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無免許「未熟運転」の少年を家裁移送「幼稚かつ安易だが、反社会的で悪質とはいえない」

産経新聞 8月2日(火)21時53分配信

 兵庫県尼崎市で昨年8月、運転技能がないのに車を走らせ、自転車に乗っていた肥後勇さん=当時(80)=をひき逃げして死亡させたとして、危険運転致死(未熟運転)などの罪に問われた少年(17)の裁判員裁判が2日、大阪地裁で開かれ、伊藤寿裁判長は「刑事処分が必要なほど悪質とはいえず、保護処分が相当だ」として、少年を大阪家裁に移送する決定をした。検察側は懲役4年以上8年以下の不定期刑を求刑、弁護側は少年院送致などの保護処分を求めていた。

 少年は家裁から検察官送致(逆送)され、大阪地検が昨年10月、自動車運転処罰法の未熟運転条項を初めて適用し、少年を起訴していた。今後、家裁で再び審判が行われることになる。

 伊藤裁判長は決定理由で「車を運転してみたいという、安易かつ幼稚な動機だが、技能がなくて事故に至ったことが、刑事処分にしなければならないほど反社会的で悪質とはいえない」と述べ、保護処分で更生が期待できると結論づけた。

 肥後さんの長男、剛さん(50)は閉廷後、取材に応じ「この決定を受け入れることは到底できない。やり切れない思いだ」と話した。

 決定によると少年は昨年8月13日、無免許で初めて車を運転。アクセルやブレーキ、ハンドル操作の感覚が分からないまま運転を継続し、尼崎市の市道で自転車の肥後さんをはねて死亡させ、そのまま逃走した。

最終更新:8月2日(火)21時56分

産経新聞