あの人もこの人も本物のサイコパスではないわけだ。
身近にいたらたまったもんじゃありませんが、映画の悪役として不動の人気を誇るサイコパス。共感力に乏しく、暴力的というのが一般的なサイコパスに対する認識だと思いますが、はたして映画のサイコパスはどれほど忠実に描かれているのでしょうか?
Tech Insiderが報じた、400本の映画の中から精神科医がチョイスした最もリアルなサイコパスキャラの答えをどうぞ。
2014年にベルギーの精神医学教授のサミュエル・ルイステッド氏が10人の友人の協力を経て3年間かけて、1915年から2010年までに公開された述べ400本の映画を調査したことろ、サイコパスは126人、そのうちの105人が男性だったそうです。その中で最もリアルなサイコパスは以下の3人。
映画「ノーカントリー」(2007年)のアントン・シンガー
こちらはBVHEMiramaxによる公式予告編。
コーエン兄弟の超暴力描写映画「ノーカントリー」のハビエル・バルデム演じる殺し屋アントン・シンガー。殺人を犯す時の薄気味悪い平常心が決めてとなっているようです。
DARTHbryan1がアップしたアントン・シンガーの殺人シーンをまとめた動画をどうぞ。
映画「M」(1931年)のハンス・ベッケルト
こちらはVTMovieTrailerによる公式予告編。
ピーター・ローレ演じる、子供殺しのハンス・ベッケルト。ローレが表現したのは、子供殺人の衝動を抑えることができない平凡な男性で、リアルではおそらく境界型分裂病と診断されるだろうとのこと。
映画「ヘンリー」(1986年)のヘンリー・リー・ルーカス
こちらはFilmBuff Moviesによる公式予告編。
実在の連続殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカスを題材にした作品「ヘンリー」に登場する淡々と殺人を犯し続ける主人公ヘンリー。家庭環境に問題があったことを除けば普通に見える男、決定的な違いは息をするように人を殺すということだけ。典型的な突発性疾患性サイコパスといえるようです。
リアルには程遠いサイコパスキャラは誰?
映画「アメリカン・サイコ」のパトリック・ベイトマン、「ウォール街」のゴードン・ゲッコー、「サイコ」のノーマン・ベイツ、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターは、サイコパスとされておりますが、いわゆるリアルなサイコパスのくくりには収まらないそうです。
例えば、「サイコ」のノーマン・ベイツはサイコパスではなく妄想性障害だと判断されるのだとか。
映画に登場するサイコパスは、現実の臨床が日々進化しているにも関わらず、フィクションのままのようです。人気作品で描かれるサイコパスのヴィランの多くが、ブギーマンのような描かれ方をしているのです。
ルイステッド氏曰く、ホラーやサスペンスに見られるサイコパスは「なんちゃって」でステレオタイプなフィクション・サイコパスのブギーマンとのこと。
現実の世界でも真性のサイコパスは滅多にいないとのことですが、映画の中でも正しく描かれていないというのは意外でした。
source: Tech Insider
(中川真知子)