従来は難しかった祖父と孫、おじとおい、いとこ同士といった離れた血縁関係を高精度で判定できる新しいDNA鑑定法を、京都大の玉木敬二教授(法医学)のチームが開発した。成果は米オンライン科学誌に掲載された。
チームによると、現在の一般的なDNA鑑定法は親子・きょうだいまでしか正確に判定できないという。
今回の手法を用いれば、より幅広い人から血縁関係をたどれるため、玉木教授は「大規模災害で亡くなったり、孤独死したりした人の身元確認の精度が大きく向上する可能性がある」と話した。
新手法では、頬の内側を綿棒でこすって採取したDNAの配列の違いを専用装置で約17万カ所分析し、さらにチームが独自に作ったプログラムで解析することで血縁関係を調べる。
実際にこの手法が有効かどうかについて、さまざまな血縁関係にある約70人の協力を得て検証したところ、いとこ同士などの血縁関係が正しく判定できたという。
チームによると、頬の内側から採取したDNAは鑑定がしやすい。だが、遺体の身元確認の際に採取される爪や歯、骨は長期間経過しているとDNAが壊れていることが多く、今回の解析手法をすぐには使えない。今後改良していくとしている。〔共同〕