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欺瞞飛行

giman hikou ――本やゲーム、その他よくわからないブログ

『シン・ゴジラ』感想 構造が見える・動く!=たのしい!

映画

シン・ゴジラ』です。2回みました。
 
shin-godzilla.jp
 
特別映画ファンでもない(月1本程度)私は、今まで同じ映画をスクリーンで複数回見にいったことはなかったのですが、今回は日曜日のレイトショーで最初に見た興奮が翌日も冷めやらず、仕事終わりにまた見てしまいました。
 
この映画独特の面白さは何か、もしくは私自身がどこに惹かれたのか、を考えてみると、
「日本というとてつもなく巨大で複雑な機構が、未曽有の危機と戦うために全力で動くところを、各パーツのディティールにこだわって見せてくれたところ」
かな、と思います。
 
私は、工場で巨大な機械が動いて何かを生産しているところや、大勢のアリたちが役割分担をしながら大規模のある巣を作ったり餌を運んだり敵を撃退したりするというような、「機械」や「機構」が動くところを「どのパーツがどう動いてどうなる」というディティールに注目しながら見るのが好きなんですが(「図解」系も大好物)、 

シン・ゴジラ』では、まさにとてつもない規模でそれを見せてくれました。
ゴジラという脅威に直面した日本。その中で動く、政府・内閣、都庁、主人公の特別チーム「巨災対」、自衛隊の各級司令部、現地部隊。この作品は、それら「各パーツのディティール」を逐一描写しています。
どのパーツでも(最前線以外は)どこかの会議室で20~30人くらいが集まり、地図やモニタなどを中心にして座っているのですが、顔ぶれや服装、設備はそれぞれ違い、その風景の違いを見るだけでも楽しいですし、これらがどうやって意思決定をし、どんなルートで信号が伝わってどこがゴジラ対処に動いていくのかを見せてくれるので、興奮しっぱなしでした(とくに都庁のオルタナティブ感は最高だった)。
 
たとえば、自衛隊ヘリが不明巨大生物(ゴジラ命名前)を射撃しようとして、射線付近に避難し遅れた人がいるのを発見したシーンでは、

ヘリ部隊 「射撃中止! 人がいます!」
現地司令部「人がいます!」
上級司令部「人がいます!」
中央司令部「人がいます!」
統合幕僚長「人が残っているようです」
防衛大臣 「人がいるようですが、続けていいですね総理!?」

と、現場から最高責任者への報告過程を全部描写しています。
こんなシーンはふつうの映画なら要らないと思いますが、『シン・ゴジラ』ではあえて入れていて(ここまで命令伝達描写が詳細なのはここだけですが)、それが『シン・ゴジラ』独特の面白さになっていると思います。
非常にテンポがいいので、冗長にも感じません。
 
また、『シン・ゴジラ』に出てくる人たちには人間らしさがなくて感情移入できない、という意見をどこかで見ましたが、私は感情移入できないということはありませんでした。
というか、人間ではないアリを見て「このアリははぐれてしまって寂しそうだ」とか、外敵と必死に戦っているのを見て「がんばれ」と思ったりしますし、
生き物ですらない工場の機械に対して「あっちの部品はゆっくりなのにこっちはめっちゃせわしなく動いて忙しそうだ、大変だな」などと思うことだってあります。
まして今回はその「部品」は人間です。もう感情移入しまくりでした。
 
もちろん、この映画の面白さはこれだけではなく、本当にいろいろな方が語っているように、
最初の上陸ゴジラのキモさ、リアルな災害感、自衛隊かっこよすぎ、ゴジラヤバすぎ、B2もったいない、東京火の海の絶望感、大臣ヘリの喪失感、みんな早歩きしすぎ、米謎議員と話す石原さとみエロい、飛行機の爆発の仕方が懐かしい、例の爆弾、はたらくくるま軍団カッコよい、ゴジラが歯医者の患者みたい、尾頭さんの笑顔良
などなど、もう全部同意です。無理やり転がされて口に色々突っ込まれてるゴジラはかわいく見えて仕方なかった(展開としてはハラハラだったけど)。
 
最高の映画でした。
 
あと最後に、私が一番ぐっと来たシーンは、米国と交渉した臨時外務大臣が「この仕打ちはいくら何でもひどい!」と言って半泣きになるところです。
私が一番最初に入った会社で、上司の上司にあたる偉いひとが、力のある取引先からかなり理不尽な仕打ちをされて同じようなことになっているのを見て、私もかなり動揺したのを思い出しました。
偉いおじさんの泣き顔には心が揺さぶられるのです……。