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コンセプト 「医師とご両親がそれぞれの長所を活かして 指導のチームを作り、子どもに当たる」
診療対象:心身障害医療。特にてんかん、脳性小児麻痺、 知的障害や自閉症、小児糖尿病の治療
略歴 医師国家試験合格 東京大学大学院終了、医学博士号取得
あゆみ 東京大学医学部小児科学教室入局 東大附属病院小児科に精神外来、糖尿病専門外来開設 1963年(S38年)松戸クリニックを開設(EEG専門) 小児糖尿病サマーキャンプを開始(日本初) 東京都立大塚病院医員 1964年(S39年)日本肢体不自由児協会整肢療護園小児科医長就任 つぼみの会発足 1967年(S42年)松戸市心身障害児就学指導委員会委員の委嘱 1968年(S43年)日本肢体不自由児協会整肢療護園退職 松戸クリニック院長就任 東京女子医科大学小児科非常勤講師 1973年(S48年)「小児のけいれん治療のためのケトン食手引き」出版 1978年(S53年)松戸クリニック分室の開設 1988年(平成元年)医療法人社団わかば会設立、理事長就任 1996年(H 8年)東京女子医科大学小児科非常勤講師退職 2000年(H12年)特定非営利活動法人小児特定疾患療育会を設立 理事長に就任 2007年(H19年)日本糖尿病学会 「坂口賞」 受賞 松戸市就学指導委員辞任 「松戸市教育功労者表彰」 2008年(H20年)「糖尿病療養指導鈴木万平賞」 受賞 2009年(H21年)「ケトン食の本、奇跡の食事療法」出版 2011年(H23年)日本精神神経学会専門医指導医(H23〜28年) 2012年(H24年)小児糖尿病サマーキャンプ50周年を祝う 日本てんかん協会 「木村太郎記念賞」 受賞 自閉スペクトラム症、てんかん及びダウン症候群の子供たちの障害の実態と取扱い方への考察 医療法人わかば会松戸クリニック 丸山 博 これからお話しすることは私が私なりに考え、実行していることで、一般的な理解とは少し異なる点があります。ですからこの話はほかの先生方の話とは違うかもしれません。でも私は今の時点でこう理解するのが一番良いのではないかと思っています。
自閉症スペクトラム障害はDSM-5(アメリカ精神神経学会編−精神疾患の診断と統計のための手引き-5)で用いられるようになりましたが、自閉症スペクトラムというはこれまで用いられてきたのですが、障害の名を付けたのはこれが初めてです。まだICD−11(国際疾患分類-11)に取り上げられるかどうかはわかりません。 自閉症とアスペルガー症候群は一見全く別物のようですが、確かに似た面があります。重い自閉症は強い知能障害を持ちます。一方私の見ているアスペルガー症候群の子は半数以上に知能指数が120程度の一見高い知能があります。しかし両者とも対人関係の面で問題を持っています。もう一つの特徴は年齢が進むにつれて次第に知能が上がってくることです。身体的にも多少の共通性があり特にこの性質はアスペルガー症候群に顕著に見られますが、背丈が高く、指が長く、脊柱の屈曲がみられます。近年になってわかってきたことは、自閉症児は頭が大きいことです。生後6か月くらいから4歳くらいにかけて頭囲が平均より2.5cmほど大きくなります。 頭部MRI検査で調べてみると大脳の灰白質の部分がふえていることが分かります。つまり神経細胞(ニューロン)とその付属物が増えているのです。がんのようなものが増えているのではなく、実際に働くことができる細胞が多いのです。 通常人間の脳は脳細胞がどんどん分裂して頭が大きくなってゆきます。一部のニューロンは細胞同士のつながりができて、特に体の運動神経は胎児のうちから発達して,胎内で手や足を動かします。しかしほかのニューロンはまだ少ししかつながりができないか(見る神経や聞こえの神経)、全くつながりがない(ほかの多くの神経)状態でどんどん発達が進みます。神経の働きができるのは、一つはニューロンが体の一部を伸ばしてほかの神経に接触する(シナップス形成)のと神経線維の髄鞘化によります。外界からの刺激が入り神経が活性化すると神経電位が起きてほかのニューロンに向けて電位が移動してゆきます。