いよいよリオデジャネイロ五輪が明日開幕する。毎度のことだが、その開幕に先立ってサッカーは競技が開始されている。既に女子サッカーは数試合を消化した。
そもそも、32カ国参加のW杯で1ヶ月かかるサッカーを、16カ国参加とはいえ2週間とちょっとでやろうと言うのだから、多少日程に無理が出てくるのはしかたのないことだ。
W杯以上に短期での決戦。こういうシチュエーションで大事なのは、実力もさることながら勢いである。ロンドン五輪の時は、初戦のスペイン戦で金星を上げ、その勢いのまま準決勝にまで駆け上がった。今回のリオ五輪でも、大事なのは初戦である。
その大事な初戦の相手はナイジェリア。アフリカお得意の金銭トラブルの関係で、試合開始6時間半前にやっとリオデジャネイロ入りするという、サッカーとは関係のない話題でニュースになってしまっているチームである。正直、負ける訳にはいかないというか、負けて欲しくない。是非、勝ってほしい。
そんな大事な大事な初戦に挑むスタメンは以下のとおり。
GK 櫛引政敏
DF 室屋成 藤春廣輝 植田直通 塩谷司
MF 遠藤航 原川力 大島僚太 中島翔哉 南野拓実
FW 興梠慎三
とにかく、高温多湿の過酷な環境で有名なマナウスでの試合である。現地で殆ど練習出来ていないナイジェリアは必ずペースが落ちる時間帯が来るはずだ。その時を見逃さず、そして下らないミスから失点して自滅するような事のないようにして、慎重にかつ然るべき時には大胆に試合に臨んでほしい。
前半
ナイジェリアボールでキックオフ。
メンバー表では興梠慎三の1トップだったが、日本は4−3−3で臨む模様。
前半3分。藤春のクロスから大島がボレーシュートを放つがGKに阻まれる。日本はCKを獲得。これはナイジェリアが辛くも切り抜ける。ナイジェリアのコンディションがどの程度なのか不明だが、ナイジェリアが試合に慣れる前に先制点を取りたい。
前半5分。日本ゴール前でロングスローからの攻撃を防いだ後のルーズボールを拾われ、エゼキエルにシュートを許す。GK櫛引が弾くも、そこに詰めていたウマルにプッシュされ日本失点。
前半7分、南野がペナルティエリア内で倒されPKをゲット。興梠慎三が難なく決めて日本同点に追いつく。
前半10分。ナイジェリア右サイドからの大きなクロスに対応しきれずナイジェリアのエテボにシュートを許し、日本再度失点。
前半11分、中央から飛び出した南野が冷静にナイジェリアゴールに流し込み、2−2の同点に持ち込む。大味な試合になりつつあるので、少し落ち着かせてほしい。
前半15分を経過したところ。日本はともかく、ナイジェリアもまだコンディション面での不安は見て取れない。ボールを動かして相手を疲れさせて、コンディションの差を見せたい。
前半16分、DFラインから藤春へロングボール。中央へ折り返すも誰も走りこんでおらずGKにキャッチされる。
前半18分、攻め手が無いと見られたナイジェリアだが、SBのアムジーがロングシュートを放ちCKを獲得。このプレーで中央でヘディングシュートを許すが枠の外。
前半21分、南野からロブ気味にエリア内に入れたボールを大島がヘッドで落とし中島がシュートしようとするも、これはナイジェリアDFに防がれる。
ちらっと映ったマナウスのピッチ状況はお世辞にもいいとは言えない。
前半23分、エリア左で受けた中島が強引に持ち込んでシュート。CKを獲得。 ボールはGKにキャッチされる。
前半27分、中央で受けた遠藤がそのまま上がっていき、ゴール前にスルーパスを通すも、ややボールが強すぎてそのままGKへ。
前半30分。ロングボールからナイジェリアが右サイドで突破を見せ、そのまま鋭いクロスをあげるも、エリア内にナイジェリアの選手はおらず、事なきを得る。
前半31分。日本のペナルティエリア右でナイジェリアがFKを得る。ニアサイドに蹴られたボールは日本が弾き返す。その後、ナイジェリアがジリジリと中央に迫ってくるが日本も上手く守っている。ただ、時折出る些細なミスがもったいない。
前半36分。ナイジェリアが左サイドへ鋭いボールを通すが、日本がそれを跳ね返す。その後、中央でのシュート崩れから右サイドへとボールが通り、クロスのこぼれ球をナイジェリアが中央でミドルシュート。ボールは枠を外れ、日本は難を逃れる。
日本はボールを奪ってからのビルドアップが遅い。簡単に潰されてしまっているのが勿体無い。対してナイジェリアは試合直前にマナウス入りしたとは思えないような動きをみせる。後半は差が出始めるだろうか?
