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西村博之氏 2ch.net の権利回復申立で棄却の裁決を受ける・・・ドメイン取り戻せず (裁決文の全文あり)

2016年8月5日12時12分
カテゴリ:外信

西村博之氏 2ch.net の権利回復申立で棄却の裁決を受ける・・・ドメイン取り戻せず (裁決文の全文あり)



(WIPOによる裁定結果アナウンスページより。)


西村博之氏が、自身が「2ちゃんねる」として1999年から開設したウェブサイトのドメイン 2ch.net にかかる権利をレースクイーン社(代表ジム・ワトキンス氏)から不正に侵害されているとして2ch.netのドメインへのアクセスを自身のサーバーへ移行する旨の裁定をWIPO(世界知的所有権機関)に求めた裁定が今年の7月28日に降り、主張を退けられていることが、複数の関係者から得られた文書及び証言で分かった。


この事件については、5月25日の時点でインプレスグループのウェブメディア「ネタトピ」が「「2ch.net」のドメインについても、もともと2ちゃんねるを創設したひろゆき氏が所有していたことは明らかなため、現管理人のJim氏(Race Queen, Inc)側が「2ch.net」を譲り受けた証拠となるようなものを答弁書で提出できなければ、ひろゆき氏の申立てが認められる可能性が高いと見られています。・・・・裁定でひろゆき氏の所有が認められれば、すみやかに「インターネットの住所録」であるDNSが全世界で書き変えられ、「2ch.net」へのアクセスはひろゆき氏が管理するサーバーのIPアドレスに接続されることになります。」と報じていた。


具体的に裁決文を見ていくと、まず、時期に遅れた攻撃防御方法の提出は例外的にしか認められず、紛争仲裁を遅らせることにつながり得るとして、申立人側と被申立人の提出した資料の中で追加的なものについては証拠などに採用しないことを「予備的な決定」で宣言。


なお当事者双方の主張を踏まえた上での「議論と所見」( Discussion and Findings という。筆者は国際仲裁に詳しくないが、概ね日本における裁判の「判決理由」に近い)、では仮に追加的な主張立証として提出された資料に依拠したとしても、本件の決定を左右するのに十分な要素ではないと述べている。(Even if the Complainant’s supplemental filings were taken into account, the Panel would still conclude that the Complainant had failed to satisfy paragraph 4(a)(ii) of the Policy. )


さらに、①申立人側は、本件が軽微な案件に過ぎないものであることを主張立証する責任を負っているにもかかわらず、それを支持する証拠を提出していないこと②日本の特許庁が2CHの商標を認めたことにより、1999年から申立人が2CHに関するビジネスを行っていると言える、という主張についても証拠が十分に提出されていないことなどを述べて西村氏側の申し立てを退けている。


本件を、森・青木・関根法律事務所において、某当事者側を担当した杉本賢太弁護士は「事件の詳細についてはコメントできない」としている。


スクリーンショット 2016-08-05 11.08.59

(筆者が入手した裁定書。)


次ページ:裁定文の全文(ワードファイル約5ページ)


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