こうしてニューロンからいくつかの刺激をもらったニューロンはそのまま生き残ってゆきますが、刺激があまり届かなかったニューロンはアポトーシスを起こして消滅します。学習を積み重ねることによって過剰に作られた神経組織が削られて人の脳になってゆきます。ちょうど木彫りの人形のような感じです。 自閉症の脳が大きいのはこのように削られてゆくべき神経組織がいつまでも残っているからですが、それが思考組織を強固に作ってゆくのを妨げていると思います。たとえていえば、道がたくさん作られるのは良いのですが、車一台しか通れない道が沢山できると車の渋滞がおこるのに似ています。幹線道路ができて、それが枝分かれして、次第に細い道路へと分岐してゆくのが一番能率的です。それが普通の人の脳神経です。 骨や靭帯などの組織にも似たような不具合があって、やや弱いのではないかと思いますが、このような支持組織の弱さの原因はわかりません。 通常の知的障害とちがって神経回路は混乱しているとはいっても沢山ありますので、これを上手に利用することはできそうです。たとえば細い道路の入口に「一方通行入口」とか「一方通行出口」とか書いておいて、皆に守らせればよいのです。こうしたやり方の一つに構造化という療育の手法(TEACCH法)があります。このような工夫はさらにいろいろと考えることができます。 神経組織の混乱は脳機能の種類によって異なります。たとえば明るさや色彩あるいは音の強弱や音程は混乱しにくく、わかりやすい刺激で、これらの学習は割合容易です。しかし、ある音をとらえ、それを声としてとらえ、その音のつながりを分節し、言葉として理解し、意味をつけ、音を発した人の意図を知るという作業は複雑な難しい作業となります。 このような難しい言葉つくりでも、標識をつけたり、ガイドに案内してもらえばかなりのことができます。 たとえば、カードにリンゴの絵を描いておいて数秒間見せて、何回か繰り返しリンゴという、またいっしょに言わせる。さらにりんごの一片を食べさせる。これは良い行動療法です。 逆に罰統制(叱りながら教える、小言を言う)は進入禁止の札をいたるところに立てるのと同じでどうしてよいのかわからなくする手法です。このような事態にさらされると、子供はいろいろの行動をとるのですが、周囲の人がその理由がわからないでいると、こどもは相手に対し激しい行動‐多くは自傷‐をとります。それによって罰を緩めるとそれが報酬となって自傷が強くなってゆきます。これが悪い行動療法です。 自閉症の子供は沢山の神経の道を持っているので、丹念に教えるとかなりの年齢でも、学習の効果が次第に出てきて、学校を卒業するまで会話ができなかった青年がその後ある程度の会話ができるようになったりします。 アスペルガー症候群の子供たちで私が見ているのは幼稚園児くらいでは知能指数が100前後ですが、小学校高学年になると120くらいまで上がります。アスペルガー症候群の人は、知能検査の問題を解くのは上手ですが、知性というのはそれだけではありません。話を聞きながら、その話に納得したり、なぜそういうのかを思い巡らしたり、自分の主張の正しさを検討したりすることも、必要ですが、その機能がうまく作動しないために対人関係に失敗することが多くなります。そのような障害もうまく乗り越えられるとよいのですが、学習(例えばSST)には限界があります。 障害克服の学習は必要ですが、全く正常な人を目指すことはできません。 障害はあってもよいから、周囲の人が自閉症に歩み寄ってやることも大切です。また、アスペルガー症候群の人が就職するときには。マッチングをよく考えるということも大切です。 自閉症者は特有のてんかんを起こし易いのも一つの特性です。ある人は自閉症者は成人になるまでに80%にてんかん性脳波がみられるといいます。これはこの後てんかんのところで述べますが、一口に言えば前頭葉の廃用性萎縮によるものです。したがって、自閉症の子供は適切な学習を行って廃用性萎縮が起こらないようにしたいものです。てんかんは特に青年期になって発病するものが多いのが特徴です。 自閉症のてんかんは比較的に少量の抗てんかん薬の使用で治療できるものです。しかし脳波にてんかん波があったからと言って、それですぐに治療に移るわけではありません。治療開始の時期を判断するのは専門医の高度の知識を必要とします。 次に自閉症児によくみられる行動異常について述べます。