慢性期の脊髄損傷 細胞移植と歩行訓練で回復可能か

慢性期の脊髄損傷 細胞移植と歩行訓練で回復可能か
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交通事故などで脊髄損傷になった患者は半年以上たつと、将来、iPS細胞などを使った神経の細胞の移植が可能になっても、運動機能を回復させることは難しいと考えられていますが、慶応大学などの研究グループは、細胞の移植と歩行訓練を組み合わせれば、運動機能を回復できる可能性があることをマウスを使った実験で明らかにしました。
この研究を行ったのは、慶應大学の中村雅也教授らのグループです。グループでは、脊髄を損傷して6週間以上が経過したマウスに神経を新たに作り出す細胞を移植したあと、8週間、歩行訓練を行いました。
その結果、治療前は足を引きずりうまく歩けなかったマウスがしっかりと歩き、歩行のスピードも1.5倍になったということです。
研究グループでは、交通事故などで脊髄損傷になった患者にiPS細胞を使って神経を再生するための研究を進めていますが、国内に20万人以上いるといわれる半年以上がたった慢性期の患者は症状が固定してしまい、運動機能の回復は難しいと考えられてきました。
中村教授は「iPS細胞を使った移植とリハビリを組み合わせれば、慢性期の患者でも回復できる可能性のあることが分かった。治療法の開発に向けた大きな一歩だ」と話しています。