2016年08月03日

『7年目の浮気』マリリン・モンロー・男達の夢としての「ロリータ巨乳」

肉体派女優の系譜



評価:★★★★★ 5.0点

マリリン・モンローの完成形は、『7年目の浮気』この映画において出来上がったという気がします。
この作品以前にも、マリリン・モンローは何作もの映画に出演してきました。
しかし、「ナイアガラ」「帰らざる河」「バスストップ」はマリリン・モンローの本来的な魅力とは違うような気がします。
また「紳士は金髪がお好き」「百万長者と結婚する方法」「ショウほど素敵な商売はない」は単独主演では在りませんでした。
そういう意味では、この映画こそマリリン・モンローのための映画だったでしょう。

7witci.bmp『七年目の浮気』あらすじ
中年男のリチャード・シャーマン(トム・イーウェル)は出版社の編集者。妻ヘレン(イヴリン・キース)と息子のリッキー(ブッチ・バーナード)が避暑に出かける。そんな時、上階から植木鉢が落ちてきた。相手はTV女優の卵のセクシーな娘(マリリン・モンロー)で、家に招待する。その娘を見てからシャーマンは、自分がさまざまな女たちと浮気する想像にふける。次に出版する本を読むと、結婚7年目の男の浮気心を「7年越しのムズムズ」と説明している。シャーマンもちょうど結婚7年目で良心が痛み、妻に電話をかけると、マッケンジーという男性とドライヴに出かけたという。シャーマンは、階上の娘をさそって映画を観に行き、帰ってくると自分の部屋は暑くて眠れないという娘をベッドに寝かせ、シャーマンはソファーで寝る・・・・・




実はこの映画の中で、メインにフォーカスを宛てられるのは中年男のリチャード・シャーマンです。
この男の結婚生活7年目に起きた、妻子がバカンスに出かけた隙のアバンチュールがメインストーリーであり、マリリン・モンローはその相手役として作品の50%程度の出演時間に過ぎません。
しかし、実はそこもビリー・ワイルダーの計算だったように思います。

つまり男性の夢=アバンチュールの妄想を延々と描き、男性の共感を十分に集めておいて、そこに理想の相手としてマリリン・モンローが登場するのです。
そのときモンローは男達の夢=セックス・シンボルとして輝いたのです。

そのキャラクターとは、明るくて、イノセントで、ちょっとおバカで、でも抜群のプロポーションと、セクシーさを振りまく女性です。
このイノセント=無垢とセクシーが共存するキャラクターとは、鼻の下を伸ばしたフシダラ野郎どもが、自分の思うがままに出来そうな、後腐れのない遊び相手として理想的な相手でしょう。

このキャラ・・・・・・どっかで見た、そう思ったのですが・・・・・・ようやく、分かりました、これ、そのまま日本で言う「ロリータ・巨乳」ではないでしょうか。

つまりは、男達の下世話な劣情の対象としての「理想形」を、初めて世界に提示したのがビリー・ワイルダー描くところのマリリン・モンローだったと思うのです。
そんなキャラクターゆえに、当時のアメリカでも、その明け透けなセクシー振りに、女性陣がハレンチすぎると猛反発したというのもうなずける話です。
正直言って、男目線では都合の良い女ですが、女性陣からすれば、こんなおバカで、色気オバケに、男どもが鼻の下伸ばしているのを見て面白いわけがありません。

実際それまでのハリウッド女優は、社会的に受け入れられる属性を個性としていました。
例えば良妻賢母、洗練、高貴、賢才、しとやかさ、優しさなど、もちろん美しさは言うまでもありませんが、それと同時に、社会的に求められる「規範=理想」としてスクリーンに現れたからこそ、スターと呼ばれたのです。

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左上:グレース・ケリー(後のモナコ后妃)

右上:イングリッド・バーグマン
    (ジャンヌ・ダルクを演じたがる)

左 :オードリー・ヘップバーン
          (熱心な慈善活動家)


そんな流れを見ても、マリリン・モンローのような対男性フェロモンを全開にした存在はいませんでした。
それは反社会的な姿であり、実際ハリウッド女優のキャラクターとしてはギリギリの、ユニークでギミックな存在だったのだと思います。
多分、その当時の感覚では「裸で媚びを売っている」ような存在だったのだろうと、想像します。

それでも、この女優の「ロリータ・巨乳」を前面に出す事を決断した、監督・脚本・製作ビリー・ワイルダーの感覚には脱帽するしかありません。
想像ですが、ドイツから亡命してきたビリー・ワイルダーにとって、アメリカの女性達の持つ太陽のような明るさと健康なお色気が、異邦人ゆえに敏感に感じられたのでは無いでしょうか。

その「ヤンキー娘」の典型的な魅力を、実はアメリカ人から見れば眉をひそめるモノだったとしても、マリリン・モンローに仮託したと思うのです。
そして狙いは違わず、第二次大戦後の世界中から憧れを持たれた当時のアメリカの象徴として、世界中で愛されることになったのです。

モンロー以後ブリジッド・バルドー、ラクエル・ウェルチ、ソフィア・ローレンなど肉体派の女優が現れるようになります。
BeBe.jpgwelch_23.jpg
sofia lorenn.jpg 左上:ブリジッド・バルドー
 右上:ラクエル・ウエルチ
  下:ソフィア・ローレン





しかし、モンローの持つ魅力の内、「巨乳=肉体」の魅力は持ち合わせていても、「ロリータ=無垢な無邪気さ」を表わした女優はナカナカ思いつきません。

kyo-New.jpgマリリン・モンローが不運な死を迎えたとき、世界中の男が「マリリン・モンロー・ノー・リターン」と慟哭したというのも、なるほど頷ける気がします。
マリリン・モンローの死自体、事件性を帯びていて、スクリーンで見せる無邪気な顔とは違う、ミステリアスな側面も持った私生活だったようですが・・・・・・・・

やはりユニークな存在だと思いますし、もう現実的な生身の女優としては無理かもしれないとすら思います。

でも安心してください!日本の男子向けアニメには、いっぱいでてきます。



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posted by ヒラヒ・S at 22:39| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おこんばんは〜うーん・・・オードリー派です(笑)いやマリリンさんが嫌いとかではありませんが。(よく知らないのもありますけど)今の時代だと同性からも支持されるような?性格よさげだし( ̄▽ ̄)
Posted by ともちん at 2016年08月03日 22:50
>ともちんさん
ありがとうございますm(__)m
私は、マーニー派ですというのは冗談ですが、マリリン・モンローは女性目線だと、男に媚びちゃってイヤラシイという印象かと想像しますが・・・・よく分かりません(^^;)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年08月03日 23:06
ロリ巨乳は男性の夢ですね(笑)
でも、オードリーの様な正統派が好きだったりする!
Posted by いごっそ612 at 2016年08月04日 07:20
>いごっそ612さん
ありがとうございます。私も基本オードリー派です(^^ゞ
でも、この映画を見ると、マリリンが可愛い・・・・感心します。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年08月04日 07:30
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