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ゲート
道の終わりには動物園があった。森の中に動物園があるというのはなんだか不思議な気もしたが、あるいは全然不思議ではないのかもしれない。
おれが老人に続いてゲートを通ろうとすると、サングラスをかけた黒服の男に止められた。なるほど、入場料というものを払わなくてはいけないのだろう。
おれがポケットから財布を出そうとすると、黒服がその手をつかんだ。軽く握っているように見えるがそのじつ、押しても引いてもびくともしない。まるで万力で締め付けられたようだ。
助けを求めようと老人のほうを見ると、老人は満面の笑みでこの光景を見ている。ゲートの影から黒服の男たちが二人出てきた。二人とも、おれの腕をつかんでいる男と瓜二つだ。この三人は三つ子なのだろうか?そうでなければクローンだぞ。
後から来た二人は手にそれぞれ、大きなのこぎりとトランシーバーを持っていた。
おれの手をつかんでいる男が胸ポケットから油性のマジックを出し、おれの手首に線を引いた。そして、口を動かさないままでおれに「すわれ」、と命じた。おれはその場に正座した。
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