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東條希、俺の彼女!

作者:岩澤楓
「ん…朝かー。希、朝、朝だよ〜」

「んん〜まだあかん〜もう少し寝てたい〜」

いま、俺に抱きつきながら寝ぼけているのが、希。

俺の彼女だ。

そして、俺の名前が岩澤楓。

希とは今同棲中で、付き合って何年か経つ。

「朝ごはん、一緒に作るって昨日約束したでしょ、ほれとも、コンビニに買いに行く?」

「いく〜。コンビニいこー」

「もー、めんどくさがりやなんだから。じゃー早く起きて!いこ」

「うー」

希は、パジャマ姿で、寝ぼけた目をこすりながら、とろんとした顔をみせる。
何年も一緒にいるが、その無防備な姿に、ドキッとしてしまう。

「めんどくさがりやちゃうよ〜。ウチは、楓くんとコンビニ行くのが好きなんよ?」

そういいながら、抱きついてくる希。一見、母性を感じるような大人びた雰囲気を感じる希だが、二人の時は以外と甘えてくる。

「ふふ、かわいい。好きだよ希」

「ウチも。ウチも大好きだよ」

朝、一発目のキスを交わす。

朝の幸せを感じながら、希と出会った時を思い出した−−−


最初の出会い、それは小学生のころ。

当時、俺はアパートに住んでいたんで、希はその隣に引っ越してきた。

初めて出会った時のあいつは、物静かで、とっつきにくい印象の女の子だった。

いつもどこか違うところを見ている、少し変わった子だった。後日、俺は希に霊感があることを聞いた。

「ねえ、希ちゃん、何みてるの?」

「んー。…幽霊」

「す、すごい!でも、幽霊怖いな」

「私のこと、怖い?」

「怖くないよ!希ちゃんがいないと、幽霊怖いよ」

「怖くないの?ほんと…?ぐすっ」

希は昔から、親が転勤族だったため、引っ越しばかりしていた。そして、普通見えないものが見えていたため、周りから気味悪がられていたそうだった。

「希ちゃん、あそぼ」

「うん!」

俺は毎日のように希と遊んでいた。
しかし、そんな楽しい日が続いたのも2年間だけ。
小学4年になる前、希は引っ越すことになったのだ。

「ほんとにいくの?希」

「ごめんね…でも…お母さんとお父さんの仕事だから…」

「そうだよな…仕方ないよな…」

「私のこと忘れないよね?私たちずっと友達だよね?」

「当たり前だろ…!忘れられるわけないよ…希は俺の大切な人だから!」

「ありがと…楓くん! ぐすっ」

そして希は遠いところに引っ越していった。


それから、7年。
俺が高校二年生の頃。
俺はちょっとした悪さをしてしまって、高校から退学勧告を出されてしまった。
そして別の高校に転編入しなければならなくなったのだ。

「はー。ここか。」

転校は初めてで、緊張が収まらない。
親が転勤族だった希をふと思い出した。

「あいつは、こんな緊張するのを何度も繰り返してたのかな…」

そんな希のことを考えると、胸が痛む。

「元気してるかな…」

そうしてる間に、教師が奥から出てきた。

「岩澤くん。じゃーこっちに来て。教室いこう」

「は、はい」

ドキドキする。心臓の音が、廊下に響いてると思ってしまう。

ガラガラ

教室のドアが開けられる。俺は恐る恐る入り、自己紹介をした

「今日から入ることになりました岩澤楓と申しま−−」

俺は、びっくりして、口を開けたまま言葉が出なかった。

そこには微笑んでいる希の姿があった。

「ん?どうしたの?席ならー あそこ、東條」


「楓くん、こっちやで〜」

「希…!久しぶり」

希は、余裕があるように振舞うが、目は涙ぐんでいた。

「久しぶりやなぁ。元気しとた?大きくなったなぁ」

「んもー、それはお前もだろ。」

他愛のない会話をして、その日を過ごした。

俺は希と一緒に帰っていた。

「制服きて、こうして一緒に帰んのも新鮮だね。」

「そうやね〜。せや!ウチな、ここらへんにお気に入りの場所あるん!一緒にいこ!」

「いいね、いこっか」

俺らはその、お気に入りの場所とついた。
丘のようなとこで、そこから、都内の景色を一望できた。

「すごいやろ〜。東京にこんなとこ、あんまないで」

「いつから、東京きてたの?あと、まだ転勤はつづいてるの…?」

俺は、恐る恐る聞いた。
もう一度希と離れるのが怖かったんだ。

「東京は高校からだよ。もう、引っ越したりしないで。安心してな〜」

「よ、よかった〜…あっ」

思わず声に出してしまった…!

俺は咄嗟、赤くなってしまった。

「んー?そんなにウチがずっといるのが嬉しいん?」

「そ、そりゃあ…嬉しいに決まってるよ!」

「ふふ、ウチも嬉しいで。ずっと会いたいと思っててな。神様にお願いしとったん」

希が笑いながら話す。
夕焼けの色に染まる希の横顔にドキッとした。


「…ウチのこと、忘れんでくれたんやね」

「当たり前だろ。言ったはずだよ、希は俺にとって大切だって」

「うん。言っとった。言っとったな。ウチ、ほんまうれしかったんやで…ぐすっ」

「な、泣くなよ。せっかく会えたんだから…」

俺は希の頭をポンポンと二回触る。

7年たった希は大人っぽい雰囲気が、あったが、泣いている姿は変わってなかった。

「だ、だって、ぐす…だってしょうがないやん!嬉しいんやから!もう!」


「う、うお!?希!?」

希は突然、俺に抱きついてきた!
胸が当たるし、ドキドキしっぱなしだ。
7年ぶりに会ったのに、こんなの有りなのか?

「………ぐす」

俺はどうしていいかわからなかったが、ぎゅっと抱きしめてあげて、頭を撫で続けた。
何分経っただろうか、というときにやっと希は声を発した。

「…ごめんね、突然。つい、感情高まってもうて…嫌じゃなかった?」

「ぜ、ぜんぜん!そんな嫌なわけないじゃん!むしろ嬉しかった…けどね!」

「ふふ、楓くんはほんま昔から変わらんなー。その優しいとこもやね」

「そ、そうかな…いやでも!そういうんじゃないって」

こんなチャンスまたとないと思った俺は、一気に勝負をきめることにした。
俺はチャンスを逃さない男だ。

「んー?じゃあどういうのなん?」

「それはね…」

俺は途端、希をぎゅっと抱きしめる。

「俺は、希が好き…みたいなのかな」

希は、そのまま両手を俺の背中に回して、抱きしめ返してきた。

「嬉しい…うちもや。ずっと忘れられなくて。君が好きだったんよ。」

その長いようで短い抱擁を終えると、俺たちは手を繋ぐ。

7年ぶりだったが、二人の間は懐かしいようで、新鮮だった。

懐かしかった日々は終わり、恋人としての日々がその日からはじまったのであった。


−−−−という、懐かしい思い出。

今も、俺は希と手を繋いでいる。

「楓くんー?どうしたんや、ニヤニヤして 。可愛い女の子でも見つけたん?ダメやで、ウチ以外みちゃ」

「ちがうって!そんなことしないから安心しろよ、俺には希しかいないし」

「もー///楓くんは女の子の扱い方知っとるな//」

「そ、そういうんじゃないって」

コンビニの帰り道、他愛もない会話。

こんな幸せな日々があることに感謝する。

「ねぇ 希?」

「なんやー?どうしたん?」

「俺と一緒になってくれてありがとな」

「…うん!」



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