その子の性格にもよるので一概には云えませんが、普通に育った自閉症児はぼんやりしていますが乱暴をする子はいません。異常行動は作られたものといってよいでしょう。親や指導者が自閉症児の障害について知らぬまま、子供に接触するために子供の頭の中に混乱が生まれ、適応行動としての行動異常が生まれます。 自閉症者は記憶がとてもよいため、過去の危機回避行動を繰り返します。その行動が合理的であるか、非合理であるかを知性によって選択することが困難ですから、多くの行動は周囲からは危険な行動としてとらえられます。矯正的指導は概して行動の悪化を招きます。これが強迫行動(こだわり行動)となると、もはやそれを改善してゆくことはとても難しいことになります。 そこで、児童精神科を訪れることになるのですが、このような事態を治す薬はありません。このようなときによく使われる薬は向精神薬です。向精神薬は神経伝達物質による信号の伝達を弱め、それによって興奮して自制できなくなることを防ぐものです。つまりかっとなって自制を失うのを防ぐことができます。しかし意図的にいたずらをしたり、人をたたいたりすることを防ぐことはできません。しかし、他に何もできないのでは困るので、このような薬を使います。多少穏やかになるくらいの効果はあります。 薬の使い方は難しく、たとえば興奮して乱暴する子に抗不安剤を処方するとかえって乱暴がひどくなることがあります。脱抑制といって、乱暴しそうになって躊躇するような場合、不安を除くことによって、どんどん乱暴してしまうというわけです。向精神薬でもこのような現象を起こすことがありますから、私たちは薬剤の種類と用量には気をつかいます。 行動異常の中でも、最も深刻なのが自傷による失明です。頭や頬をたたくことが多いのですが、時に目にもあたり、外傷性白内障さらには眼球ろうを起こして全失明になります。この予防には仕方がないので、手が目に当たらないように工夫された頭部保護帽をかぶせておくことになります。 この章の半ばで触れた支持組織の脆弱性について再び述べます。自閉症やアスペルガー症候群の人たちは靭帯や筋肉に多少弱さがあるらしく、無理をすると、故障を起こすことがあります。若いうちは気づきませんが、壮年から年齢が進むと、重労働を続けると多いのが腰痛症です。私が知る限りでは次いで鼠径ヘルニアです。多分そのほかにもあるのでしょうがわかりません。
てんかんは誰もが知っているようで、なかなか分かりにくいものです。倒れて大きく突っ張っていれば、てんかんと思うでしょうが、てんかんでないものも多いのです。逆に吐きけしがしたり、おなかが痛くなったり、急にわけのわからない行動をしたりするのはなかなかてんかんとは気づきません。てんかんの特徴は多くは理由もないのに突然起こる現象です。 てんかんの診断には脳波検査が行われますが、てんかんでないのにてんかん脳波がみられたり、てんかんなのにてんかん脳波がないこともあります。しかし、てんかんとてんかん脳波には深い関係があります。人間はみなてんかん発作を起こす性質を持っています。電気ショックをかけたり、けいれんを誘発する薬を注射すると、全身けいれんすら起こすことができます。ではなぜてんかん発作が起こったり、同じようにしていても起らなかったりするのかはまだ十分にわかっていません。 てんかんを治療する必要がある場合その理由、すべてのてんかんに治療が必要なわけではありません。治療が必要なのは、発作によって死んだり、大けがをしたりすること。ついで発作が起きたり、繰り返したりすると脳が壊れて知的障害や身体障害を起こすこと、体の具合が悪くなる、学習の妨げになる、仕事場などでのハンデイキャップになる、一つの発作が次の発作の原因になる、病気を持っていると一段低くみられるなどです。 治療の必要性の有無を考え、治療が必要ならそのひとのてんかん発作に対して、最適の治療をめざすのですが、その治療の大部分は薬物内服療法です。注射療法や座薬療法もあり、食事療法、さらには外科的療法もあります。これらの判断や実施はすぐれたてんかん医によるもので、その実行は医師と本人との協力です。てんかんの薬物療法はとても厳格なもので、その効き目は採血して、薬剤の血中濃度を測定しながら判定してゆきます。