:チケットキャンプの場合は機能別にチームは分かれていません。バックログというスタイルを採用しています。売り上げ、広告、SEO、バグなどのやるべき項目をづらづらあげていって、常にSEOと売り上げが赤くなるようにしています。そこから、優先度の高い物に優秀なエンジニアが優先してアサインされていくようになっています。
中川:施策の優先度についてどう考えていますか?
笹森:そここそプロジェクトマネージャーがやるべきこと。自分が相談なしにやっていたけど、アイデアの相談はしていましたね。
チケットキャンプの場合は、機能の大きさを大中小と三段階に分けていて、1週間以上かかるような機能がないようにしていました。基本的には3日でデプロイしていくというスタイルです。大事なのは、細かくしてリリースしていくことですね。前はエンジニアが3人しかいなかったから開発の体制が早かったという部分もありますが、今はしっかりやっています。
中川:アイデアはみんなが出せるような状況になっていますか?
笹森:最初はボツ案もありましたが、KPIに直結することしかやらないということが浸透していって、いろんなアイデアが出るようになってきました。カスタマーサポートとの打ち合わせでは、「お困りごとをあげるのではなく、ユーザーのお困りごとをどうやったら解決するかを10個あげる」というようなものをやりました。お困りごとを共有するだけではなく、課題解決をできないカスタマーサポートは正社員として取らないという基準がありますね。
赤坂:エンジニアとCSのバトルはないですか?うちではユーザーに対するCSがいて、そこで出てきた問題をエンジニアと調整するのですが、エンジニアはプロジェクトマネージャーなどと他の施策について擦り合わせているので、CSからもタスクや施策がくると混乱してバトルが起きていたようです。
笹森:そこはマネージャーの力量でKPIを通して決定するから、そういうバトルはなかったように思いますね。
中川:合議で決まるものなのですか?
笹森: そこはマネージャー次第だと思いますね。
なぜ赤坂氏、笹森氏、中川氏はM&Aを選んだのか
赤坂:ペアーズなどのマッチング市場は、日本でも大きいものになってきました。例えば、テレビCMが解禁された場合に、資本が必要になってくると考えていたのが1点です。他は、アジアで勝てるようなサービスを入れていくのであれば、海外のノウハウがあるからM&Aしようと考えていました。また、分析的な面においてもApp annieのグローバルアカウント5000万というのも大きいですし、あとは人材が良くとれていっているのが大きいです。サンフランシスコなどにも行けるように人事交換もやっているからエンジニアが集まってきましたね。
App annie : アップアニーは、アプリに関する市場データと分析ツールを提供している、アメリカ合衆国の私企業。アプリパブリッシャー上位100社の9割以上が利用し、アプリの調査会社としては世界で最も広く利用される企業となっている。
笹森:3年で結果を出したいと考えていて結果を出したいと思った時にオファーがきたからですね。
赤坂:買収されてからさらに伸びていますよね?
笹森:mixiからの人材や安定感などがあるからさらに伸びてきたのだと思います。ネットワーク外部性が働くようになってきたのも大きなポイントですね。
中川:初期だけのユーザーの回収でいけると思ってやっていましたか?それとも絶対に大きくなると考えていましたか?
笹森:大きくなると思っていたからですね。
最初に1MAUに対して出品率、落札率を見ていました。それがどんどん伸びていて、絶対にこれはいけると思っていました。参加者が増えれば増えるほどサービスを後押ししてくれているので、これはいけると思って踏み込みました。
中川:最初からそれを描いていたのでしょうか?
笹森:それは最初からではないですね。ただ、他の類似サービスがあるのである程度は判断はできていました。
赤坂:サービスをやっている歴史が積んでくると読みやすくなってくるというのはありますよね。
笹森:事業計画なんて作ったことはないですね。コンシューマーサービスの事業計画はクソだと思っています。
中川:かなり数字を僕はみてました。
笹森:それは創業者の想像を超えなかっただけじゃないの?
中川:そうだと思います。PLは難しかったので作っていなかったですが。
笹森: (笑) toCの伸び方は絶対わからないから事業計画書なんて意味がないですよ。KPIの因数分解は全部持っています。だからある程度は設計して、目算地はわかるけど伸び方なんてわからないからやる意味がないです。今の状態の1年後を聞いてくる人は採用しませんね。
M&A社長が語る欲しいプロデューサーとは
中川:プロデューサーはこれまで話してきたように創業者自身が行ってきたこともあり、任せにくい職種かと思いますがどういうところで適正や、どういう人がいいと思いますか?
笹森:面接ではガッツチェックというのをやっています。具体的には、「話していることに一貫性があるか、ハードワークに対してどういう思いでやっているか」などを聞くようにしています。
インターネットサービスの愛や、視野の広さ・狭さがチェック出来るという意味で行っています。また、インターネット愛をチェックする一つの手段で、スマホの画面を見せてもらっていますね。これから良いサービスやアプリケーションを作っていくというのに、TwitterやFacebookだけだとその人の広さが見えてしまって。それでどれだけ考えているかがわかりますから。
赤坂:僕も基本的には面接でスマホのホーム画面をチェックしています。あとは、面接フェーズや決定するかどうかの時には、「人間性」も重要だと思っているので、飲みに誘っています。
笹森:実はこの三人で土日に旅行に行くのですが、話すことが「インターネットについて」なんです。それくらい僕はインターネットが好きですし、そういう方が欲しいと思っています。成果だけが全てを癒してくれますから、本当に好きじゃないと勝てないですね。
最後に
イベントは、MERYを運営する「ペロリ」社のリクルーティングも含まれたイベントであったが、1部、2部ともに経営、マーケティング、開発、開発の流れ、アイデアの着想など幅広く、そして濃厚な話が多く、レベルの高さと徹底した「ユーザー目線を大事にすること」を考えさせられた。
プロダクト開発の現場の人が多く参加していたが、MERYやPairs、チケットキャンプといったM&Aに成功したプロダクト開発フローや優先順位の決定、KPIについての考え方、プロダクトへの思想、マーケットの見極め方など、プロダクトを成功させるためにはどれも欠かすことが出来ない多くの点で参考になったことだろう。M&A経験者の社長の生の声が聞くことができるレベルの高いイベントがもっと増えてくれることを切に願う。
ウェブの編集について、そのクオリティやコンテンツについて雑誌と比較されることが多いが、MERYは、COACHなどのナショナルクライアントとも広告記事の実績を作っている。キュレーションメディアだけでなく、MERY PASSや今後の動画サービス・コンテンツを含めて今後の展開にも注目したい。