前半40分。ナイジェリアDFラインからのロングボールにエゼキエルが反応するも、GK櫛引が飛び出してボールを外に出す。
前半41分。ナイジェリアがロングボールを日本DFラインの裏へ。1人かわされ中へボールを入れられるも日本DFが体に当てる。だが、そこにはナイジェリアのエテボがいる場所だった。そのまま押し込まれ、日本またまた失点。
前半45分。再びロングボールからピンチを迎える日本。エリア内でクロスを許すも中央では合わず。このプレーと同時に前半終了のホイッスル。
正直、バタバタした展開で、常に後手後手に回るあまり良いとは言えない展開。ボールを回していきたいところだが、ピッチコンディションも悪く、ナイジェリアの選手達の運動量とリーチの長さに苦しみ、ビルドアップもままならない状況。後半、相手が疲れてきたところで浅野拓磨を投入するなりして流れを変えたい。
後半
日本、ナイジェリアともに選手交代無し。日本ボールで後半キックオフ。
49分。ウマルが強引にエリア内に侵入したところで塩谷がウマルを倒してPKを献上する。キッカーはエテボ。櫛引の逆を突いてスコアを2−4にする。日本はかなり苦しくなった。
52分。原川に代えて浅野を投入。4−4−2へ変更。
2点をリードしたナイジェリアは焦らずボールをキープする。日本が逆に疲れてしまわないか心配な展開。
56分。日本の右サイドから塩谷が中央へ鋭いクロス。南野が合わせようとするもこれはオフサイド。
57分。相手の突破に対応した南野がペナルティエリアやや左でハンドを犯す。ミケルが蹴ったボールはそのままゴールラインを割りゴールキック。つまらないミスでの失点は避けたい。
59分。今度は日本がペナルティエリアやや手前でハンドによるFKを獲得。狙い所が難しい位置だが、南野がロブ気味のボールを右サイドへ蹴り、中央へ折り返す。だが、DFのクリアにあい得点ならず。
60分。日本のペナルティアークあたりでコンビネーションで崩され、ミケルにシュートを許すも枠の外。
日本は勝負どころのパスが相手に引っかかる率が高い。アフリカ勢特有のリーチの長さに対応しきれていないか。
63分。素晴らしい出足で日本のボールをカットしたナイジェリア。そのままエリア内に雪崩れ込むが、ハンドでプレーが止まる。
65分。ビルドアップ中のボールを奪われた日本。ミケルが入れたクロスは櫛引が防いだものの、エテボに飛び出した後のスペースに蹴りこまれ失点。スコアは2−5となり絶望的になる。
67分。ナイジェリアのペナルティエリア内で室屋が突破を見せ折り返す。だが、足元でもたついているうちにクリアされた。
69分。藤春がコンビネーションでナイジェリアエリア内に侵入。冷静に折り返したところを浅野が押し込み3−5。と同時に興梠に代えて鈴木武蔵投入。
70分。南野が中央にスルーパスを通すがオフサイド。スローで見てもオフサイドには見えないが、シュートはポストに弾かれていた。
3点目が入って日本が押し込み始める。ここでナイジェリアがムハンマドに代えてマドゥを投入。
日本はリスクをかけて攻めに行っているぶん、奪われた時のカウンターが怖い。ケアしながらリスクコントロールをしたいがなかなか難しい。
75分。中島に代え矢島慎也を投入。日本は交代カードを使いきった。
77分。ナイジェリアがエゼキエルに代えてDFのウドを投入。
その直後のプレーでスローインからナイジェリアゴールに迫るも跳ね返される。
78分。中央で受けた鈴木武蔵が強引にシュート。CKを得る。このセットプレー崩れの流れから矢島がゴール前に浮き球を送るが、これはGKにキャッチされる。
ナイジェリアはここに来て疲れが見え始める。だが、2点差があるため無理はしない。省エネサッカーに徹して守り切るつもりだろう。とはいえ、日本も疲れが見え、ビルドアップ時のつまらないミスでボールを失う。
84分。ナイジェリアDFラインでのボール回しのミスをつき浅野が突進。CKを獲得。矢島が蹴ったボールにヘッドで合わせるも、枠の外に飛ぶ。
85分。ナイジェリアはミケルに代えてサリウを投入。試合を終わらせにかかる。
87分。植田が藤春にロングボール。藤春はなんとか追いついて折り返すもゴールラインを割っておりゴールキックへ。
追加タイムは5分。
92分。サイドでのコンビネーションで崩そうとするが、ナイジェリアも十分に人数を揃えており、突破できない。逆サイドに展開するシーンが殆ど見られないのは残念でならない。
94分。南野からパスを受けた鈴木武蔵がペナルティエリア内で切り返してゴール。1点差に迫る。が、時間がない。
その直後に試合終了。日本は初戦で4−5と乱打戦の末敗北した。
総評
正直言って、普通に考えても5失点もしてしまったら勝てるわけがない。どの失点もナイーブなもので、オーバーエイジをDFに2人使った意味が無い。
今後の力関係を考えると、このナイジェリア戦は勝っておかなければならない試合だった。初戦を落としてグループリーグを勝ち上がるのはこういう短期決戦の戦いではかなり難しい。日本は早くも追い込まれたといえるだろう。
メディアはロンドンで4位だったことを受けて、今大会はメダルをと伝えている所も多いが、残念ながらそんなに甘く無いということをこの初戦で思い知らされてしまった格好だ。
すべてが終わってしまったわけではないが、かなり重要な勝ち点3を失ったと言わざるを得ない。
正直って、当日入りしたチームに負けて欲しくはなかった。それが一番残念だし、悔しいところだ。