原則

【目的/目標】
・これは漢字を排除しようとするものではなく、漢字の使用が困難な状況にあっても日本語の伝達効率を下げないため、あるいはさらに上げるためのものである。

・出来るだけ入出力の際に掛かる負担を少なくし、出来るだけ同綴異義語を減らすように努める。
ただし、同綴異義語を完全に無くすことを目的としているのではない。


【音節/拍】
・音節数/拍数が綴りからわかる様に、子音字/母音字/拗音字(半子音字/半母音字)を区別する。
子音字/母音字は単独で一拍になれるが、拗音字はなれず、常に子音字や他の拗音字の直後かつ母音字や他の拗音字の直前に置かれる。
あくまで音節/拍の構造がわかる様にする為の分類であり、実際の音価が子音であるか母音であるかということではない。
また、ここでの音節とは聞こえ度などの音声学な概念を基にしたものではなく、正書法として都合の良い塊になる様に音韻史を基に設定された約束事としての音節である。
(音韻論的な音節がわかる様にするので、結果的に音声学的な音節もある程度わかる)

・必要に応じてア行にも子音字を与える。

・各綴りに於いて分節音素の数が文字数を超えない様にする。(旧音韻体系に於ける複数の音素が現音韻体系に於ける一つの音素となっている場合でも、その音素がその旧音韻体系に於けるーつの音素に由来する音素と区別されている限り、音素数を元の複数個として数える)
ただし、次の条件を全て満たしていれば、一文字が分節音素列を担っても良い。

・単独の分節音素を担っている文字でない(分節音素列から変化した場合を除く)
・例外無く規則的に読める
・形態素境界とその文字が重なっていない

・ある音韻体系に於いてアクセントや声調から独立して存在する長短の対立(長母音:短母音/長子音:短子音)は、基本的にはその長さの超分節音性に基づいて記号で綴るべきものとみなすが(実際に綴るかどうかはここでは問題としない)、対応する短音と音韻的に区別されている長音では引き音の分節音性に基づいて文字で綴る。
ただし、記述対象として設定された範囲での音韻史上最古の音韻体系に於いて連続する複数の分節音素であったものや、間に綴り上の音節境界があると解釈できる文字列は、常にその分節音性に基づいて文字で綴る。


【使用される要素】
・他の正書法や文字体系の存在を前提とした理屈は借用語以外に用いない。

・出来るだけ自然言語らしく書くために、ラテン文字の各文字や役物の歴史(Segsyoxafu作成以前のもの)から逸脱しない文字用法を目指す。
ただし、将来の日本語に於いてSegsyoxafuでの綴りと読みとの関係が他言語でのラテン文字の用法からどんなに逸脱したとしても、それを理由に綴りを変えることは無い。
ちなみに、chiはイタリア語でキ、フランス語でシ、ドイツ語でヒに近く発音され、tiはフランス語やロシア語(ти)でチに近く発音される。

・日本語音韻史に現れる音韻的対立の全て(下記)を書き分けられる様にする。ただし、日本語の範囲を超えない様に、存在したことが明らかでない区別は扱わない。(綴りの維持によるものを除く)
「同音異義語を書き分ける」という性質上、読みからは綴りを特定できない場合が多いが、綴りからは読みを特定できる。

・現代語音(アクセントを含む)
・歴史的仮名遣(全ての綴りを規則的に読めるように、例外的表記を改変)
・字音仮名遣(ア段以外の合拗音を含む)
・韻尾(t:p, n:m, u/i:g)
・上代特殊仮名遣(ア行のエとヤ行のエの対立を含む)

・ある時期に於いて区別をされていた音素を仮にA、Bとする。その時期より後にAとBとの区別が失われた場合、「AとBとの合流後の音素」をAまたはBと区別するための綴りは作らない。
(音韻上そのような区別がされることは無い)

・形態素境界を強調する場合にハイフンを使う。


【綴りの維持】
・語形変化に於いて、変化前に使われていた文字を出来る限り変化後にも残すことを「綴りの維持」と呼ぶ。

・共通語や方言のそれぞれに於いて音の変化が綴りに対して規則的に起きている限り、綴りを元のままに維持する。規則的か否かの判断に使われる情報は元の綴りと音価の変遷のみとする(「字音である/活用語である/動詞である」などの情報は使えない)。
先ず各方言での綴りを決めた上でその綴りを維持したまま方言語彙の輸出入を行う。
よって、ある方言が他方言の語を取り入れた場合、他方言での綴りと発音との両方を取り入れるか、綴りだけを取り入れ、その綴りを自方言(共通語など)の規則に従って読むことになる。
他方言での発音に自方言の綴り規則を適用することは避けるため、他方言の綴りが決まるまでは音声転写をする。
ただし、他方言の語であるか自方言の語であるかを明確には定められない場合もある為、迷ったら自方言の規則に従って綴りと発音を定めても良い。特に俗語に於いてこの判定が難しい。

