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《経済》 ブラジルは第二の故郷 平野利直社長

◆磐田・平野ビニール工業

平野利直社長

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 五日に開幕するリオデジャネイロ五輪。日本選手団の活躍に静岡の経済界も注目するが、ブラジルにサッカー留学経験がある平野ビニール工業(磐田市)の平野利直社長(40)は、「第二の故郷」での五輪開催に、ひときわ思いを募らせている。

 地元のサッカークラブに所属していた平野さんがブラジルに渡ったのは、日本でJリーグが開幕した二年後の一九九五年。高校卒業後、間もないころだ。サンパウロのプロチーム「サンパウロFC」のユースチームに参加した。

 当時のチームに日本人は平野さんら二人いたが、チームメートからはいつまでたっても名前を覚えてもらえず「ジャポネーゼ(日本人)」と呼ばれるばかり。ある日、練習場と寮を行き来するバスの中で、あるブラジル人選手が立ち上がって全員に叫んだ。「日本人と呼ぶな。彼らには名前がある」

 このブラジル人の名は、エジミウソン。後にブラジル代表に選ばれ、二〇〇二年の日韓ワールドカップの優勝に貢献した選手だ。「日本製のスパイクシューズが好きで、日本への関心も高かった」ことから、互いに親しくなったという。「エジミウソンに助けられながら過ごしたサッカー留学だった」。その後もエジミウソンさんとは家族で会食するなど、交流は続いているという。

 留学した期間はわずか半年だったが、その間、日本からブラジルに移住した「日系一世」の高齢の夫婦宅に招かれたこともあり、おはぎやみそ汁を振る舞ってもらった。「家族や友人を大切にし、祖国の日本を強く思う夫婦の姿が今でも印象に残っている」という。

 今ではブラジルを「第二の故郷」と思う平野さん。「当時の出会いが人生の財産になっている」と感慨を込める。自動車用シートなどを作る同社では、従業員約百人のうち一割が日系ブラジル人で、現場の指揮を担う二十代の男性社員もいる。「ブラジルでの経験がなければ、外国への関心も低かったかもしれない」

 開幕に先立つ四日(日本時間五日)には、サッカー男子日本代表の一次リーグの初戦がある。「五輪の日本代表もブラジル代表も応援したい。日本が一次リーグを突破し、ブラジルと対戦する試合を見てみたい」と期待を込める。

(西山輝一)

 

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