アップルやマイクロソフト、Googleなどは、現在の標準的な文字コードUnicodeの制定に関して審査および議決権を持っています。今年6月に制定されたUnicodeの最新版、バージョン9.0の新規採用絵文字の審査段階では、候補になっていたライフル銃の絵文字にアップルが反発し、これにマイクロソフトが追従したため採用が見送られた経緯もありました。
一方で、Unicode 6.0の頃から採用されている拳銃についてはこれまで特に問題として取り上げられることもありませんでした。ところが最近になって米国では白人警官が黒人男性を射殺したことにきっかけにしたデモが発生し、49名が死亡したナイトクラブ襲撃事件など、銃器がらみの事件が相次ぎました。米国以外でもたとえばフランスでは、元恋人を脅した男がメールに拳銃の絵文字を使ったことが殺害予告にあたると裁判で判断され禁錮刑となった事例も発生。iOS 10での拳銃の絵文字の変更にはこうした出来事も背景にあるのかもしれません。
iOS 10ではそのほか、男性的な職業やスポーツなどの絵文字に積極的に女性を登場させるなど、100近い絵文字の追加変更を盛り込んでいます。さらにレインボーカラーの旗なども新たに追加されておりLGBTサポートを明確に打ち出すアップルとしての姿勢が現れているとも言えそうです。
蛇足ですが、マイクロソフトは早くから、少なくともWindows 8 /8.1においては拳銃の絵文字にレトロ玩具風の光線銃のモチーフを使用してきました。これもアップルと同様の対応かとも思われたものの、絵文字検索サイト"Emojipedia"で調べてみたところ、今日8月2日にリリースのWindows 10 Annversaly Updateでは他のメーカーに引っ張られたのか一般的な拳銃のデザインへと変わっているようです。