週刊誌スクープを後追いするだけの新聞・テレビ
新聞社の「パブリックエディター」をご存じだろうか。読者代表として独立した立場で紙面をチェックし、読者の疑問に答えることを使命にしている。
これはいわゆる「2大誤報」問題を受けて、朝日新聞が鳴り物入りで昨年4月に導入したポストである。「2大誤報」とは、一つは従軍慰安婦の強制連行に絡んだ「慰安婦」報道であり、もう一つは福島第一原発事故の「吉田調書」報道のことだ。
パブリックエディターは一般には「オンブズマン」と呼ばれる。市民代表として行政機関を外部からチェックするオンブズマンと同じ役割を担っているからだ。読者目線を逸脱するなど何らかの問題が起きたときに、事実関係を調べたうえで裁定を下すのが特徴だ。
年明け以降、パブリックエディターの出番が求められるニュースが相次いだ。朝日にしてみれば「2大誤報」で失った信頼を取り戻す絶好のチャンスだった。ところが朝日のパブリックエディターはタイムリーに対応できず、多くの読者が抱いていたと思われる疑問に正面から答えることはなかった。
どんなニュースがあったのか。世間的に最も注目を集めたのは週刊文春が放ったスクープだ。
同誌は1月に甘利明経済再生相(当時)の金銭授受疑惑をスクープし、続いて4月以降には舛添要一東京都知事(当時)の高額海外出張や政治資金疑惑を暴いた。これによって両氏とも辞任に追い込まれた。
週刊文春は調査報道によって「放っておいたら埋もれたままになってしないかねないニュース」を掘り起こし、公にしたのである。公益にかなう「発掘型スクープ(エンタープライズスクープ)」のお手本を示したと言ってもいい。
それに対して新聞・テレビなどの大手メディアは後追いするだけだった。大新聞は千人以上の記者を抱え、記者数十人の週刊誌を圧倒するほどの取材体制を敷いているにもかかわらず、である。そればかりか、週刊文春のスクープであるという事実には申し訳程度に触れるだけで、あたかも自分たちの手柄のように報じるケースも目立った。
そんなことから「調査報道は週刊誌、後追いだけの新聞」という構図が鮮明となり、ネット空間では「大新聞は何をやっているのか」といった疑問が噴出した。現代ビジネス上でも、ジャーナリストの長谷川幸洋氏が書いたコラム「新聞・テレビが逆立ちしても週刊文春に勝てないカンタンな理由(gendai.ismedia.jp/articles/-/48927)」にアクセスが集中した。
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