「お得意様」が去った
実際、銀座にある有名百貨店の社員は、
「いつから中国人観光客向けのお土産屋さんになったのか」
「南部鉄器や包丁など、和のテイストを強調した品物ばかりで買いたいものがなくなった」
「中国人の店内でのマナーの悪さをなんとかしてほしい」
といった意見が連日のように日本人客から寄せられていると明かす。
そして、「爆買い」の潮目が変わった。アベノミクスによって進んだ円安・株高は、今年に入って急速に逆回転。円高が進み、この1年で人民元は円に対して約2割も安くなったのだ。
「円高に追い打ちをかけるように、中国政府が今年4月から個人への関税を強化したことも『爆買い』に響いています。景気が後退している中国では国内消費を喚起しようと、海外で購入した商品を国内に持ち込む際の課税を強化しました。
具体的には高級腕時計はこれまでの30%から60%に、酒や化粧品などは50%から60%に、食品は10%から15%にそれぞれ引き上げたのです」(日本総研副理事長・湯元健治氏)
その結果、中国で転売することを目的に、高級時計や家電、ブランド品などを大量に購入していた「ブローカー」が姿を消した。
今も中国人観光客は日本国内に数多く滞在しているが、客単価は激減。かつてのように数万円のものをポンポン買う光景は見られない。
「以前は1個1万6000円もする生薬強心剤が3つも4つも、まとめて買われていましたが、今はまったくそんなことはありません。せいぜい水虫薬や日焼け止めをいくつかといった程度です。いわゆる富裕層が少なくなり、中間層の人数が圧倒的に増えています。彼らの財布のヒモは普通に固いですね」(銀座にあるドラッグストア店員)
そんな客層の変化も百貨店を直撃している。
6月20日に日本百貨店協会が発表した5月の免税品売上高は16・6%減と、2ヵ月連続で前年割れとなり、中国人観光客による「爆買い」の減速傾向が一段と鮮明になった。全国百貨店売上高も4629億円と、前年同月比で5・1%減少したと発表。3ヵ月連続のマイナスとなっている。
「今年の春節(2月)以降、おカネを使う裕福な中国人は潮が引くようにスーッといなくなりました。そして気づいたんです。日本人のお客様もいないことに……」(前出・百貨店店員)
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