「またいとこ」までDNAで分かります 京大が血縁判定新手法
DNAによる血縁鑑定で、従来可能だった親子・きょうだいよりも広範囲の「またいとこ」まで判定できる新たな手法を、京都大医学研究科の玉木敬二教授と大学院生の森本千恵さんらが開発した。遺体以外に本人のDNAサンプルがない場合の身元確認での応用が期待できる。米科学誌にこのほど発表した。
従来、個人間で異なるDNA上の15カ所の配列を調べ、一致した場所の数によって血縁を鑑定してきた。他人同士での一致はないが、親子では半数が一致する。だが15カ所しか使わないため、親子・きょうだい以外では適用できなかった。
玉木教授らは、従来のように配列の一致する場所の「数」ではなく、共通する配列の「長さ」に注目した。個人で塩基が一つだけ異なる場合があると知られているDNA上の17万カ所を選択。血縁を把握したい2人で、17万のうち塩基が連続して一致している領域の長さを測った。合計した長さは、親子やいとこなど関係ごとに異なった。
コンピューターシミュレーションでは、いとこまでの血縁ではほぼ100%、いとこの子ども同士に当たるまたいとこでも93・9%が的中した。実際に67人の男女で、頰の内側からDNAを採取して検査したところ、全員で血縁関係を的中させることができた。
東日本大震災では、津波で本人のDNAサンプルが付着した遺品などが失われた遺体の身元確認に限界があったという。森本さんは「今後、手法を簡便化し、損傷の大きいDNAでも活用できるようにしたい」と実用化を目指す。
【 2016年08月05日 06時00分 】