Amazon.co.jpの定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」に、2万円の高値がついた書籍が多数登録されている。ほとんどが、個人が執筆した自費出版の作品のようで、1ページしかない本もある。Kindle Unlimitedの契約者なら無料で読めるのだが、うっかり有料版を購入してしまわないよう注意が必要だ。
「本(わんわん)」「悪人の系譜 お試し版」「泡姫ありえない お試し版」「宅建試験に備えて 2 宅建攻略」「私たち 自由で楽しい日々の為に」「ちんこの気持ち」――これらは日本版Kindle Ultimateで、通常のKindle価格が「2万円」と書かれているタイトルの一部だ。
ダウンロードしてみたところ、どれも個人が執筆した作品のようだ。「本(わんわん)」は、3行のテキストと画像が1枚貼られただけの1ページの本。「お試し版」の2冊は小説だが、全編読むことはできず、ストーリーが途中で終わっている。「宅建試験に備えて 2」はわずか33ページの漫画。「私たち 自由で楽しい日々の為に」「ちんこの気持ち」はそれなりの長さだが、2万円の価値があるかは個人的に疑問に感じた。
また、「お試し版」の2冊は、同じタイトルの通常版がそれぞれ99円と250円で売られており、お試し版のほうが価格が高いという逆転現象が起きていた(ちなみにこの2冊、著者名は異なるが、同じ作家がペンネームを使い分けているようだ)。
Kindle Ultimateの英語版では、アダルトカテゴリーで2万円の本を乱発している版元も。Daniela Meyer、 Erotische Geschichten und Sex Co.という版元は全作品を2万円で出しており、うち1冊はアダルトカテゴリーで1位を獲得している。中身は、ドイツ語で書かれた官能小説のようだ。
作家がKindle向け電子書籍を自費出版できる「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)では、電子書籍の価格を作家が自由に決められ、価格の上限は2万円だ。これらの作品は、作家が“ダメ元”で2万円の値段をつけて出してみたのかもしれない。
Kindle Ultimateでは、読み放題のつもりが誤って購入してしまい、書籍代を請求されたというユーザーも多い。「読み放題」ボタンのすぐ下に「1-Clickで今すぐ買う」ボタンが表示されるため、うっかり間違って押してしまいがちなのだ。これらの高額書籍を試す場合は「今すぐ買う」ボタンを押さないよう注意が必要だ。間違えて押してしまった場合は、カスタマーサービスにキャンセルを連絡すれば、7日以内なら返金されるようだ。
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