1日の量、飲む時間、食事との関係もきちんとしなければなりません。飲み忘れなどはもってのほかです。 もし、薬を飲み忘れて発作を起こしたとすると、もう以前の薬をまた飲めばよいというわけにはゆきません。服薬量を増やす必要が生じます。これはてんかんの燃え上がり効果によるものです。また最近では発作を起こすと、発作の種類によってはその後2年間は自動車を運転することができなくなります。 私たちの扱う子供のてんかんの大部分は良性のもので、成長に伴って消えてゆきます。たとえば、単純性熱性けいれんや小児の良性部分てんかん、(ローランド回てんかん)などがこれに当たります。このような良性のてんかんで治療を受けている人は多分ここには来ていないでしょう。 てんかん治療で問題になるのは難治てんかんでしょう。大きく分けて2種類あります。そのひとつは症候性てんかんと言って元々脳にいろいろな障害を持っているものです。たとえば、結節性硬化症などのいわゆる神経皮膚症候群といわれているもの、滑脳症などの脳の形成異常、周生期に起こる病気による脳性まひ、脳出血、脳梗塞、脳外傷、脳炎などによる脳神経の破壊、などはもともと知的障害や身体障害を持っているうえにさらに難治なてんかんを持つことが多いものです。またもう一つはもともと難治なてんかんで知られている症候群があります。代表的なものはウエスト症候群、ドラべ症候群及びレンノクス・ガストー症候群です。これらは一括して年齢依存性てんかん性脳障害とよばれています。 最近はこれら難治なてんかんに有効な抗てんかん薬と称するものが開発されていますが、それなりに効果はあるのですが、発作をなくすところまでには至っておりません。 もう一つのてんかんの原因は脳の廃用性萎縮によるてんかんです。たとえば全盲児は脳の視覚領を使うことはできませんから、どうしても後頭葉視覚領の萎縮が起こります。そのため全盲者のほとんどに後頭葉てんかんを生じます。 脳波検査をすると後頭部にてんかん波が出るので分かりますが、発作自体は外から見てわかりませんので、気が付かないことが多いものです。このような廃用性萎縮によるてんかんは自閉症によくみられます。そのほかの障害でもこのようなことは起こり得るので、ほかにもたくさんあるものと思います。 難治なてんかんの場合、うまく抗てんかん薬の使用に発作が止まるとよいのですが、止まらない場合もあります。そのときには、てんかん発作による害や日常生活上の不自由と抗てんかん薬による眠気やふらつきなどの有害作用とのバランスをとりながら治療してゆくことになります。これはほかの障害とも同様なことで、すべてのてんかんが治療で止まり、障害がなくなるというわけではありません。てんかん発作とともにくらすというかたちになります。 発作による怪我がないようにしながら、学習し、運動し、できれば会社に勤務したり、作業所に通ったりします。 食事療法、主としてケトン食療法のことを指します。昭和42年私がケトン食の手引きを出版して、可能なようにしたのですがあまり使われませんでした。しかし病院などでは細々と行われていました。最近また機運があがってきたので新しく「ケトン食・奇跡の食事療法」を共同執筆で出版しました。
構造社会学と構造言語学はひとつのものです。頭の外にあれば構造社会学で、それが頭の中にあればそれは構造言語学です。昔のように親が配偶者を選ぶのが普通であったときにはそれが社会構造で、それを外れた人はその社会の普通の一員とは認められなかったのです。言葉としてあれは外れものだというのが構造言語の表れのひとつです。それに似たようなことは現在でもたくさんあるのですが、身についてしまっていて、気がつかずに過ぎていることが多いものです。 人間のことばは新生児の白紙の状態から次第に集積されて構造化されてその社会の言語になってゆきます。構造化された言語はその人の属するすでにある集団の構造に規制されます。つまり子供はだんだん成長発達して、ある集団の一員になってゆくのです。 これで分かるように、ことばはすでに出来上がっている社会に合わせて作られてゆきます。これが構造言語学の主な課題になっています。 社会構造は時代とともに変化してゆきます。この変化は大多数の人の意識に沿って次第に行われてゆきますが、近年は福祉関係者たちの呼びかけにも関わらず寛容性に乏しくなる傾向にあり、自閉症者の(ばかりではありませんが)社会の中での生活を困難にしてゆきます。