公正取引員会は8月2日、「携帯電話市場における競争政策上の課題について」と題する報告書を一般公開。NTTドコモ・au・ソフトバンクなどの、いわゆる大手キャリアの"通信料金と端末価格が一体となった販売手法"などが、独占禁止法違反にあたる可能性を指摘しています。
報告書では、電波を割り当てられる事業者の数に限りがある携帯電話市場では、大手キャリアの寡占状態になりやすいと指摘。大手キャリアの回線を借りてサービスを展開するMVNO(いわゆる格安スマホ)が市場でプレーヤーとなることが、健全な競争環境の整備において重要だとしています。
そして、大手キャリアが展開する、端末価格を通信料金から割引く販売手法──いわゆる月々サポートや毎月割のような"通信料金と端末価格の一体化"に関しては「MVNOに対して、大手キャリアが販売する端末を有利な状況に置く」と指摘。これがMVNOの新規参入を阻害したり、事業活動を困難にする場合には、独占禁止法上の問題(私的独占)にあたるとして、このような販売を見直すことが望ましいとしています。
また2年縛りの違約金9500円については「不当に高い契約解除料により、ユーザーを囲い込むことは、競争政策の観点から望ましくない」と問題提起。さらに、大手キャリアによる割賦販売についても「MNOが割賦契約の総額を固定し、実質的に販売代理店の端末の販売価格を拘束する場合には、独占禁止法上の問題になる」と指摘しています。
全体的には、MVNOの新規参入を促したいという観点の内容。報告書は「本報告書が携帯電話市場の各レイヤーにおける競争の促進に寄与し,ひいては,多様で低廉な関連製品・サービスが消費者に提供されることを期待するとともに,同市場の今後の動向を注視していく。また,独占禁止法に違反する疑いのある具体的な事実に接した場合には調査を行うとともに,違反する事実が認められたときには厳正に対処する」としめくくっています。
全文は下記リンクからご覧ください。
平成28年8月2日)携帯電話市場における競争政策上の課題について(概要)