人気を集めるスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」。希少なキャラクターが出現する場所には大勢の人が集まり、交通事故などのトラブルも起きているが、兵庫県の西播磨地域の山間部ではポケモンがほとんど現れず、利用者から不満の声が上がっている。一方、ゲームの集客効果が大きいだけに、観光などの関係者は「過疎が進む地方こそ、レアなポケモンで活性化を」と期待を寄せる。(古根川淳也)
古い寺や町家が立ち並ぶ宍粟市山崎町山崎地区。有名な観光施設のない閑静な住宅街だが、ゲームの配信が始まった22日以降、スマホを見ながら探す人たちが深夜まで歩き回るようになった。
同地区の10歳と8歳の兄弟は、両親のスマホを借りてゲームを始めた。近くの大雲寺など4社寺にアイテムをもらえる「ポケストップ」があり、泉龍寺はポケモンを対戦させる「ジム」だった。これまで30匹以上見つけた。
大雲寺の加藤昭彦住職(62)は「どんな基準でこの寺が選ばれたのか」と驚いた様子だが、「寺は昔から子どもが遊ぶ場。最近は人が集まることも少なく、かえって有り難い」とほほ笑む。
千メートル級の山々に囲まれ、過疎化が進む同市千種町。千種高校の生徒らも大半がゲームを始めたが、地元で見つけるのは難しいという。2年生の男子生徒(16)は「自転車で6~7キロ走ってみたが、ほとんど現れなかった」と残念そう。
他の生徒も状況は同じで、町内にはポケストップが6カ所、ジムは1カ所のみだった。生徒らは「田舎への配慮がなく、ちょっと悔しい。すぐ飽きると思う」と冷ややか。隣の佐用町役場の職員によると、同町でも多く出現するのは駅周辺などに限られるという。
ゲームを開発した米ナイアンティックの日本代理店は「ポケモンは川や緑地などの環境に応じてランダムに現れる」と説明するが、出現頻度の差については「理由は非公表」とする。
一方、地域限定の「ご当地ポケモン」の導入を期待する声もある。カッパの「河次郎」など妖怪人形を公園に設置し、人気を集める福崎町の担当者は「現地に来れば河次郎がゲットできるとなれば、これまで以上の観光客が見込める。今後の動向を見守りたい」と話した。