・綴りが担う音価が複数に分岐することでその綴りを維持しきれなくなった場合(最小対が発生した場合)は、その音価の変化の仕方(この解釈には音韻や綴りなどの「母語話者にとって意味のある情報」を用いるので、音声学的でしかない情報は用いない)に従いつつ最小限の綴り変化で対応し、元の綴りを出来るだけ維持する様に努める。
この時、綴り変更の対象となるのは例外的な読みとなった方であり、それに対立する規則的な読みの綴りを変えてはいけない。
また、既存の綴りで対応できる限り、「綴りの維持」の為に使用文字や各文字の音価を増やすことは無い。その為、意味の差が生じない範囲では綴りに対応する読みが二通り以上になることはあるが、何らかの二通り以上の読みを統合する為だけに新たに文字を採用することは無い。

・いかなる理由での語形変化なのかが曖昧な場合、候補となる語形変化の内、「添加」に基づかない語形変化(脱落/融合/交替など)を優先して採用する(省力化)。ただし、接辞を付ける際には、その接辞の形を変化させないことを優先する。

・各活用形も元の語形からの「綴りの維持」に従うので、音韻上は同じ活用の種類に属していても、綴りは異なる場合がある。
ただし、「綴りの維持」に反しない限り、語幹を統一して活用させる。

・語形変化に伴って綴りが変わる場合、その変化が起きた時代の文字が持っていなかった筈の音価を利用しない。

・発生した読みの対立が「読みの揺れの有無」だけであり、形態素境界をハイフンで示すことでその対立を書き分けられる場合は、新たな文字を採用することなく、必要に応じてハイフンを使う。


【直感的表記】
・規則的に読める様にするだけではなく、不都合が無い限り規則を単純化する様に努める。

・新しい綴りが必要になった場合、元の綴りが規則的にその音価を持つ位置でもその新しい綴りを使う。その新しい綴りが記号の付加によるもの(他の文字での代用表記を除く)であれば、曖昧さが発生しない範囲でその記号を省略する。その為、ある条件に応じて相補分布していた2種の読みを担っていた綴りに於いて各条件下で例外的な読みとして双方向的にもう一方と同じ読みが発生した場合や、そもそも何らかの規則性を以って読みを予測することが困難な場合、文字の扱い易さに関して都合の良い片方にのみ新しい綴りを与えるが、特にはどちらかの読み及びそれを担う綴りのみを例外的とはみなさない。この対応を仮に「相互標識」と呼ぶ。(日: f/x/p/b, 英: c/kなど)

・記号付き文字やその代用表記を含む綴り(相互標識の一方を含む)は、その綴りから記号を外したもの(相互標識のもう一方を含む)とは異なる音価を担う。(前項に関して記号を省略された文字と省略されていない文字の音価が等しい場合はある)
つまり記号は最新の音韻体系のみを扱い、それより前の体系からの変遷を扱うことは基本的に無い。(文字の数や配列に影響しない範囲では、補助的に歴史的変遷に基づく記号を付けても良い)

・維持されるべき綴りが不明または存在しない場合は、このローマ字によって定められる日本語の綴りとして最も無標な(特徴が無い/頻出する)形に倣う。
その上で、ある音価を示す綴りが複数想定される場合、その内の最も文字数の少ないものを採用する。

・「前後の文字との関係に於ける無標な綴り」を「単独での無標な綴り」より優先する。

・綴りの選択には次のものも利用する。

・活用の種類(例: tukafayru)
・文字数の少ない方(例: syuuよりsiu)
・音韻的な機能を長く持っていた方(例: 「感応」などの連声から、mよりn)
・仮名遣の混乱期に間違いとして多く現れた方(例: du/diよりzu/zi)

・「擬音語/外来語(カタカナから翻字する場合)/非標準的な語形」に於いて失われた音素を利用しなければ表現できない音声を転写する場合には、その音素をかつて担った文字を使って良い。
音声転写だったものが音声そのもの以外の意味を持った場合や、複合語の一部になった場合、その時点から綴りの維持が始まる。

ちなみに、複数の音価を経験した仮名が、全ての語に於いてその音価全てを担った訳ではない。
例: 可能動詞はハ行転呼の発生後のものであるため、「買える(買へる)」などは不転呼のハ行を経験していない。また、「しちまう(しちまふ)」という語の「ち」は上代に於ける「ち」の音価を経験していない。


【他】
・漢字の置き換えや当て字のある語も語源に従って綴るのを優先するが、必要があれば書かれた字に従って綴っても良い。

・字音か和語かが綴りに影響を与える場合は、確かな根拠が無い限り、どちらとして扱っても良い。

・慣用音は、その字音の発生原因となった字音を推定し、その綴りに合わせる。

・古文を扱う場合は、現代語の読みで書くか、当時の読みに合わせて書くかを選んでからにする。

・俗語や擬音語の綴りにはある程度の変更を認めるが、文字の音価や拍数を乱してはいけない。

・文字の音価が現代共通語と異なるということを示す必要がある場合には、国際音声記号を使う。これは日本語音韻史を利用した綴りとも、Segsyoxafuに於ける音声転写とも異なる。


正書法

直音
拗音
長音
促音
撥音
上代特殊仮名遣
アクセント
特殊な記号
アポストロフィ
外来音と外来語
分かち書きと大文字
その他