「キメラ胚研究」市民の半数が抵抗感 京大iPS研調査
iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使ってヒトの臓器を動物の体内で作る研究に関する意識調査を、京都大iPS細胞研究所の八代嘉美准教授らが実施した。市民は研究者と比べ、研究への抵抗感が大きい傾向が浮かび上がった。米科学誌に5日、発表する。
八代准教授らは2012年と15年、市民延べ5千人と日本再生医療学会員延べ2千人に、再生医療に関する意識調査を行った。今回は、約30問の質問のうち動物でヒト臓器を作る「キメラ胚」に関する4問を中心に結果をまとめた。
再生医療研究の推進は、12年と15年とも市民の約8割が「支持」か「どちらかと言えば支持」と回答。一方、キメラ胚作製は許されるべきではないという答えは、12年45・4%、15年49・0%。同学会員は12年15・8%、15年30・3%だった。抵抗を覚える市民の割合が高く、会員でも3年で抵抗を覚える割合が倍増した。
八代准教授は「市民にキメラ胚に関する知識を伝え切れていない可能性がある」と指摘。専門家で抵抗感が増した点は「3年で会員が増え一概に比較できないが、専門家が市民の抵抗感に配慮したのかも知れない」としている。
【 2016年08月05日 09時00分 】