尾木のママで 週刊文春 掲載記事

ポケモンGO騒動に一言

尾木 直樹 プロフィール

おぎ なおき/1947年滋賀県生まれ。教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授。

「ポケモンGO」が地球規模の社会現象になっています。アメリカでは大統領選までブームに便乗……世界が瞬く間にポケモンに感染しちゃったみたい。まるでパンデミックね!

 もちろん素地はあったのよ。ポケモンのテレビアニメは九十五の国と地域で放映されているし、映画もヒットした。子どもの頃ポケモンに夢中になった二十~三十代の世代が「ポケモンGO」に飛び付いたのね。

「ゲーマー」というと室内にこもるイメージがあるけど、これは外に出てやるゲーム。ノスタルジーが現実世界と結び付いたのがよかったのかしら。ボクも試しにやってみたら、楽しくてハマっちゃった。三日でレベル七まで行ったのよ! おかげで仕事がはかどらなくて困ってるの。

 狩猟本能を持つ男性は闘うのも集めるのも好き。だからゲーム好きが多いけれど、「ポケモンGO」には、育成や共感といった女性にアピールする要素もある。人間の本能を呼び覚まして刺激するのだから、流行るのは当たり前よ。

広島の原爆ドーム周辺で「ポケモンGO」に興じる人々
Photo:Kyodo

 とはいえ、交通事故を誘発するといった危険やトラブルもいっぱい! 特に子どもたちが心配だわ。ゲームに没入すると恐怖や痛みに鈍感になり、危険が迫っても気が付かないの。「引きこもりの子が外に出た」なんて報道もあったけど、そういう子は既にゲーム依存になっていて、家の外とゲームの世界の区別がついていないだけかもしれない。手放しには喜べないの。

「ポケモノミクス」と呼ばれるほど経済効果が大きいとか、健康増進や地域興しにつながるとか、メディアもやたらと盛り上げるけど、「子どもの成長や発達をどう守るか」という視点が欠けていないかしら。政府が注意喚起の「おねがい♪」を発表したのも、逆にゲームを奨励しているようで多少の違和感もある。何らかの規制は必要だと思うわ。

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