08月02日 13時03分
難民認定を求める裁判の準備を進めていたスリランカ人の男性が強制送還されたことによって裁判を受ける権利を奪われたとして、国に損害賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは三重県に住んでいたスリランカ人の30代の男性で、平成22年、不法滞在をしていたとして国外退去を命じられましたが「国に戻れば政治的な迫害を受け、生命の危険がある」などとして難民認定を申請しました。
しかし、翌年に「不認定」とされ、男性は異議を申し立てましたが、おととし12月、これも棄却され、その翌日に強制送還されたということです。
男性は申請が認められなかった場合、処分の取り消しを求めて裁判を起こす準備をしていましたが、すぐに強制送還されたことで「弁護士と連絡を取ることもできず、裁判を受ける権利を奪われた」として、国に330万円の損害賠償を求めています。
入国管理局によりますと、難民認定をめぐり裁判を受ける権利の侵害を訴える裁判は全国で初めてだということです。
原告弁護団の馬場圭吾弁護士は会見で、「生命の危険性がある状況が変わらないまま強制送還されていることを国や社会に知ってもらいたい。難民の人々が裁判を受けることができる環境を整えていきたい」と訴えました。
これに対して入国管理局は「個別の事案には答えられないが、法律にもとづいて適切に対応している」としています。
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