しかし個個人が社会構造を変えることはまず不可能です。 さて、ことばが人の頭の中で形をとり、進化してゆくには、言葉を扱う能力とそれを生かせるシステムが必要です。 単なる音韻から意味を抽出してことばにするのは1歳すこし前からですがそれが集積してゆく期間があり、3歳前後になると急速にそれが構造社会と関連して発達します。この速度の速いことは驚くべきものがあり、Pinkerのいうように一種の本能とすら思えます。 外国語を勉強するのは別の集団の社会構造を学ぶことですし、国語を勉強するのは自分の住んでいる集団の社会構造を学ぶことです。 通常の人の場合、基幹言語(日本語)を学ぶのは本能的なものですばやいですが、第二言語(英語)を学ぶときには、すでに本能の部分を失っているので、少しづつ学ぶしかありません。それもゆっくりと。 自閉症の幼児は、基幹言語を本能的に覚えてゆくことができないので、常に第二外国語を覚えるように、しかも言語構造が出来ないままに学ぶしかありません。 自閉症児ではこのように脳の中の構造が違っているということですので、これを直すことは現在の段階ではできないでしょう。 でも、もしも自閉症の頭の構造の異常がなにか特別な原因によるものでしたらそれを取り除くことで直すことができるかもしれません。でも自閉症児の脳は生まれたときから組織学的な異常が見られるということですので直すことはとてもできないようにも思えます。 そこで私たちができることはいろいろな方法を使って基幹言語を教えてゆくことですが、言葉の数をどんどん増やしたり、言葉の意味を障害のない人のように構造化したりすることは出来ません。でも少しでも構造らしきものに接近することは可能でしょう。それでも住んでいる社会に完全に適合できないところは、周囲の人に理解してもらって安穏に生活してゆくことだと思います。 もちろん、一般の子のように、言葉の持つ、複雑な内容、相手へのメッセージとしての言葉、相手に与える印象などの要素を教えることは困難と思います。 ですが言葉を単一の意味でもそれを教えることも大切なことで、それによって自分の意思や相手の言っていることを単一的にとらえ反応するのに役立ちます。でももっと複雑な意味を理解させることはとても困難です。 私たちは構造社会の中に暮らしていて、構造や言語は、お互いに了解できたものと思い込みがちです。そのような思い込みを自閉症のひとにも要求してはいないでしょうか? 言葉かけをしたときには相手にどのように伝わっているのかを吟味しなければなりませんし、自閉症者に言った言葉にはどのような意味があるのかを、きちんと確かめておく必要があります。 人が障害のある人に だめと言うと暴れだすことがありますが、それは障害者がそのことばを攻撃として理解しているためではないでしょうか。
自閉症圏障害のすべてに当てはまりますが、自閉症にはてんかんの合併が多いものです。 ここでは最も多いタイプの自閉症に伴うてんかんについて書きます。 自閉症のお子さんは2−3歳のころから脳波にてんかん性の波形を見ることが多いものです。そして全身の痙攣を伴うこともよく見られます。これは自閉症の子供の脳が大きいことに関係があるのではないかと思っています。 障害のない乳児の痙攣発作で多いのはいわゆる熱性けいれんですが、年齢や発作の形や家族性などで自閉症の乳児と違いがわずかにあります。 子供は5−6歳前後にローランド回スパイクというてんかん性波形が見られやすく、数パーセントの割合で見られますが、通常は発作を伴わず、治療の必要はありません。 自閉症のお子さんではこれに類した、スパイク波がこの数倍みられ、出現場所もローランド回だけでなく、ほかの場所にも見られます。 この場合もけいれんなどの発作が見られたり、それによってぼんやりしていたり、知恵の伸びが止まってしまうときには治療が必要ですが、脳波上のてんかんだけで治療する必要はありません。 これらの小児期のてんかんは年齢が進むと自然に収まる傾向があります。 しかし次に述べるような理由で長引くことがあります。 青年期や成人期になると、自閉症の人はしばしばてんかん発作を起こしてくることがありそれも大変頻度が高いのです。 結論から言うと。