朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は4日、与党セヌリ党所属で大邱・慶尚北道選出の議員らを大統領府に招き、その席で米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」について「慶尚北道星州郡の要請があれば、郡の別の地域に移す方策を検討したい」「郡が別の場所を推薦するのであれば、詳しく綿密に調査・検討を行いたい」などと述べた。星州郡選出の李完永(イ・ワンヨン)議員が「(THAADが配備される)星山砲台は人口密集地域から近いため、住民の反発が激しい」と指摘したことに答えた。
韓国国防部(省に相当)はこれまで、すでに別の対空ミサイル基地がある星州郡星山里がTHAAD配備地として最適との見方を示してきたが、一方で今後別の配備地の検討に着手することも考えているようだ。北朝鮮による核ミサイルの探知と防御に向け戦術面での必要が満たされるのであれば、配備地の多少の移動はさほど大きな問題にはならないだろう。しかしいったん決まった韓国政府の決定が覆され配備地が本当に変更された場合、政府の信頼性にマイナスの影響が及ぶのは避けられない。
ただそれにもかかわらず朴大統領が配備地見直しの可能性に言及した背景には、星州郡の現地住民の反発が予想以上に根強いという問題がある。THAADレーダーはその大きさがバス1台程度で、またこれを運用する部隊は中隊クラスで済むが、それにもかかわらず韓国では何か非常に重大な問題のように認識されている。ネットを通じて広まっている電磁波に関するデマと、中国を意識した野党の反対が相乗効果を生んで拡散してしまったからだ。