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森の動物園 作者:
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切断

 のこぎりの男が、おれの手首に引かれた線の上にのこぎりの刃を当てた。ごく、とおれはつばを飲み込んだ。トランシーバーの男は、少し離れたところからこの光景を見ながら、トランシーバーに向かって小声で何事かをつぶやいている。

 激痛がおれを襲った。のこぎりの男が、躊躇なく無慈悲にそののこぎりを手前に引いたのだ。最初それは痛みではなく熱いという感覚だった。皮膚が破れ、白い肉が見えた。血が飛び散り、骨が削れる。おれは涙を流しながらわけのわからない言葉を叫んだ。

 トランシーバーの男がズボンを足首まで下げて、勃起した陰茎をすごい速さで摩擦しながらトランシーバーに向かってささやき続けている。老人は歯の抜けた口をいっぱいに開いて笑っている。のこぎりを引く男の額に、汗が光っていた。おれの手を握る男の顔に血が飛び散った。

 どれくらいの時間が経過したのだろうか?おそらくそれは数十秒ほどの出来事だったに違いないのだが、おれには無限に思えるような長い時間だった。
 おれの手首は完全に切断され、おれは涙とよだれと鼻水でぐしょぐしょになった顔で放心していた。

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