【ソウル聯合ニュース】韓国の与野党が自分たちの政治的メッセージを国民に伝えようと公開中の映画を活用している。
野党は朝鮮王朝第26代国王で後に大韓帝国初代皇帝となった高宗(コジョン)の娘、徳恵(トクヘ)翁主(1912~89年)の生涯を描いた「徳恵翁主」(原題)に注目している。
最大野党「共に民主党」の禹相虎(ウ・サンホ)院内代表は4日、同作を鑑賞した感想について、「為政者がきちんと国を治めなければ植民地という奈落の底に落とされ多くの国民が苦しむことになるということをあらためて感じた」と話した。
また、危機は突然来るのではなく毒のように広がっていくとして、「小さな危機の兆しでも緊張感を持って対処しなければならないと思う」とした。
第2野党「国民の党」も来週、同作を団体で鑑賞する。
同党の朴智元(パク・ジウォン)非常対策委員長は記者団に対し、同作を鑑賞後、元慰安婦を訪ねる予定だと明らかにした。
野党は米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備や旧日本軍の慰安婦被害者を支援する財団「和解・癒やし財団」が発足したことを念頭に、政権に対する批判的な立場を明確にするため映画を活用しているようだ。
一方、与党セヌリ党は朝鮮戦争時の国連軍による仁川上陸作戦を題材にした韓国映画「仁川上陸作戦」(原題)に目をつけた。
この作品は朝鮮戦争中にほぼ不可能に近かった仁川への上陸作戦を成功させたマッカーサーと韓国海軍諜報部隊の知られざる活躍を描いている。
今月1日に同作を党執行部で団体鑑賞した同党の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)院内代表は「北の核・ミサイルの脅威が増す中で韓米同盟を強力に維持し万全の警戒態勢を維持しなければならないということをあらためて認識した」と強調した。
同作を通じ安全保障を強化する必要性を呼びかけ、THAADの韓国配備に反対する野党をけん制した形だ。
夏季休暇に入った黄教安(ファン・ギョアン)首相も同作を鑑賞するとされる。
セヌリ党の議員らは6月には北朝鮮の日常を取り上げたビタリー・マンスキー監督(ロシア)のドキュメンタリー映画「太陽の下」(原題)を団体鑑賞している。
野党議員らは今年2月公開の旧日本軍の慰安婦被害者を描いた韓国映画「鬼郷」(原題)を鑑賞した。