ロマンの木曜日
2016年8月4日
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味とともに色もチェックしたくなる。それが釧路蕎麦!
一般的に、蕎麦といえば白や灰色に近いものを連想するだろう。
しかし北海道の釧路では、蕎麦といえば「緑色」が普通なのだという。 しかも店によって色が微妙にちがうらしい。いったいなぜ? どれくらい違うんだろう? カラーチャートを持っていって、味の違いを探るとともに実際どれだけ緑色なのか明らかにしていきたい。 蕎麦の多くは白〜黒蕎麦は使う粉によって色が変わる。
ひとつは「更科蕎麦」と呼ばれるもので純白の色。実を挽いたとき最初に出てくる一番粉だけが使われており、高級で上品な味わいが特徴だ。 ふたつめは、実の外皮も挽き込んだ黒ぽい蕎麦。黒いツブツブが麺に混じってるやつだ。蕎麦の風味が強くつゆをそんなにつけずにいただける。日常的によく食べるのはこれだろう。 よくお世話になる蕎麦はだいたい黒め。
3つめはその中間のやぶ蕎麦。外側の固い殻を取り除き、甘皮を付けたまま挽いたものが使われている。
収穫したての新そばは甘皮が緑色だそうで、その結果、蕎麦もほんのり淡い緑色になるそうだ。 釧路蕎麦の緑色は新鮮さを表してる?釧路がなぜ緑色の蕎麦なのかは諸説あるそうだが、このやぶ蕎麦(しかも新そば)の淡い緑色を再現しようとした、というのがその一つだ。
検証しに釧路にやってきた。
釧路には蕎麦屋がたくさん!レンタル自転車屋さんの話によると、釧路市民はラーメンよりも蕎麦好きが多いらしい。「釧路そば商組合」というところが蕎麦屋さんマップを出してるくらいだ。
さっそく案内所で蕎麦マップを手に入れた。すると、どうやら全ての蕎麦屋が緑色な訳ではないことが判明。 白い麺も意外とありそう。なお、このマップに載ってない蕎麦屋さんもたくさんあります。
店名に「東家」がついていればだいたい緑釧路には店名に「東家(あづまや)」とついた蕎麦屋が多い。なんと25店もある。すべて暖簾分けをした分店で、そこでならだいたい緑色の蕎麦があるそうだ。
ただ、店によってはこだわりで白い更科蕎麦のみ扱っているところもあるそうなので、どうしても緑色の蕎麦が食べたい場合は電話などで事前確認してから行くといいかもしれない。 地元の人たちにまずはここへ行け、といわれた東家総本店「竹老園」。釧路の緑蕎麦はここから始まったという。
昭和天皇がお代わりした名店まずやってきたのは、東家の総本店。創業は明治7年で140年も続いている。
自転車でフラフラとやってきてしまったが、隣に日本庭園があるような、少し敷居の高い門構えのお店だ。 なんとここ、昭和天皇をはじめ皇族の方や著名人などが多く訪れたようなお店だという。 テーブル席はこっち。
入るのに少し緊張したが、座敷とテーブル席の建物は別にされていた。テーブル席は割と普通で、気兼ねなくいただけそうだ。
頼んだのは「茶そば」970円。この濃い緑色は上質の抹茶だそうだ。
総本店では緑色が2種類!店員さんに緑色のお蕎麦が食べたいことを告げると、「うちは緑色の蕎麦が二種類あるんです」、と意外な回答が返ってきた。
一気に2つも食べられるかな。ど、どうしよう。 美しく艶めく緑。美味しそう!
口の中で蕎麦がおどる!とりあえず頼んだのは茶そば。抹茶が使われているというだけあって鮮やかな緑色である。口に入れるとふわっと抹茶の風味が感じられた。
驚いたのはその麺の細さ。「繊細」とも言える細さだが、一本一本がしっかりと弾力があるため口の中を麺が踊っているようだった。これはうまい! 昭和天皇でなくともお代わりしたくなる蕎麦だ。 色はシアン50%、マゼンダ5%、イエロー90%。まんまだけど、抹茶色だな。
抹茶はここだけ。普通はクロレラそうか、緑色の正体は抹茶なのか。と納得しかけたが、これは総本店にしかないオリジナル。
通常、釧路の緑蕎麦といえば「クロレラ」が使われているという。そこでもう一品、クロレラ入り蕎麦を頼んでみよう。 こちらはクロレラ入りの普通の緑蕎麦。ただし「寿司」である。700円。
クロレラ入りの蕎麦を使った「そば寿司」である。私は蕎麦も寿司も大好きだが、そば寿司の存在をここで初めて知った。
クロレラにそば寿司。2つの初めてが同時にやってきて興奮せずにはいられない。
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