それは二次的つまり作られたてんかんである可能性が強いのです。 自閉症の人は脳の構造は複雑でうまく使いことができれば、すばらしい仕事ができるのではないかと思いますが、通常はその脳をうまく使うことができないーその一部は言葉の障害のためと思われますがーそのために脳の廃用性萎縮が起きます。廃用性萎縮はてんかん焦点を作ります。 このために自閉症の人は青年期になると、てんかんを発生することが多いのです。80%の発生率という人もいます。 小児期のてんかんと違い自然に収まる傾向はありません。 青年期に起こるてんかんは通常前頭葉てんかんです。その発作は複雑部分発作といって、突然意識を失い、動作がとまる発作です。なかなか気づかれないことが多いです。しかし心配して顔ばかり見ているのはやめましょう。見られるほうはたまりません。チックを起こしてしまいます。そういうこともあると知っていれば、必ず分かるものです。この発作が強く出ると全身けいれんになります。このとき顔や目を右や左に回旋させることが多いものです。てんかん焦点と反対のほうを向きます。 治療は少量の抗てんかん薬が有効です。時にはそれよりも少し多い通常の薬用量が必要な場合もあります。 治療よりも大切なのは予防です。青年期のてんかんは脳の廃用性萎縮によるものですから、上手に脳を使うことが大切です。 でも脳をうまく使えないのが自閉症です。どうしたらうまく使わせることができるでしょうか。 軽いスポーツがよいようです。しかしいろいろなルールを持つスポーツや連携プレーが必要なものも自閉症の人には向かないようです。 スポーツをさせるにはスポーツが好きでなければなりませんし、好きにするにはそれなりの工夫が必要です。またスポーツによって感情がたかまるー勝ってうれしいとか負けて悔しいことも脳の働きをたかめます。 筆者のクリニックでは青年期の自閉症者のてんかん罹患率はとても低いです。 それはこのような予防法を意識して生活してもらっているためと思います。発達障害において、自閉症のは一定の割合で発症していて、その数は増えていませんが、擬似発達障害など2次的な発達障害が増加しているとのことです。物が有り余る現在は人とコミュニケーションをとらずに欲しい物がいとも簡単に手に入り、社会との関わりを持たずに生活ができてしまう希薄な人間環境です。特に子ども達はコンピュータゲームやマンガなど一人で遊べるものが多く、また複数の友達といても一見集団行動の体ですが、実は個々にプレイしていることが大半です。ゲームの保存やリセットなどの行為が機械的に体へ刷り込まれ易く、一部の親御さんたちはこども達の顔を見ずに、ネットや携帯ばかりやっている人も少なくないようで(養育放棄)、スキンシップを通した幼少期の心身教育がなおざりになり、こども達の成長に変化が生じ易い環境になっています。 体を動かさない、頭を使わない、特に前頭葉への刺激が偏っているため、コミュニケーション能力は低く、モチベーションもないために、学校生活(教育)において、多くが不適応の結果に陥っています。 経済不況のなかサービス業が中心となり、コミュニケーション能力の低い人たちが社会不適応者になりやすく、ひきこもる人が増えていると報告があり、これからも増加傾向ですが、こどもたちが家庭や学校で色々な体験を積む過程で、コミュニケーション能力が自然と身に付くよう、いじめや落ちこぼれのないよう教師や親が子どもたちを見守れるような社会基盤ができていればいいのですが、過保護や養育放棄、高学歴教育などが先にたち、他人を思いやる心のゆとりがないといった問題の方向修正できるように考えています。 土屋医師 (第4水曜日) 小児科一般、こどもの神経 (つちやこどもクリニック)へリンク 中山(智)医師 (火曜日午前中、第1,3土曜日午前中) 小児科一般、こどもの神経 中山(尚)医師 (月曜日午前中) 小児科一般、こどもの神経 平野医師 (第2,4水曜日) 小児科一般、こどもの神経 星野医師 (第4土曜日) 小児科一般、こどもの神経 大谷医師 (土曜日) 小児科一般、こどもの神経 島田医師 (金曜日) 小児科一般、こどもの神経 太田医師 (第1,3水曜日午前中) 小児科一般、こどもの神経
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