人間の生活のすぐ側には、悪魔たちは潜んでいる。
ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”たち。
その存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出した、星新一によるショートショート集がこの『悪魔のいる天国』である。
悪魔の潜む壺を見つけてしまったとある博士のお話『合理主義者』、人間界へと降り立った悪魔が魂を引き換えに社会への復讐の手助けをする『契約者』、仕事として人間を脅していくサラリーマンのような幽霊の日常を書いた『殉職』、人間に代って言葉を交わすロボットインコの話『肩の上の秘書』など、悪魔のでてくる話やそうでない話など全36編が収録されている。
星新一らしいブラックなユーモアの効いた物語が数多く収録される。
「悪魔のいる天国」のここが面白い
仕事をしない悪魔が人間界に降り立ったのだが...「契約者」
この本に収録される物語の中で面白かったものをいくつか紹介したと思う。
まず、悪魔の物語で面白いのは「契約者」である。
もえさかる地獄の火でバーベキューをしようとしていたなまけものの悪魔。
これが発覚してしまい、魔王に怒られて地獄に人間を連れてくる仕事を任される。
地獄に落ちる人間を増やしてやろうと、人間と契約をして悪徳を広めようとするのだが...と物語は進んで行く。
しかし、人間の悪知恵によって悪魔は窮地に立たされる。
悪魔の最後の言葉は要必見。
魔神の潜む壺を見つけてしまった男「合理主義者」
エフ博士は若手の優秀な学者である。
彼は学者らしく、徹底的な”合理主義者”であった。
そんなエフ博士はある日、ひとつの壺を見つけてた。
その壺には魔神が閉じ込められていた。魔神を救ったエフ博士はお礼に3つの願いを叶えてもらえることになる。
しかし、この非科学的な存在を全く信じない合理主義者の博士によって、願いはとんでもない使われ方をしていく。
未来へ行って金儲けを「夢の未来へ」
タイムマシンを開発した人は金儲けをしようと200年後の未来へと飛び立った。
ルーペのような小型の電子顕微鏡、ボタンを押すとヨットになるカバン、中毒しない合成麻薬、百五十歳まで精力を衰えさせないホルモンなど、未来には夢のような品物が数多くあった。
これらの品物を手に入れたかったのだが、未来のお金がない。
そこで、これらのものを盗もうとするのだがあっさりと捕まってしまった。
タイムマシンで来たこともばれてしまい、このことによって騒動に巻き込まれていくことになってしまった。
終わりに
というわけで、『悪魔のいる天国』を紹介した。
星新一によるショートショート集で”悪魔”や”悪魔のような人間”などが登場する。
全36編が収録される。
ブラックなユーモアの効いた面白い物語を読んでみたい人にはおすすめの小説となっている。