坂本純也、畑宗太郎
2016年8月3日15時22分
奈良県天理市が誘致した大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の事業者選定をめぐり、公募に応じた業者の提示した価格情報が、市議や市幹部を通じ、外部に漏洩(ろうえい)していたことが関係者の話でわかった。大阪地検特捜部は不正が行われた疑いがあるとみて、関係者から事情を聴くなど捜査に乗り出している。
関係者によると、市は約43ヘクタールの市有地を貸し付けるメガソーラー事業を計画。2013年6月、土地の賃借料を含む企画内容で評価する「公募型プロポーザル方式」で事業者を募ったところ、大阪市のコンサルティング会社と北海道の風力発電事業者の2社が応募した。コンサル会社は15年2月からの20年間で、年4300万円の土地賃借料を払う条件を提示。市は「賃借料が高く、貢献度が高い」などと評価し、同社に決まった。
関係者などによると、コンサル会社が企画提案書を市に提出する直前の13年8月、天理市議が当時の天理市幹部から北海道の事業者が示した賃借料を聞き出し、コンサル会社に流したという。同社はこれをもとに、優位な条件の提案書を提出したとみられる。市議には見返りがあった疑いもあるという。
コンサル会社は15年の事業開始を計画したが、施工予定だった海外企業が撤退したため、事業ごと売却した。メガソーラーは17年2月に稼働予定で、約9万枚の太陽光パネルを使い、関西電力に売電する予定。
朝日新聞の取材に対し、市議は「選定は公明正大にすべきだと助言した。情報を漏らすことなど一切していない」、コンサル会社幹部は「情報を流してもらったということは一切ない。提案全体が評価された結果だ」とそれぞれ話した。(坂本純也、畑宗太郎)
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朝日新聞社会部
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