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 戦争をテーマにした放送劇を毎年夏に上演している京都放送劇団が7日、新作「志願兵のゆくえ」を公演する。「戦時体制が強いる不条理」を主題に、引き裂かれた家族を描く。10代の若者が主人公の一人で、劇団の主宰者は「平和の尊さを若者に考えてもらう機会になれば」と話す。

 舞台は太平洋戦争末期の京都郊外の農村。医師として住民に慕われていた父は、「お国のために働く」と軍人を志す息子と対立する。入隊に最後まで反対した父は周囲から「非国民」と呼ばれ、孤立した一家は村を追い出される。息子も父のもとを離れていく。

 劇には戦闘や空襲といったシーンはなく、戦争によってバラバラになる家族の悲哀を切々と描く。深田美知子代表(66)は「戦争は自分と関係ない、と思う若者が増えている」と心配する。体を使った演技がなく、声と効果音を中心に表現する放送劇での上演について、「聴く人がその情景をイメージし、自分の感性で考えられる。今回の劇を聴いて戦争や平和を想像してほしい」と話す。

 中京区の市男女共同参画センターで7日午後2時開演。無料。問い合わせは深田さん(075・464・0565)。