ここから本文です

児童虐待への対応10万件超、難しい「一時保護」の判断

TBS系(JNN) 8月4日(木)19時38分配信

 全国の児童相談所が対応した児童虐待の数が、昨年度初めて10万件を超えたことが明らかになりました。子どもを守るためにどうすれば適切に介入ができるのか、児童相談所は難しい問題に直面しています。

 4日、厚生労働省に集まった全国の児童相談所の所長たち。ここで、2015年度に全国で対応した虐待の件数が10万3260件と過去最多だったことが公表されました。現場の負担が増すなか、今年3月には児童相談所の対応をめぐり、痛ましい事態も明らかになりました。

 「1人のお子さんの尊い命が失われたことについて、大変深く重く受け止めています」(児童相談所の会見 相模原市・3月)

 両親から虐待を受けていた相模原市の男子中学生が自殺。男子生徒は児童相談所に何度も「保護」を求めていました。

 「『施設で暮らしたい』と言っていたようです」(児童相談所の会見)

 ところが、児童相談所は「親子関係に改善がみられた」などの理由から家族から強制的に引き離す「一時保護」を見送り、男子生徒はその後、命を絶ちました。4日の会議では、相模原市が問題の検証結果を初めて報告。それによりますと、担当の児童福祉司が父親の暴力を把握しながら、上司に報告していなかったことなどから、事態の緊急性が児童相談所のなかで共有されていなかったとしています。

 「子どもに寄り添った支援ができなかった。関係機関が同じ方向を向いて支援することができていれば、一時保護の必要性は判断できたと思う」(相模原市児童相談所 細谷洋一所長)

 一方、現役の児童相談所の所長は家族や子どもの対応によっても、一時保護の判断は難しくなると指摘します。

 「お母さんやお父さんの状態に応じて、的確に判断していかなければならない。子どもが『親といたい』と訴えてくると、こちらも難しくなる。最善を尽くしているが見抜けなかったという。例えば虐待の根が深いものであったと。ただ精度を上げていくことが今の児童相談所のあり方だと思う」(平塚児童相談所 田辺有二所長)

 児童相談所の負担が高まるなかでどうすれば適切に介入し、子どもたちの命を守れるのか。国は年度内に一時保護の新たな判断基準を作ることにしています。(04日16:01)

最終更新:8月5日(金)2時18分

TBS News i