東京商工リサーチは2日、2016年1~6月の太陽光発電関連企業の倒産件数が前年同期比で24.0%増の31件だったと発表した。2000年以降でみると上半期ベースで過去最多になった。政府による再生可能エネルギーの買い取り価格の引き下げを受け、経営が悪化する企業が増えている。
今回の調査は太陽光発電事業者や発電パネルの製造・小売り、施工会社などを対象に集計した。
倒産件数は年28件だった13年、14年の実績をすでに抜いており、過去最多だった15年の54件も上回る勢いとなっている。1~6月の関連倒産企業の負債総額は前年同期比18.6%増の176億3200万円だった。
太陽光発電による電気の買い取り価格は年々下がっており、発電事業者の投資回収はそれだけ難しくなっている。設備メーカーや施工会社の採算も取りにくくなってきた。東京商工リサーチは「一部企業が現実性を欠いた安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産するケースが多いことを示している」と分析している。
負債額別では1億円以上5億円未満が14件となり、全体の45%を占めた。16年1~6月に発生したすべての企業倒産を見ると、負債額1000万円以上5000万円未満の構成比が53.6%と最も大きいのと比べると、太陽光関連の倒産は負債額が大きくなる傾向が見られるという。
今回の調査とは別に、大手企業でも太陽光発電事業が不振に陥っているケースが目立つ。
太陽光発電パネルの材料を製造するトクヤマは5月、企業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS、東京・千代田)の支援を受けると発表した。シャープや京セラといった太陽光発電パネルメーカーも事業収益が低下している。
太陽光発電設備の住宅への施工を手掛けるサニックスは5月、希望退職者を募った。この結果、社員数は14年度末からほぼ半減する見通しだ。