大阪市平野区で平成14年に起きた母子殺害放火事件で、検察側が被害女性から採取した微物のDNA鑑定を独自に行ったものの、殺人罪などに問われた大阪刑務所刑務官、森健充被告(59)=休職中=の型とは一致しなかったことが2日、捜査関係者への取材で分かった。
森被告については、1審の無期懲役、2審死刑の判決をいずれも最高裁が破棄し、差し戻し後の大阪地裁で無罪(求刑死刑)とされ、現在は第2次控訴審の公判中。第2次控訴審でも検察側の請求で凶器などの鑑定が実施されたが、いずれも森被告の型とは一致しない結果が出ていた。
森被告は一貫して無罪を主張。第2次控訴審での鑑定に続き、検察独自の鑑定でも森被告に結びつく結果を示せなかったことで、無罪を覆すのはより難しい情勢となった。
独自鑑定は大阪府警の科学捜査研究所(科捜研)で実施。検察側は結果次第では裁判所に証拠採用を求める方針だった。
第2次控訴審の鑑定では被害者を絞殺する凶器となった犬のリードなど149点の試料が対象とされたが、検出されたDNA型はいずれも被告とは別人で、事件の捜査過程で付着した可能性が高いとされた。
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