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施設職員6割、心に傷…専門家派遣しケア

事件のあった津久井やまゆり園を捜査する警察官=相模原市緑区で2016年7月26日、徳野仁子撮影

 障害者殺傷事件が起きた相模原市の「津久井やまゆり園」の職員約100人が、事件直後の凄惨(せいさん)な現場の様子を思い出すなどして精神的な負担を訴えていることが分かった。市と神奈川県は4日、施設に精神科医や精神保健福祉士を派遣し、職員の心のケアのあり方について検討を始めた。

 施設には約160人の職員がいる。関係者によると、事件直後の7月26日未明から早朝にかけ、連絡を受けて多くの職員が施設に急行し、負傷者の救護などに当たった。

 施設が事件後、職員から心理状態を聞き取ったところ、6割超にあたる約100人が、事件によって精神的な負担があると訴えた。廊下や壁に飛散した血痕を目の当たりにした当時を思い出して苦しいなどと話す職員もいた。ショックから出勤できなくなった職員が複数いるという。

 施設近くに住む女性職員は毎日新聞の取材に「いまだに夢の中にいるようで、本当に起こったことなのか分からない」と振り返る。

 女性は26日午前4時ごろ、同僚の連絡で事件を知った。駆けつけた施設では、救急隊が患者の重症度によって治療の順番を決めるトリアージをしていた。女性はけがのない入所者たちにじっと寄り添って時を過ごしたが、当日のことをよく覚えていないという。

 事件後も入所者を支える忙しい日々が続く。現場になった居住棟が使えなくなり、慣れない体育館で避難生活を続ける入所者を世話したり、負傷して入院中の入所者へ届け物をしたり、仕事は増えている。そんな中、職員の気持ちをぎりぎりでつなぎとめているのは、入所者の笑顔だという。「今はたくさんの職員が日常を取り戻そうと必死」と話す。

 県によると、4日現在で92人の入所者が被害のなかった居住棟や体育館などで暮らしている。県保健福祉局は職員について「異常な状況下の業務でかなりの負担がかかっており、限界に近い状態」としている。【田ノ上達也、高橋和夫、宇多川はるか】

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